藤原道長展の仰天仏像!


京博が力を入れていた仏教展シリーズは05年10月にあった“最澄と天台の国宝展”(東博では昨年3月)で打ち止めと思っていたら、まだ続き、今年は“藤原道長展”(4/24~5/27)である。
タイトルの頭に“金峯山埋経一千年記念”とある。藤原道長(969~1027)が左大臣だった寛弘四年(1007)に自ら書写した経巻を金銅製の経筒に納め、金峯山に埋納してから今年(2007)は丁度1000年に当たるのである。美術館の学芸員が特別展を考える際、こういう節目の年を記念するいうのは定番のアイデアなのだろう。そのおかげで、藤原道長をフックにした“極めた栄華・願った浄土”というテーマにそって集められた仏像、仏画、絵巻、日記、中国陶磁器、経巻、経筒・経箱など146点をみることができる。
チラシをみて是非観てみたいと思ったのは上の“千手観音坐像”(重文、大阪・安岡寺)だったが、ほかにも“わー、国宝がこんなにあるの!これもでてたの!”を連発するほど出品作は一級の文物だった。章立ては1.道長の登場、2.唐土への憧憬、3.末法思想と浄土信仰、4.平安時代の美術、5.道長、金峯山への道、6.経塚の流行と弥勒の浄土、7.道長から頼道へ、とよく練られており、何を見てもらいたいかという主催者の狙いがよく伝わってくる。京博は過去何度も仏教展を実施し、専門家や一般美術愛好家のニーズや喜ぶ作品を熟知している。流石である。
大変魅せられた作品をあげると。2章の北宋仏教美術をコピーした版画“弥勒菩薩像”(国宝)。こんなに美しい線描はみたことがない。前期に展示されていた“孔雀明王像”(国宝、仁和寺)を見逃したのは痛いが、後期にでている法隆寺のも見栄えがするいい絵。お目当ての“千手観音坐像”は4章に飾ってあった。安定感のある見事な千手観音。手は左右19本で、真ん中で手を合わせているのが2本ずつある。
下は同じ章の“不動明王坐像”(重文、京都・同聚院)。その大きさに驚愕する!!高さが2.65mある。これはチラシにのっていたが、こんな大きな不動明王だったとは。しばらく声が出ず、立ちつくしていた。この像の圧倒的な迫力と存在感はここにいないと実感できない。そして、隣にある“小島曼荼羅”(国宝、奈良・小嶋寺)もすばらしい。一度見たことがあるが、紺地に金銀泥で精緻に描かれた何体もの仏さまが整然と画面いっぱいに配置されている。ここの2点が一番のハイライトだった。
5章と6章では、道長が埋めた経筒や平安時代後期に日本各地で流行した経塚から出土した豪華な経箱、蔵王権現像、鏡像などがぞくぞくでてくる。その中には国宝が8点もある。なかでも再会したとびっきりのお宝“金銀鍍宝相華文経箱”(滋賀・延暦寺)に釘付けになった。京博が開催する仏教展はいつもすごい内容。だが、ずっしり重い図録を持ち歩くのはキツイ。心は満ち足りているが、腕は嫌がっている。
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コメント
久方ぶりにコメントさせていただきます。
素晴らしい千手観音坐像ですね!
これを見るためだけでも、行く価値あり。
今月の「日経おとなのOFF」が仏像特集だったため、
見仏意欲が高まっています。
早速次の土曜に京都へGOします。
投稿: meme | 2007.05.20 19:22
to memeさん
こんばんは。千手観音は立像より坐像のほう
が造形的に美しいですね。今回それを実感し
ました。
また、“不動明王坐像”がすごいんです。
こんな大きな坐像ははじめてみました。まさ
にエポック的な鑑賞体験です。長く忘れられ
ない仏像になりそうです。
投稿: いづつや | 2007.05.20 21:59
遅ればせながらTBさせていただいたと共に、
ブログ文中でいづつや様のお名前を拝借しております。
事後承諾誠に申し訳ございません。ご容赦下さいませ。
不動明王像は子島曼荼羅の隣にあった巨大仏ですか?
私は隣の曼荼羅が気になって気になって気もそぞろになり、
仏像の記憶があまりありません。
いづつや様の記事を帰宅後読み返すことで、展覧会の復習になりました!
投稿: meme | 2007.05.28 22:14
to memeさん
小島曼荼羅図の隣にあったあの大きな不動明王が
視界から消えたということは、memeさんの心と体
が完全に曼荼羅世界と一体になったということで
すね。すばらしい鑑賞体験ですね!
夢中のなられるのはよくわかります。大きな紺地の
画面にゴールド線で描かれた仏頂尊がびっちり
ですからね。ほんとうに惹き込まれます。
投稿: いづつや | 2007.05.29 23:06