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2007.04.16

モネ大回顧展のサプライズ! そのニ 色彩の輝き 

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これまでのモネ作品の鑑賞で最も大きな感動が得られたのはやはり印象派の殿堂、オルセー美術館を訪問したとき。満足しきって、夢見心地で館をあとにしたことを今でもはっきり覚えている。十何年前のことだから、全部の作品の記憶が戻ることはないが、上の“モントルグイユ街、1878年パリ万博の祝祭”はとりわけ気持ちを昂ぶらせてくれる一枚だった。

その絵との再会である。嬉しさのあまり画面に異常接近する。が、これではモネの絵のすばらしさは見えてこないから、絵から二歩くらい下がってみた。すると、縦長の画面いっぱいに描かれた三色旗の赤に目を奪われ、気分はお祭モードに切り替わった。大勢の人がいる賑やかな通りと両側の家にふりそそぐ光は揺らめき、風にたなびく旗はリズミカルに踊っているような感じである。

画面を生き生きさせる光に感動するのがもう一点ある。それはフィラデルフィア美からやってきた“ポプラ並木、秋”。1891年、23点制作された連作“ポプラ並木”のなかではとくに気に入っている絵である。手前の垂直に立った3本のポプラは左に続き、上方に黄色の葉をつけたポプラはこんどはS字曲線をつくるように右に曲がり、遠景でまた左に折れている。だが、背景の青い空もポプラ並木にも奥行きは感じられず、モネは明るい黄色でこのポプラを装飾的に描いている。

この絵を90年、ロンドンで開催された“モネ連作展”ではじめてみたとき、その明るい色調に大変感動した。3ヶ月で50万人が訪れたこのモネ展に“ポプラ並木”は13点展示されたが、この“秋”とメトロポリタン蔵の2点がMy二重丸だった。94年の回顧展にも出品されたから、三回も感動させてもらった。

これと一緒に展示されているオルセーとイセ文化基金が所蔵する作品もロンドンの連作展にでていたもの。ポプラの木が青みがかった緑で彩られた両作品は少し並木から離れたところから描いているので、S字曲線がよりくっきりみえる。ともに魅力いっぱいの絵。オルセー蔵では、風に折れ曲がる葉と広重の構図を彷彿とさせる前景の3本の木に視線があつまる。

今回、モネがロンドンとヴェネツィアで制作した作品がいくつもでており、これが大収穫だった。ロンドンでは国会議事堂(2点)、ウォータールー橋(3点)、チャリング・クロス橋(3点)。吉野石膏がもっている“チャリング・クロス”は2年前山形美術館でみて、いい絵だなと感心したが、リヨン美術館蔵のほうに軍配があがる。橋を渡る汽車からでるもくもくとした白い煙、霧のなかに差す陽光、そして、テムズ川の水面に反映する光がつくるなんとも神秘的な画面に心を揺すぶられた。

モネの目が白内障で悪化していた1908年に描かれたヴェネツィアの絵(4点)にもぐっとくる。なかでも惹きつけられたのが下の“大運河”(ボストン美)。この絵の構図も広重風。真ん中左に垂直に描かれた杭と水面に映る影が画面を区切り、左側に杭と海に浮かぶゴンドラ、右にヴェネツィアらしい聖堂がみえる。聖堂の影がピンクや青、緑などの短いタッチを横にならべた海面に溶け込むように映る風景がとても美しく、しばらく足が動かなかった。

最後のコーナーにモネが晩年取り組んだ“睡蓮”がいくつもあった。アサヒビールが所蔵する大きな睡蓮(拙ブログ05/10/26)をまたうっとりするように眺め、爽快な気分で出口に向った。満足度200%の大モネ展であった。

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コメント

こんばんは
モネ楽しんできました。
ああいいのを見たなぁ、といい気持ちです。
やっぱりモネはいいですね、特に晩年の色彩が混ざり合い、融合しているものに惹かれました。

普段から知る作品であっても、他の作品たちと一緒にいると、それだけで別な魅力が湧いてくるようでした。

投稿: 遊行七恵 | 2007.04.25 22:14

to 遊行七恵さん
日本人はモネが好きですね。そのお陰で国内にも
どこへ出してもはずかしくない名画が沢山あります。
すばらしいですね。今回こうした日本にある名画と
オルセー、ボストンの定番の作品がてんこ盛りです
から、嬉しくてたまりません。

晩年のモネの絵は目がみえなかったせいで、大きな
キャンバスに色をぶつけた感じになってきますね。
美しい睡蓮をなんとしても描き続けたいというモネ
の熱い思いに心打たれます。

投稿: いづつや | 2007.04.26 11:27

こんにちは。
チャリング・クロス橋やウォータールー橋の連作の展示は
本当に見応えがありましたね。
モネの絵を、こちらがいいとか、あちらがいいとか、
見比べることができるなんて、なんとぜいたくな展覧会
なんだろうと思いました。
ほんとうにワァーと叫びたくなるような内容でした。

投稿: 一村雨 | 2007.05.16 05:36

to 一村雨さん
この回顧展は日本で行われたモネ展のなかでは
一番すごいですね。2,30年に一回クラスの
大回顧展ではないでしょうか。

オルセー、ボストン美蔵の有名な作品がこれだけ
あり、画題のほとんどをカバーし、しかも一村雨
さんがおっしゃるようにいくつも比較しながら
鑑賞できるのですから言うことなしです。

チャリングクロス橋やヴェニスを描いた作品など
は神秘的な感じがしてほんとうに魅了されますね。
今、2回目の訪問を日程調整しているところです。

投稿: いづつや | 2007.05.16 14:17

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