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2007.02.14

梁楷の寒山拾得図

700MOAで光琳の“紅白梅図屏風”が展示されるときは入館者が多いので、ほかの作品も目一杯いいのが出てくる。

常時展示してあるのは野々村仁清の“色絵藤花文茶壺”(国宝)とその重量感のある丸い形に惹きつけられる“青磁大壺”、そしてモネの絵2点とレンブラントの自画像。

こうした定番に加え、例年中国、日本の青銅器、陶磁器が必ず陳列される。絵画では昨日取り上げた風俗画や浮世絵も沢山出る。そして、ここは琳派の作品で有名だから、“紅白梅図”だけでなく、当然光悦、宗達、乾山、抱一らの名品もあわせて展示される。今年は本阿弥光悦の“樵夫蒔絵硯箱”(重文)と“竹蒔絵硯箱”だった。“竹蒔絵硯箱”ははじめてみたが、質感のよくでた竹の描写に感じ入った。

屏風や掛け軸ではよく中国の山水・花鳥画や日本の海北友松の山水屏風が飾られる。今回は日本の長次郎の“黒楽茶碗 銘あやめ”、“信楽茶碗 銘初時雨”などが飾られているコーナーの背景に掛け軸の名品が3点あった。構図が素晴らしい相阿弥の“山水図”、右の梁楷(りょうかい)の“寒山捨得図”、牧谿(もっけい)の“蓮に鶺鴒・葦に翡翠図”。

ここにある牧谿のもうひとつの作品“叭々鳥図”は一度観たことがあるが、この鶺鴒(せきれい)、翡翠(かわせみ)は初見。蓮や葦は淡墨で描き、口ばしや尾っぽを濃墨で引く軽妙な筆使いが心に沁みる。梁楷の“寒山拾得図”はとても愛着を覚える絵。こちら向きと横向きのどちらが寒山か拾得か判然としないが、二人の笑った顔がなんともいい。今、森美術館の開催中の“日本美術が笑う”にこの絵を加えていればもっと趣向が増すこと請け合いである。

梁楷は南宋(12~13世紀)の宮廷画家で、牧谿(禅僧)よりは半世紀くらい前に活躍した。酒を愛し、常軌を逸する行動で変人呼ばわりされた画家だった。画風は筆数をできるだけ少なくして描く“減筆体”で飄逸に人物表現をするのが特徴。ぼさぼさの髪や衣文を淡い幅広の筆線で描き、笑った目や大きく開いた口の端の部分は濃墨を用い画面を引き締めている。

東博東洋館の中国絵画の部屋に同じ減筆体で描かれた“李白吟行図”(重文)が2年に一回のペースで展示される。最初は簡略的に描かれているようにみえてたのが、だんだん梁楷はさらさらと筆を動かしたのではなく、李白の動きや内面までを感じさせるように丁寧に描いていることがわかってきた。しっかりみると中国の水墨人物画も奥が深い。

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