« コルドバのメスキータ | トップページ | 白い村 ミハス »

2007.03.29

グラナダのアルハンブラ宮殿

761_1
764
763_1
グラナダのアルハンブラ宮殿を見学したあとは幸せな気分になる。90年はじめて来たときは出張期間中にできた休日を使い一人で出かけたから、宮殿内ではその感激を分かち合う人がいなかった。で、帰国して隣の方やまわりの人に“アルハンブラ宮殿はすばらしいよ!スペインにある建築物では一番いいのではないか、感激するよ!”というフレーズを何度繰り返したかしれない。そのアルハンブラ宮殿への入場である。

スペインにあるイスラム教建築の特徴として、外観はそれほど見栄えしないから、入り口あたりでのワクワク感は普通。だけど、中に入ると全く例をみない豪華絢爛な内部壁面の装飾にびっくりさせられる。偶像や自然物を描くことを禁じられたイスラム教徒の職人たちには並外れた豊かな想像力や宇宙的な感性がDNAとして代々受け継がれているのかもしれない。

壁面や腰壁、柱、天井には同一モティーフが限りなく繰り返される。ここでの装飾のリズムは反復で生み出されるが、その形は自然物を連想させない抽象的なフォルムのほうがいい。で、幾何学模様のアラベスクが装飾の中心になる。これに植物模様、アラビア文字、鐘乳石飾りを加え、多種多様な装飾が施される。このなかで最も惹きつけられるのが鐘乳石飾り。

とくに“ライオン宮”にある“アベンセラーヘスの間”(下の画像)と“二姉妹の間”の天井にみられる鐘乳石飾りが圧巻。ここはアルハンブラ宮殿見学のハイライト。首が痛くなるのも我慢して前回同様夢中でみた。八角形の大きな星を思わせる天井からは細い三角柱や四角柱がいろいろ組み合わさって、鐘乳石のように垂れ下がっている。山口県・秋芳洞でみた鐘乳洞の凹凸を思い出した。

イスラム建築の鐘乳石飾りは預言者ムハンマドの話しがもとになっている。敵から逃れて、ヒラーの洞窟に隠れたムハンマドはここで大天使ガブリエルからコーランのインスピレーションを授かったという。この伝説により、鐘乳石は装飾要素のひとつとなった。この飾りは9世紀のペルシャで最初にみられ、12世紀には初歩的な形がスペインでも用いられた。そして、13~14世紀に建造されたこのアルハンブラ宮殿で究極の鐘乳石飾りが生まれる。

息をのむ天井装飾とともに写真を撮りたくなるのは水の上に宮殿が築かれたのではないかと錯覚する“コマレス宮”の“アラヤネスの中庭”(上の画像)。真ん中の長い池は“コマレスの塔”が映し出された巨大な水鏡になっている。コマレス宮は外交、政治活動の中心で、塔の下が“大使の間”。この“アラヤネスの中庭”は大使たちのための歓迎レセプションが開かれたり、スルタンに謁見する際の待合場所だったところ。

真ん中の“ライオンの中庭”にも水が静かに流れているのだが、中央の“ライオンの噴水”は現在、修復中でカバーがかけられていた。回廊に配された円柱の上部に見事な透かし彫りがみられる。これと口から水を出すライオンが一緒に観れたらどんなにか優美で静謐な世界に浸れたことだろう。“カルロス5世宮殿”に白大理石でつくられた12頭のライオンのうち2頭が展示してあったが、これだけみてもぴんとこない。でも、アルハンブラ宮殿の前に見学した世界遺産“ヘネラリフェ”で中央が掘割になり、両脇から水が噴出しアーチをつくっている“アセキアの中庭”を見たから、イスラム庭園特有の清々しい水の音を十分楽しむことができた。

このアルハンブラ宮殿見学では予想もしなかったエンターテイメントがあった。それはスペイン人ガイドさんのとびっきり面白い日本語による説明。昨年のピサ・フィレンツェ観光にもユニークな日本人ガイドさんがいたが、今回はスペイン人の漫談調おしゃべり。皆を笑わす間が実にいい。“ヘネラリフェ”では咲いている薔薇を指差して、“これは薔薇ですね。うちの上さんに似てます。棘がある!”、また奥さんを自慢して“うちの上さんはグラナダのミス。わたしはグラナダのミステイク!”皆ゲラゲラ笑いながらついて行く。

どこで日本の情報を仕入れるのか“そのまんま東さんみたいですね!”と最新のニュースまで知っている。説明するときの口癖が“これは本当の話、でもときどきウソもある”。年季のはいったガイドさんにも恵まれ、とても楽しいグラナダ観光だった。

|

« コルドバのメスキータ | トップページ | 白い村 ミハス »

コメント

建築好きなわたしとしては必ず来ないといけない場所なんですが、いまだにスペインには無縁なのです。(涙)
イスラームからのスパニッシュは、カリフォルニア経由で大阪に入り、昭和初期に大林組が住宅博覧会で、大阪に多くのスパニッシュ様式の民家を建てました。
ああ、やっぱりすばらしいですねえ。
この建物を見ると必ずあの名曲が頭に流れてきます。

投稿: 遊行七恵 | 2007.04.01 23:08

to 遊行七恵さん
アルハンブラ宮殿の外観はたいしたことないのですが、
なかの中庭や壁や天井の装飾はすばらしいです。構造は
軽視しているのに対し、内部の装飾には異常に力を入れ
てますね。とくに鐘乳石飾りに目を奪われます。

この宮殿には♪♪“アルハンブラの思い出”がぴったり
あってます。七恵さんもいつかお出かけください。

投稿: いづつや | 2007.04.02 13:42

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: グラナダのアルハンブラ宮殿:

« コルドバのメスキータ | トップページ | 白い村 ミハス »