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2007.04.07

動物絵画の100年展

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府中市美術館で行われている“動物絵画の100年”(3/17~4/22)は期待値の高い展覧会だったので、初日にでかけた。

学芸員の頭のなかに今、注目の集まる江戸の絵師、円山応挙、長澤芦雪、伊藤若冲が描いた絵があってこの企画をイメージしたのか、それとも18世紀後半から19世紀前半までの100年に制作された動物画を通覧してこれはおもしろい展覧会になると確信をもったのかは外部の人間にはわからない。が、いずれにせよ、いい作品を沢山集めてくれた府中市美に拍手を贈りたい。

日本画は花鳥風月を主たる対象にして制作されるから、絵師たちは昔から動物の絵は広義の花鳥画として描いてきた。なかでも龍や虎、鷹などがよくでてくる。今回はその描き方が西洋画の影響などにより写実的かつ個性的になった江戸時代の中期から後期に焦点を当て、約80点を展示している。4/10からは一部は展示替えになり、別の作品が登場する。

ビッグネーム絵師が揃っているので見ごたえがある。My動物画の楽しみ方はユーモラス&可愛いタイプ、超写実タイプ、デフォルメ&シュール型の3つ。ユーモラスタイプのお気に入りが長澤芦雪の上の“一笑図”(個人蔵)。こんな楽しい絵に会えて嬉しくてたまらない。これを毎日みられるコレクターが羨ましい。右のごろんと横になった黒と白の犬の後ろ姿と左の童子に首根っこを持たれてだらっとしている白い犬をみていると肩の力が自然に抜けてくる。

芦雪が描いた下の“群雀図”(重文、部分)は今回最も見たかった絵。雀がとまっているのは電線ではなくて、横に長く伸びる細い竹。そこに可愛い雀君が全部で12羽とまっている。芦雪が可愛い雀を描くのは前から“花鳥虫獣図”(千葉市美、拙ブログ07/1/25)などで知っているが、この電線にはびっくり仰天!芦雪ならずともほかの絵師でも確かにしなった竹に雀が何羽もとまる光景を見たかもしれない。でもこの構図に仕上げられるのは芦雪だけ。芦雪はだれも気づかない視点から対象をとらえる。構図の天才としかいいようがない。

超写実タイプの極め付きがやはり芦雪の絵、“虎図”。いくつかある虎の絵のなかでは群をぬいていい。虎の鋭い目と毛の質感に一瞬たじろぐ。これはエポック的な虎の絵となった。デフォルメ&シュールな絵では若冲の“鯉図”、国芳が描いた猫の戯画“風流けん合”、芦雪の“亀図”が印象深い。

若冲の“鯉図”は“鶴図”、“親子鶏図”とで構成する三幅対の一枚だが、頭を垂直の角度で上に向ける姿にハッとする。静岡県立美術館で見た“鹿図”もこのユニークな姿態で描かれていた。この3つの絵は若冲の水墨画のなかでは上位に入る名品。とくに鶴の胸、鯉の頭、鶏の尾っぽにみられる濃い墨は吸い寄せられるくらい輝いている。

後期に再度訪問するかどうか思案中。魅力いっぱいの展覧会である。

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コメント

ご無沙汰です、僕も初日にでかけました。
京王線の車内ポスターで雀の絵が出ていて、「長澤芦雪の傑作です」なんていう案内がありました。
芦雪の作品が多かったですね、お寺の屏風絵は日本的な余白をたっぷり強調して見事でした。

投稿: oki | 2007.04.08 12:58

to okiさん
大満足の展覧会だったのですが、旅行記のため、upが
遅れてしまいました。芦雪の童子と犬、虎、雀、そして
余白をたっぷりとった朝顔と蛙の屏風がよかったですね。
これほど芦雪が充実しているとは思ってもみませんで
した。

それと若冲の鶴、鯉、鶏の三幅対がいいですね。
後期には北斎のシュールな鯉の絵まで展示するのです
から、豪華です。

投稿: いづつや | 2007.04.08 17:36

一笑図、猫だけでなく、犬でもこういうように持つのかと知りました。
群雀図、やはり私も電線にとまっているように錯覚しました。
私は、仙崖の虎がお笑い大賞でした。
後期も行きたくなる展覧会ですね。

投稿: 一村雨 | 2007.04.09 05:38

to 一村雨さん
奈良県美であった芦雪展にでていた“花鳥図”、“長春
群禽図”を覚えておられるでしょうか。こちらでは鳥が
とまっていた細くて長い花の枝は下のほうにのびてま
すが、“群雀図”では真横の電線ですからね。全く驚き
ます。芦雪のこうした意表をつく構図に衝撃を受ける度
に、この絵師の並外れた才能を感じます。

森美術館の“日本美術が笑う”にずっと待っていた芦雪
の“岩上猿・唐子遊図屏風”が4/18から登場します。
これを見ると芦雪は一休みできそうです。

投稿: いづつや | 2007.04.09 11:48

いづつやさん、こちらにもお邪魔しております。
蘆雪の雀といえば、豊橋の正宗寺にある襖絵
(実際には襖に張られてませんが)も面白いですよ。
機会があれば是非!!!
この展覧会で南紀の蘆雪作品は網羅できたかな?と
思っています。
ですが、私にとってはまだまだ追ってみたい絵師です。

投稿: アイレ | 2007.05.01 22:46

to アイレさん
豊橋の正宗寺に芦雪の雀の絵があるのですか。
いつか見てみたいですね。情報有難うございます。

府中美はいい展覧会を開いてくれましたね。芦雪
の絵をこんなにみられるとは思ってもみませんで
した。しかも、粒がそろっているのでびっくり
です。アイレさん同様、私も南紀にある芦雪作品
は済みマークがつきそうです。

次の楽しみは東芸大美の金比羅宮展(7/7~9/9)
ですね。ここにも芦雪の絵が1,2点あったような
気がします。応挙、芦雪、若冲ですからもうたまり
ません。アイレさんはここの応挙をみたら、残りは
大乗寺だけになりそうですね。

投稿: いづつや | 2007.05.02 14:14

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