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2007.04.13

鏑木清方のお夏清十郎物語

793日本画でも、洋画でも画集などをみて惹きつけられた作品とか多くの人が高く評価する名画については追っかけリストをつくり、いつか対面できる日が来ることを夢見ている。

リストは毎年1月に作成し、年末にその結果をレビューする。これをやっていると、“求めよ!さらば与えられん”とか“志(こころざし)あるところに道あり!”がまんざらでもないな思うようになる。

でも、リストをつくっただけではダメで、ミューズがすこしでも力を貸してくれるよう、望みの絵を所蔵している美術館が行う展覧会はHPなどで定期的にチェックしている。この展覧会サーフィンが情報を引き寄せ、幸せをもたらしてくれるのである。

今回幸運にもこれで望みを果たしたのが右の鏑木清方の“お夏清十郎物語”(全6図)。現在、神奈川県立近代美術館 鎌倉では“館所蔵の近代絵画の名品展”(4/7~6/17)を開催しており、この絵がでている。美人画では上村松園、鏑木清方、伊東深水が贔屓の画家。松園、深水は過去に大回顧展をみたので満ち足りた気分なのだが、鏑木清方は回顧展に縁がないため、代表作の大半は見ているのに今ひとつ心の充足感がない。で、2月、埼玉県近美でみた“慶長風俗”(拙ブログ2/24)のように、初見の名品と遭遇すると天にも昇る気分になる。

“お夏清十郎”は浄瑠璃で有名な悲恋物語。この話しを清方は6枚の絵にした。鏑木清方は昭和2年ごろから“卓上芸術”を提唱する。これは大会場で展覧する“会場芸術”や座敷の“床の間芸術”に対し、画巻・画帖・挿絵など卓上に広げて細かい筆使いを味わう芸術のこと。最初は小説や歌舞伎、浄瑠璃から題材をとり、後に明治時代の東京下町の暮らしをテーマにし、庶民の日常の生きざまを情趣ゆたかにまた哀歓をこめて描いた。

右の絵は第2図で、イケ面の使用人、清十郎との恋に落ちた姫路の米問屋、但馬屋の娘、お夏が一人横になっている場面。駆け落ちのことを考え、悶々としているのだろうか。まわりを囲む白の幕に映える赤や紫の着物の柄とお夏のポーズにしばし見入ってしまう。第5図には、駆け落ちを決行して捕まった清十郎がお金を着服したとの濡れ衣まできせられ処刑されたのを悲しみ、発狂したお夏が町をさまようところが描かれている。

今年はいいペースで鏑木清方の絵が現れる。次のサプライズに期待したい。

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