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2007.04.10

村上豊の芸術世界 ~夢幻、おんな、郷愁~

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目白の野間記念館では現在、“村上豊の芸術世界 ~夢幻、おんな、郷愁~”が開かれている(5/20まで)。この美術館へ出かけるとき注意しとかなくてはいけないのは休館日が月曜と火曜二日続くこと。くれぐれもお忘れなく!

昨年10月、ここであった展覧会を観た際、まったく偶然に村上豊の挿絵と遭遇し(拙ブログ06/10/17)、たちどころにこの画家の虜になった。人物の描き方は戯画タッチだが、動きのあるポーズやいきいきとした感情表現がとても上手い。そして背景に描かれた日本の原風景を思わせる山河がこころを揺すぶる。そのとき予告されていたのが今回の村上豊展。

待ちに待った回顧展だったので、初日の3/17に行くと、画家本人が夫人とともに来館される方にご挨拶をされていた。1936年のお生まれ(静岡県三島市)なので、今年
71歳。髪を短くスポーツ刈りにされているから、頭だけをみると坊さんの感じだが、老人くささがない。人気の挿絵画家でもあるので大物小説家のあちこちからお呼びがかかり、画業ますます盛んというところである。サインをしていただけるというので展示作品が何点か載っている画集“四季”(99年、講談社)を即購入した。

出品数は90点。このうち11点は小説の挿絵で、残りの80点が移り変わる季節の彩りと美しさを追い求めた風景画や独特のフォルムをした女性画。どれもはじめて観る作品。村上豊は墨彩、油彩、岩彩など沢山の絵をかいている。墨の濃淡だけの世界もよし、また山肌を黄色や白、紅、紫、緑の木々で埋める美しい色彩画もよし。200%魅せられた。

04年に制作された上の“ひな遊び”は心に響く一枚。画面の大半を占める屋根を俯瞰の視点でとらえ、女の子の一番の楽しみである雛まつりの場面を描いている。墨で彩られた屋根およびこれよりさらに濃い墨で描かれた松の木と光があたった雛壇の赤との対比が実にいい。墨の絵では、海沿いに煙を勢いよく出して走る蒸気機関車を遠くから山と山の合間に小さく側面からとらえた絵、“帰港”にも大変感動した。

この画家が描く女性の体は一風変わっている。勝手に名づけるとしたら“ひょうたん女”。横に寝ている女を描いた“君ゆゑよの”のお尻と腰のくびれがひょうたんにみえる。今回驚愕の一枚が下の“月の女”。村上豊はシュルレアリストであり幻想画家!手の指先は木の枝に変わっている。指と木々をダブルイメージにし、腰のところには満月を背にしてふくろうをのせる。

村上豊はこんな幻想的な絵を描いていたとは!先生とちょっと話をしたとき、“あんなシュールで幻想的な絵を描かれる先生の頭の中はどうなっているのですか?”と言うと、ニヤッとされていた。

村上豊の世界にますます引き込まれていく。今年11/13~21、銀座和光ホールで開催される個展が楽しみだ。

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