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2007.05.26

東芸大コレクション展の絵因果経

859東芸大美術館で開催されている“芸大コレクション展 春の名品選”(4/10~6/10)を2回見た。

前期だけでもよかったのだが、後期展示の加山又造作、“倣北宋深山凍林”を見逃すのは惜しいという気持ちを消しきれず再度の訪問となった。

この絵は同じ倣北宋山水画のなかでは一番最後に描かれた。手前左右にある怪奇的な細いとげとげしい枝に積もった雪の白が強いインパクトをもっており、遠景の垂直にのびる平べったい岩の連続する画面構成からは北宋画特有の神秘的な世界が伝わってくる。期待通りのいい絵だったから、来た甲斐があった。

あとはゆっくり国宝の“絵因果経”や修復された“小野雪見御幸絵巻”(重文)の前期とは違う画面を楽しんだ。右の“絵因果経”は釈迦の生涯を経文と絵で表現したもので、中国から入ってきた原本を手本に奈良時代の八世紀後半頃、書写されたといわれている。見てわかるように、下段に経文、上段にそれに対応する情景が描かれる。

これは竹園精舎建立のくだり。竹園精舎に入って座る釈迦の前で、王が香水入りの宝瓶をとってその水を捨て、精舎を施与する印とするところ。空を飛ぶ天女が描かれたこの場面がこの絵のなかの一番の見所。びっくりするのが顔の白さと釈迦や飛天の衣装の鮮やかな朱色や橙色。顔料の美しさがこれほど感じられる絵巻はそうない。この絵は昨年はじめ東京美術倶楽部であった名品展でもみたから、次のターゲットは醍醐寺の同類の絵(国宝)。

04年から行われた修復が終わり今回公開された“小野雪見御幸絵巻”は貴重な鑑賞体験である。後期は到着した白河院の一行を皇太后や女房たちが暖かく迎える場面。この絵のなかで惹きつけられるのが屋敷にある木々の描き方と鳥の動感表現。各場面にでてくる木は枝がしなやかに大胆に曲がっており、そのフォルムは実に個性的で力強い。そして、羽をピンとのばし、木々のまわりを軽妙に飛び交う鳥たちの描き方にも感心させられる。

絵画のほかでは、会場の真ん中に飾ってある朝倉文夫の彫刻、“つるされた猫”にドキッとする。これと高村光太郎作の厳しい面構えをした“獅子吼”をみれたのも収穫。これからもこのコレクション展を欠かさず鑑賞しようと思う。

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