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2007.02.22

エミリオ・グレコとジャコモ・マンズーの彫刻

710茨城県近代美術館へは加山又造の作品をみるためにわざわざ出かけたのだが、平常展で長年目をつけていた絵と対面できるかもしれないという期待があった。

それは河童や狐の絵で有名な日本画家、小川芋銭(おがわうせん)の代表作、“狐隊行”。が、残念ながら、これはなく、風景画などが4点展示してあった。

日本画に限らず、絵は見る機会を一度逃すと簡単にリカバリーできないことが多い。ユーモラスな狐の行進に惹きつけられる“狐隊行”も“あのとき観とけばよかったな!”と後悔している絵の一枚。

この美術館には水戸出身の横山大観や県北の五浦(いづら)で大観とともに日夜絵の研鑽に励んだ菱田春草、下村観山、木村武山の作品が沢山ある。今回、特に印象深かったのは観山が描いた大作屏風絵、“竹林七賢図”。金地に中国画の定番画題である七賢人を余白をたっぷりとり描いている。画面全体が明るい色調で、金地に映える淡緑の衣装に目を奪われた。また、嬉しいことに大観とともに茨城県が誇る陶芸家、板谷波山の渋い茶色の花瓶があった。一点だけだが、心に沁みる作品に大満足。

迂闊にも、会場にあったパンフレットで洋画家の中村彝(つね)が水戸の生まれであることを知った。で、作品が全部で8点と一番多い。現在、国立新美術館で開催されている“20世紀美術探検”に中村の素晴らしい静物画がでていたが、ここにもいい自画像や静物画がある。また、はじめてみる風景画“大島風景”というのもあった。

“ザ・ヌード”と題し、所蔵品を展示している隣の部屋にある“裸婦図”は中村がルノワールに傾倒してたことをみてとれる作品。あたたかみのある肌がすごくいい感じ。ほかでは梅原龍三郎、藤田嗣治、里見勝蔵の裸婦図に吸い込まれる。最近、神奈川県近美葉山の洋画展で里見勝蔵の鮮烈な赤の裸婦像を見たが、目の前にある絵もそれに劣らぬくらい赤が輝いている。色彩がこれほど目に飛び込んでくると一生忘れることはない!原色の赤の鮮烈度では里見の裸婦と林武の富士が双璧。4点あった西洋画ではシスレーの“葦の川辺ー夕日”に足が止まった。

絵画をみたあと、一階のフロアに飾ってあるエミリオ・グレコ(左の画像)やジャコモ・マンズー(右)の彫刻を楽しんだ。グレコやマンズーの作品がみられる美術館は国内にそんなにない。絵画を含めてここのコレクションの質の高さを思い知らされた。松岡美術館にグレコのいい裸婦像が4,5点あるが、ここの“エストレリータ”も魅力的。マンズーの作品は昨年、ローマの国立近代美術館で沢山みた。国内では箱根の森彫刻美と愛知県美、笠間日動美でしかお目にかかったことがない。ここのは立像の裸婦とは違い椅子にかけている。椅子のフォルムはイタリア人らしくセンスの良さを窺がわせる。

横浜からはかなり遠くに来た感じだったが、収穫の多いミニ美術旅行であった。

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