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2007.05.10

会津八一記念博物館の白隠展

8325/7から早大構内にある会津八一記念博物館で“永青文庫所蔵 白隠画の逸品展”がはじまった(6/2まで、無料)。

作品数は永青文庫蔵の14点と記念館がもっている3点をあわせた17点と少ないが、いずれもみごたえのある掛け軸で、しかも無料だから、退出するときは感謝の気持ちをこめて頭を下げたくなる。

永青文庫でみた作品46点(拙ブログ5/1)とダブらない理由がわかった。こちらに飾ってあるのは大きいものばかり。目白の永青文庫の展示室は天井が低く、スペースも広くないので、ここに大きな掛け軸を展示して6/2まで二つの美術館で白隠の書画を楽しんでもらおうという企画なのである。

書は2点のみであとは人物画。そのうち10点が観音さまを描いたもの。ほかに釈迦図、自画像、達磨図、大燈国師図、三師図がある。色々な観音さまがいるから観音さまに関する知識がふえる。ハンモックに揺られているような“一葉”観音、“楊柳”、“物見山”、“蛤蜊(はまぐり)”、“蓮池”。

右は森美術館の“日本美術が笑う展”(5/6で終了、2/2)にも出品された“蛤蜊観音図”。はじめてこの絵をみたとき、人物の描き方があまりにもおもしろいので、見入ってしまった。蛤蜊観音は絵をみてわかるように蛤蜊からでてきて、説法をする。

白隠が描く人物の顔は観音さまでも、達磨さんでも、布袋さんでも同じ特徴を持っている。丸顔だが馬面で、まんなかにある鼻がでかい。観音さまの目はやさしく細く描かれるが、笑っていないときの男は達磨さんでも高僧でも、ぎょろ目が多い。その眉毛と目ん玉はほかの部分より一段と濃い墨で描かれているから、ドキッとするくらいインパクトがある。

このちょっとおすましの観音さまの下で手をあわせている衆生の格好がなんともユーモラス。左上にいるのが龍王。皆あたまの上に蛸や海老、魚、巻貝といった海の生物を載せている。もう一枚ある蛤蜊観音図(会津八一記念館蔵)には亀や蟹、タツノオトシゴなども登場する。この絵は数多くの鑑賞体験のなかでも忘れられない一枚になりそう。

白隠は晩年には“蓮池観音図”をもっぱら描いたようだ。今回でている3点はどれも墨でぬりつぶされた地に観音さまとそのまわりをとり囲む蓮の花や葉、そして水面を描いている。ほかの仏画にみる観音さまとは一味も二味も違う観音さまとの対面はわずか30分だったが、白隠の心にぐっと近づけた楽しいひとときであった。

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コメント

お久しぶりです。
この観音様・・とてもいいですね。
竜王がいい味だしてますねえ。

投稿: 乱読おばさん | 2007.05.11 15:39

to 乱読おばさん
ご無沙汰してます。貴ブログを楽しくみさせてもら
ってます。白隠が描く蛤蜊観音さまと下で笑って
いる女たちの顔に心がなごみます。エポック的な
鑑賞体験になりました。一生忘れないでしょう。

投稿: いづつや | 2007.05.11 21:25

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