日本美術が笑う展の男女遊楽図屏風
森美術館で開催中の“日本美術が笑う展”(5/6まで)は会期が3ヶ月を超えるロングラン興行。
展示替えリストと睨めっこして、2回目の訪問日を長澤芦雪の“岩上猿・唐子遊図屏風”を見ることに主眼をおいて
4/19にきめた。
4/18から展示される芦雪の絵は一回目(拙ブログ2/2)の鑑賞の際購入した図録で非常に魅せられ、作品に会えるのを楽しみにしていた。入場してすぐ、その絵を探したが、どういうわけか展示されてない。どういうこと?前後の部屋をいったりきたりしたが、どこにもない。
展示替えリストを丹念に見ると“都合により不出品”とある。ええー!ドッと疲れが出た。コレクターと美術館の間でどんなやりとりがあったか知らないが、図録に掲載までしている作品がドタキャンとはなんともお粗末。是非みたかった絵なので残念でしょうがない。やはりこの美術館に期待をかけ過ぎるのは禁物。で、前回でてなかった作品で関心の高かったのをみてそうそうに引き上げた。
お気に入りは狩野山雪の“寒山拾得図”、右の“男女遊楽図屏風”、柴田是真の“鬼女図”、河鍋暁斎の“鳥獣戯画”、白隠の“布袋図”、狩野典信の“大黒図”。口を大きくあけた寒山拾得が画面いっぱいに描かれた山楽の絵は強く印象に残る。会期中みられる虎と目、鼻が似てない?
細見美術館が所蔵する“男女遊楽図”(部分)はコンディションがすこし悪いが、魅力のある風俗画。画面構成は国宝“彦根屏風”の登場人物や一人々のポーズを借用し、左端で腰をひねるようにしてこちらを見ている髪を長くたらした遊女、座ってキセルを手にしている女、そして片膝をつき遊女を見つめるかぶき者は対角線上に配されている。絵が描かれたころは衣装の色がよく出て、モダンな文様とあいまってすごく映える風俗画だったにちがいない。
狩野典信の大きな顔をした大黒様(板橋区立美蔵)にやっと会えた。身体的にはおかしい姿態かもしれないが、これほど見る者を惹きつける大黒様はない。この絵と白隠の布袋さんでしょぼんとなった気持ちが救われた。
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コメント
いつづやさん、はじめまして。江戸絵画好きなものです。特に芦雪。
で、僕も“日本美術が笑う”展、3回足を運びまして、3回目は“岩上猿・唐子遊図屏風”目当てだったのですが、不出品!怒り心頭に達しましたよ。最近、ボヤさわぎがあったので、所蔵家がごねたのかなぁと勝手に推測していますが。しかし、本当に残念でした。
投稿: mya | 2007.04.25 09:12
細見の遊楽図が気に入ってもらえて嬉しいです。わたしも細見の遊楽図が好きです。かむろも可愛いですし、着物の柄がいい感じです。やっぱり遊楽図は見ても見つくせないですね。
投稿: 遊行七恵 | 2007.04.25 09:25
to myaさん
はじめまして。書き込み有難うございます。芦雪の
“岩上猿・唐子遊図”をずっと待ってたのに出品し
ないとは一体何がおこったのでしょうか?残念でなり
ません。
おっしゃる通り、ボヤで所有者は急に不安になった
のかもしれませんね。もしそうだとすると、森ビルは
とんだことをしてくれましたね。それでなくても心が
東京ミッドタウンのほうにいっているのに、こういう
ことがあると、もうここへはあまり行きたくありませ
ん。
これからもよろしくお願いします。
投稿: いづつや | 2007.04.25 15:45
to 遊行七恵さん
細見美のこの絵ははじめてみました。彦根屏風をコピー
してますから、いい仕上がりになってますね。お祭りや
賑やかな通りなどを描いたものにくらべて、こういう
室内の遊楽図では人物一人々の衣装やしぐさがアップ
で表現されてますから、ほんとうに楽しいですね。
投稿: いづつや | 2007.04.25 15:59
そうですね。やはりあのボヤ騒ぎが不出品の原因
なのですね。
たしかに、デパートや高層ビルの上の展覧会というのは
火事が心配です。その分、保険も高いようですが。
投稿: 一村雨 | 2007.04.30 09:07
to 一村雨さん
myaさんのコメントを読むまでボヤ騒ぎのことは忘れて
いたのですが、言われてみるとたしかに、芦雪の
絵が出品されなかったのはこれが原因ですね。
ずさんな管理をしている森ビルを恨みますね。あの
絵を見て、芦雪に済みマークをつけようかと思って
ましたから、残念至極です。
投稿: いづつや | 2007.04.30 13:09