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2007.05.23

巨匠展の奥谷博と森本草介

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日本橋三越の6階美術特選画廊で5/15~21に行われた“巨匠展 今そして未来2007”(無料)を見てきた。作品は洋画界における中心的作家8人の最新作各々2点ずつ16点しかないから、15分もあれば見終わる。8人のうち知っているのは絹谷幸二、森本草介、池口史子の3人だけ。残りの大沼映夫、大藪雅孝、奥谷博、小杉小二郎、島田章三の作品は見たことがないし、全く知らない作家だが、“巨匠展”とあるのだから、有名な画家なのであろう。

わずか2点で作家の画風にふれるのはアバウトすぎるが、絵の率直な印象を述べてみると。小杉小二郎の“追憶”は今年はじめ横浜そごうでみた有元利夫の絵がダブってくる。島田章三の平面的に描かれた“月の宴”は色を青から赤に変えるとマチスの“家族の肖像”(エルミタージュ美術館)が目の前をよぎる。

上は大変魅せられた奥谷博の“歓喜の極”(部分)。この絵をみてすぐ、昨年森美術館でみたビル・ヴィオラのビデオアートを連想した。海面の渦巻きから出てきた2羽の鷹が垂直に上昇するところは、“ミレニアムの5天使”のなかでいきなり轟音と共に男が水面から飛び出してくる場面とそっくり。かたやビデオアーティスト、かたや画家ではあるが同じことをイメージしているのは面白い。歌麿が特集されているので購入した“アート・トップ5月号”に奥谷博の作品がいくつか掲載されている。これを見るかぎり、とびつきたくなる作風ではないが、作品自体には興味がある。本物をいつか見てみたい。

この展覧会に出かけようと思った直接の動機は森本草介の作品が見たかったから。もっというと拙ブログ5/11で紹介したような女性画をまた期待してのこと。が、この期待は見事にはずれ、飾ってあったのは風景画2点。森本草介は女性の絵ばかり描いていると思っていたが、風景画も手がけていた。下の“初秋の川辺”は女性を描くときと同様、風景のスナップ写真のような超精緻な描写が特徴。本当に実景を見ている感じがする。

木々の葉や細い枝を質感たっぷりにリアルに描き、河の水面の光や空、木の反映をこれだけ見事に表現できる森本草介の絵描きとしての才能はスーパーを通り越して神技に近い。昨日取り上げたロシア絵画のなかでリアルな対象描写が見る者を惹きつけるポポフの“村の朝”とよく似た画風であるが、森本が描く風景画の細密さはこれよりも一段上で、水面の小さな揺らぎを繊細に表現し、空中にまう塵や土埃までも捉えている感じである。だんだん、森本草介の絵に嵌っていく。

なお、この巨匠展は高松三越(6/5~11)、名古屋栄三越(7/10~16)でも開催される。

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コメント

こんにちは
小杉小二郎は小杉放庵のお孫さんでシュールな画風が結構好きです。
無人のメトロとか、何もない街とか。
森本草介の女のヒトや花の絵はわたしも好きです。
しかしこの人の風景は人物画同様<静謐>ですね。

投稿: 遊行七恵 | 2007.05.24 11:22

to 遊行七恵さん
小杉放庵の孫が小二郎ですか!2点のうち、ひとつ
は古賀春江とかクレー風の絵でした。

森本草介の風景画にも静謐な雰囲気が漂ってますね。
木々の細い枝一本々の精緻な描写に驚ろかされます。
作品をもっともっと見たくなりました。

投稿: いづつや | 2007.05.24 16:16

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