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2007.02.27

見て楽しむ美術本

720毎日インターネットを見たり、ブログを書いたりすると本を読む時間がなかなかとれなくなる。

3,4年前に較べると年間に読破する本の数はかなり落ちているし、本屋にいる時間も少なくなった。でも、読書に割く時間は減少傾向にあるのに、購入する本のペースはそれほど変化してない。

月に何冊も買い込むということはないが、新聞広告に掲載される書籍情報(今はこれが唯一の情報源)により、関心のあるテーマについては極力見落とさないようにし、その都度購入している。

最近は美術関連の本が多くなったが、昔から読み込んでいる“ギリシャ神話”、“キリスト教”、“ルネサンス”、“古代ギリシャ・ローマ史”の本は新刊がでる度に蔵書の一冊に加えている。中国や日本について書かれたものでは、“幕末史”、“古代中国史”、“江戸物小説”が本棚に積みあがっていく。また、ビジネス書では今は“ゲーム理論”、“行動経済学”に特化中。

My読書流は一定期間、一つのテーマに関連してそれまでためておいた本を集中的に読んでいくやり方。そしていくつかあるテーマでローテーションしていく。あれもこれも手当たり次第読むスタイルではない。例えば、美術関連本→ルネサンス→ギリシャ神話→ゲーム理論→江戸物小説→。。。。といった感じ。だいたいワンテーマ1ヶ月~3ヶ月くらいで回しているので、また同じテーマに戻ってくるのに1年とか1年半かかる。

おおよその読書計画は立ててるが、その通りにはいかない。最近の傾向としては美術本に費やす時間が増え、ほかの本を読む機会が減っている。その美術本もじっくり読む本と文章よりは図版を楽しむ本とに分けている。で、最近購入したもので、目を通している本あるいはこれからじっくり読むつもりの本について少しふれてみたい。

<見て楽しむ美術本>
★“もっと知りたい クリムト”(千足伸行著 東京美術 06/12)
著者の千足氏は贔屓の美術史家。一度銀座の画廊で立ち話をしたことがある。高名な高階氏の本はとくに買って読もうという気にはならないが、この人の本は手にとってみたくなる。この“もっと知りたい”シリーズはどれも好著。図版が綺麗で旅行のガイドブック感覚の編集だから、見てて楽しい。そして、抑えるポイントはコンパクトに書いてあるので、画家の代表作が時代ごとに整理されて頭のなかに入る。いまやアートエンターテイメントのシンボル本といっていい。他には“葛飾北斎”(著者は太田記念美術館副館長の永田生慈氏)、“伊藤若冲”(佐藤康宏著)、最近でた“狩野派”(板橋区立美術館館長 安村敏信著 06/12)がある。

★“迷宮美術館第3集”(河出書房新社、07/2)
“もっと知りたい”と同じスタイルで編集されたアートエンターテイメント本。980円というのがなんともお得。シリーズで20万部を突破したという。TVで一度みた話しが、専門家のダラダラした文章ではなく、短いピリッとした言葉や色がよくでた画像で再現されているので美術を心から楽しめる。

★“美術の物語”(ゴンブリッチ著 ファイドン 07/1)
重くて本屋から家まで持ち運ぶのにシンドイ思いをした。これまで見たことのない作品が沢山出てくるので嬉しくなる。例えば、シャガールやダリにこんないい絵があったの!と驚かされる。世界中で多くの人に読まれている本というのは古代ギリシャ美術から現代アートまでカバーする図版をみれば即納得する。じっくり眺め、しっかり読みたい本である。ウンベルト・エーコの“美の歴史”(東洋書林 05/11)のちょうどいい姉妹本ができた。

★“桃山絵画の美”(狩野博幸監修 平凡社別冊太陽 07/2)
04年10月にでた“狩野派決定版”の二番煎じ。今年秋、京博で開催される“狩野永徳展”(10/16~11/18)を睨んだ刊行ではなかろうか。新発見の永徳筆“洛外名所遊楽図”が掲載されている。狩野派の作品と長谷川等伯、海北友北、俵屋宗達の代表作が桃山絵画のくくりでドッキング。これぞ見て楽しむ豪華美術本。

<しっかり読みたい美術本>
★“マネの絵画”(ミシェル・フーコー著 筑摩書房 06/12)
昔、フーコーの本をよく読んだ。ただし、哲学書だから歩留まりが極めて悪いことはお察しの通り。フーコーはマネの絵について論じてたとは知らなかったので、とびついた。だが、ちゃんと理解できるかどうかは自信がない。

★“処女懐胎”(岡田温司著 中公新書 07/1)
岡田氏の本は“カラヴァッジョ鑑”(人文書院 01/10)や“マグダラのマリア”(中公新書 05/1 拙ブログ05/2/2)で楽しく読まさせてもらったので、当然この本への関心は高い。

