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2007.04.11

川合玉堂の風景画

790スペイン・ポルトガル旅行記を書いているときに会期が終了した展覧会のうち、“川合玉堂展”(日本橋高島屋、
3/15~4/2)のことをふれておきたい。

この回顧展は今日から場所を大阪に移し、なんば高島屋で4/23まで開かれる。

94年、生誕120年を記念した回顧展がやはり日本橋高島屋で行われた。今回でている作品70点の8割くらいは前回と同じものである。初公開の作品がいくつか登場したが、前回二重丸をつけているものに較べずっといいという感じではなかった。で、定番となっている代表作の傑作ぶりを再確認するという東近美的な鑑賞になった。

玉堂の描く風景画には今はもうみられない日本の自然、農村に生きる人々の生活の営みや働きぶりがでてくる。昔の都市の状況を思い起こすときには白黒の写真やドキュメンタリー映像がいいなと思うが、農村の風景は絵画のほうが心に強く訴えかける。大げさにいえば、玉堂の絵のなかにしか日本の自然の美しさや安らぎを感じる農村の人々の暮らしは見られない。だからこそ、今、川合玉堂の絵が観る者を惹きつけるのだろう。

農村でよく描かれるのは水車、田植え、雪景色、馬・牛と農夫、渓流の筏、釣など。ほかでは、玉堂の代名詞となった鵜飼。構成では高い視点から描いた大作に名画が多い。今回とくに気に入ったのが“嶋之春”(桑山美術館)と“峰の夕”。前回特○で今回もやはり感動したのが岐阜県美術館が所蔵する“深林宿雪”。

“深林宿雪”は玉堂得意の雪の風景で、林立する木々を墨の濃淡で描きわけ奥行き感をだし、その広がりのある空間の真ん中に炭焼き小屋を描いている。この画面構成に
200%魅せられた。ここには長谷川等伯の“松林図”(東博)と同じような空気が流れている。

今回筏流しの作品が2点出ていた。“花筏”と右の“春峡”。両方とも山桜の枝を透かして筏が流れていく。“花筏”では筏を真近に描き水しぶきが連続しているのに対し、“春峡”はすこし上の方から筏が流れていく様子をとらえており、水しぶきの白とうす青の水、そして筏の黄色が目に心地いい。この絵は五島美術館の所蔵。

出品している美術館のなかで数が多いのが山種美、岐阜県美、水野美、玉堂美。三の丸尚蔵館からは代表作のひとつである“雨後”。そして、新潟県立近代美術館が89年、2億2千万円で購入した“春苑”(六曲一双屏風)もでている。玉堂のすばらしい絵を存分に楽しんだ。

<展覧会プレビューの更新>
下記の展覧会を追加した。福田平八郎の代表作、“漣(さざなみ)”がやっとみれる。
4/24~6/3    福田平八郎展         京近美

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コメント

玉堂よかったですね。
確か銀座松屋でも回顧展があった記憶があります。
一種の理想郷をあらわしているのかな、「心眼で描く」と述べた人ですね。
僕は今日は「大回顧展モネ」に行きますが、ネット仲間ではあまり話題になっていないきがしますがー。

投稿: oki | 2007.04.14 10:43

to okiさん
良き日本の農村の風景を描いてくれたのが玉堂。明治の
ころの東京下町の様子を描いてくれたのが鏑木清方で
すね。とてもいい感じです。

モネのことならお任せください。10日の火曜日に行っ
たら休館で、どっと疲れがでました。こことサントリ
ー美は火曜日が休みだということがインプットされて
ませんでした。

で、仕切り直しで昨日みてきました。オルセーから超一級
の作品が沢山きてます。それから、ボストン、メトロ
ポリタン、フィラデルフィアの自慢の名画もあります。
すごいです。昨日も混んでましたが、今日はもっと大勢の
人が押し寄せるのではないでしょうか。

投稿: いづつや | 2007.04.14 11:26

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