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2007.04.22

お母さんといっしょ・浮世絵に見る母と子の情景

806昨年、ららぽーと豊洲のなかにできた“UKIYO-e TOKYO”(平木浮世絵財団)の展示内容を定点観測している。

ここで現在、開催されている公文教育研究所との共同企画展、“お母さんといっしょ・浮世絵にみる母と子の情景”は収穫の多い展覧会だった。

作品はあまりひろくない部屋に前期(4/3~30)と後期(5/2~27)に各50点くらい展示される。嬉しいことに狙っていた歌麿の子ども絵が5点あった。

ここ3年、歌麿の追っかけが浮世絵鑑賞の大きな柱になっている。歌麿だけは残念ながら大きな回顧展に遭遇してないので、効率は悪いが東博、太田記念館、MOA、そしてこの平木浮世絵財団でこまめに作品をひろっているのである。今回出ている母親と子どもの絵のなかで歌麿の絵はどれも心に響く。

再会したのが、“山姥と金太郎”と右の“当世好物八景 さわぎ好”。収穫は前から見たかった“夢にうなされる子どもと母”があったこととはじめてみる“当世風俗通 女房風”と“金太良三人兄弟”。右の“さわぎ好”は今でもみかけるような光景。母親は“アァー、ぽっぺんがうるさいなー!”と笑いながら耳をふさぐが、子どもはお構いなしに思いっきりビードロ(ガラス)玩具を鳴らしている。歌麿の大首絵は美人画だけかと思っていたら、こんな微笑ましいシーンとの組み合わせもあった。

同じ大首絵でも授乳場面を描いた“女房風”は赤ん坊の顔を隠すと艶っぽい。でも、これは真似しないように!小さい頃は人前での授乳はあたりまえだったが、今はほとんど見ない。面白いのは赤ん坊はお乳を飲みながら、目は何かに気をとられて落ち着きがないこと。こういう表情をずばっと描く歌麿の観察力は流石である。

画集でみて本物をいつかみたいと願っていた“夢にうなされる子どもと母”に口元がゆるむ。子どもの泣き顔がとてもリアルで、この絵を見て以来、子どもがこんな風に泣いているときはきっと怖い夢をみているのだなと連想するようになった。それほどのインパクトをもっている絵である。上に描かれた吹きだしにお化けの捨てぜりふ“またばんにうなしてやろふ”があるから、慈愛にみちた母親にあやされてまた泣きじゃくるのだろう。

歌麿はパロディー作家にもなれると思わせるのが“金太良三人兄弟”。三人兄弟の金太郎ははじめてお目にかかった。長男はお餅を杵でつき、二男は鴨をさばき、末子はお盆を手にしている。一緒にいる山姥は怖くない若い母親という設定。歌麿のほかでは歌川国芳、国貞が描く母と子に心が和む。後期にも歌麿のいい絵が出てくるのでまた出かけることにしている。

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