★“食べる西洋美術史”(宮下規久朗著 光文社新書 07/1)
“カラヴァッジョ 聖性とヴィジョン”(名古屋大学出版会 04/12 拙ブログ04/12/23)を読んですっかり宮下氏のファンになった。この本では古典画からポップアートのウォーホルまでを射程にいれて“食べる”を切り口にして西洋美術史を論じている。面白い視点がいっぱいつまっているような気がする。早く時間をつくり一気に読みたいものである。

★“ひらがな日本美術史7”(橋本治著 新潮社 07/2)
“ひらがな日本美術史”(1~6)はこれまで夢中になって読んだ。橋本治氏の切れ味鋭い日本美術論は大変刺激的。7巻をずっと待っていたがやっと刊行され、楽しみがまたひとつ増えた。

★“写楽 江戸人としての実像”(中野三敏著 中公新書 07/2)
内田千鶴子氏の“写楽を追え”(イースト・プレス 07/1 06/2/21)を楽しんだばかりというのに、また“写楽=能役者・斉藤十郎兵衛”を主張する学者の本が現れた。新情報がどれだけ入っているか興味深々。

<展覧会プレビューの更新>
以下の展覧会をつけくわえた。
4/10~6/10   春の名品展        東芸大美
4/12~4/24   日本陶芸展        大丸東京店
4/24~5/27   藤原道長展        京博
4/28~7/1    肉筆浮世絵展       出光美

なお、拙ブログは2/28~3/15までお休みいたします。

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コメント

いづつやさま、

こんばんは。
いづつやさんの読書方法、とても興味深く拝読いたしました。
読み込んだ本の新刊が出るたびに購入される、というのは特に驚きました!私はそこまで読み込んだことは残念ながらありません。

私の場合は蝶々のようにあちらからこちらへ(笑)。
一冊の本から枝分かれして読みたい本が増えていくパターンが多いです。一時は着物関係の本をどさっと読みましたが、テーマが絞られたのは、その時が初めてでした。
帰国の時に無茶なまとめ買いをするので、読むスピードが追いつかないのが悩みです。

ところで、おとといの志村ふくみさんの関する記事にコメントをしようとしたところ、「スパムとみなされました」ということでコメントできませんでした。何か使用してはいけない言葉などあったのでしょうか。。

投稿: あかね | 2007.03.01 07:40

いづつやさんのブログ楽しみに拝読していたのに
低レベルスパムのため中断されているみたいで残念です。
スパム送る人って余程暇なんでしょうね。将来ホームレスになるか
犯罪者になるは分かりませんが心身とも貧しいことは変わりなさそう。。

いづつやさん、また復活されることを願っています!

投稿: k | 2007.03.08 18:06

いやそうではなく、おそらくいづつやさんは外国旅行をされていてネットに接続できる環境にいらっしゃらないのでしょう。
IPアドレスはわかるはずですから、投稿禁止にすればいいだけの話です。
僕のブログにも先日八通くらいのスパムがおくられてきました。
これからも続くようならば承認制にしなければと思っています。

投稿: oki | 2007.03.08 22:36

そういえばお休みすると書いてありました。
okiさんのおっしゃる通りですね。すいません!

投稿: k | 2007.03.09 12:08

to あかねさん
海外旅行のため返事が遅れてすいません。ギリシャ神話
やルネサンスの本は昔から楽しく読んでますので、新刊
がでるとどうしても買っちゃいますね。隣の方からは
“同じ本が沢山あるのに。。”と呆れられてますが。

テーマ毎にまとめて読み、ローテーションしていくやり
方を勝手に“スパイラル読書法”名づけています。垂直軸
にみますと、今年のギリシャ神話精通度を示すまるい点
は昨年の点より上にあります。そのまるい点の左右に、
例えばルネサンスの三角の点、江戸物小説の四角の点など
があります。スパイラルというのはこんなイメージです。

志村ふくみさんの記事にせっかくコメントしていただいた
のに、申し訳ありません。スパム対策でbad wordを規制
しているのですが、ときたま文章のつなぎの関係でなんら
問題ないフレーズがスパムとしてハネられることがあり
ます。気にしないで、これからも普通にお書きになって
ください。

投稿: いづつや | 2007.03.16 11:16

to kさん
はじめまして。拙ブログを読んでいただき誠に
有難うございます。海外に旅行していまして、
お休みしておりました。本日からまた、書き
ますので、よろしくお願い致します。

投稿: いづつや | 2007.03.16 11:35

to okiさん
Kさんのコメントをフォローしていただき有難う
ございました。お察しの通り、海外にでかけており
ました。本日からまた、再開します。

投稿: いづつや | 2007.03.16 11:40

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