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2007.04.08

東京ミッドタウンの新サントリー美術館

786六本木の新名所、東京ミッドタウンのなかにできた新サントリー美術館に行ってきた。

“日本を祝う”(6/3まで)と銘打った開館記念展はチラシを見るかぎりでは鑑賞済みの作品が多いので、今回は目をリラックスさせ、新装なった美術館の展示空間を楽しむつもりで入館した。

赤坂見附にあったときの展示スペースに較べると倍になった感じ。3Fが受付で一度エレベーターで4Fまであがり、3Fにおりてくる導線になっている。展示の空間が増えたとはいえ、全部の作品は飾れないので、3期に分けてある。ここは絵画から工芸品まで日本美術の優品を沢山所蔵しており、これらを“全部見せます!”なのだが、展示リストがないので図録に載っている作品がどの期間に出てくるのかは皆目わからない。

国宝、重文を含む自慢の絵画、陶磁器、蒔絵、ガラス、染色、着物は祥、花、祭、宴、調の5つのテーマでくくられている。過去に見たことのある作品でも、こうした横串のテーマで展示されると、またちがった趣がある。工芸品が断然すばらしい。鍋島様式の定番模様、“色絵寿字宝尽文八角皿”、“染付松樹文三脚大皿”(重文)、“色絵椿文皿”、柿右衛門様式の代表作、“色絵花鳥文六角壷”、“色絵菊桔梗文八角瓶”、そしてヨーロッパに輸出された見事な大壺、“色絵花鳥文八角大壺”(重文)。

さらに“色絵葡萄鳥文瓢形酒注”の形や古九谷・青手の“色絵松樹文輪花大皿”の鮮やかな色彩にもうっとりする。この美術館はとびっきりのガラス作品を所蔵していることで有名。ガラス特有の透明感のある青の輝きにメロメロになる薩摩切子“藍色船形鉢”と江戸期の吹きガラスの名品、“藍色ちろり”。出口のところにある薩摩切子“紅色皿”の深い紅色にも心打たれる。

絵画のお目当ては右の狩野探幽作、“桐鳳凰図屏風”(六曲一双、右隻)と風俗画の数々。桐と空想の鳥、鳳凰は古くから吉祥慶寿の文様として親しまれ、近世になって婚礼衣装の打掛などに使われた。だが、鳳凰が描かれた日本画は意外なようだがあまりない。これまで強く記憶に残っているのはこの探幽の絵と若冲の“旭日鳳凰図”(拙ブログ06/7/8)、中国画の“百鳥図”(三の丸尚蔵館)。それと絵ではないが、宇治平等院の棟飾りとして取り付けてある青銅製の鳳凰。鳳凰といえばこの平等院の鳳凰をイメージすることが多いのではなかろうか。

だから、探幽が17世紀の中頃描いた“桐鳳凰図”は鳳凰をみる貴重な鑑賞機会なのである。若冲が100年後に表現した王族の貴婦人が豪華なコートを羽織ったような鳳凰とは違い、ここに描かれた番の鳳凰にはスリムな優美さがある。画面構成が巧みで、金地の背景には岩と桐の木以外はなにもなく、斜め右から流れる水をはさんで向き合う2羽の鳳凰と雛鳥にすっと視線が集中する。

18点ある風俗画はこの展覧会の見所のひとつ。チラシに使われている“舞踊図”や“邸内遊楽図屏風”、“日吉山王祇園祭礼図屏風”は風俗画の代表作にあげられているので再度、食い入るように見た。初見の作品としては菱川師宣の“上野花見歌舞伎図”が収穫。あの見返りスタイルで嬉々として踊る男女たちは見るからに楽しそう。おもわず見入ってしまった。5/9からは追っかけている“秋冬花鳥図屏風”が出てくるからもう一回訪問することにしている。

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コメント

いづつやさん、こんばんは
今ごろになってサントリー美術館の感想を記事にしましたので、TBさせていただきました。
絵画に関しては前期が一番良かったかもしれません。私が訪れたのは中期でしたので、絵画は色々有名な作品に出会えず残念でした。
その分、切子や陶器等で良い作品に出会えたので良しにします。
次回の展覧会も展示換えがありますね。私は応挙と三十六歌仙絵が登場する8月に行きたいと思います。

投稿: アイレ | 2007.06.12 02:13

to アイレさん
サントリーの薩摩切子はいいですね。今回屏風が
たくさん出ましたが、中期だとコンディションの
いい“武蔵野図”が印象深いです。

さて、次の展覧会が迫ってきましたね。応挙の絵
は最初から展示されると思ってたのですが、後期
からなので日程を変更して、この絵がでるときに
出かけるつもりです。

このため、応挙が滝や川の激流を描いた絵では
金刀比羅宮蔵のが先になりそうです。

追加情報ですが、茨城県にある五浦美術館に前々
から追っかけていた応挙の傑作“保津川図屏風”
(絶筆、重文)が7/28~9/2に展示されます。
これは京友禅の会社、千總のコレクション展で、
所蔵の“保津川図”も一緒に出てくるのです。です
から、今この3点と若冲の“花卉図”が心の中を
独占してます。

投稿: いづつや | 2007.06.12 23:12

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