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2007.02.07

川端龍子名作展

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3年前から恒例となっている川端龍子の大作鑑賞のため、龍子記念館(大田区)を訪問した。今年前半は“龍子を取り巻く豊かな自然”と題し、所蔵品のなかから23点が展示されている(6/21まで)。

龍子は19歳のとき大森の地を踏んで以来、50年近くここで暮らした。記念館の隣にあった邸宅・アトリエ、“御形荘”には四季折々の木々や草花が溢れ、龍子はこうした植物を多く絵のなかに取り上げた。今回はこうした御形荘や大森にちなんだ作品が多くでている。

そのひとつが六曲一双の屏風、“草の実”(拙ブログ05/10/30)。これと似た絵がもう一点ある。“草炎”(東近美)で、こちらが最初に描かれ、美術愛好家から同じタイプのものを依頼されて、一年後に制作したのが“草の実”。過去数回みたが、いつも絵の中に吸い込まれそうになる。黒に近い紺地に金泥で描かれているのは御形荘近くの野原に生い茂っていた雑草。画面手前に葉の表と裏で金泥に濃淡をつけてタケニグサを大きく描き、その後ろに右の方に少しずつ傾斜した細いススキを繊細優美に配している。描かれているのは美しい花ではない、雑草なのに紺地に金泥描きされているため、画面全体が幽玄的な雰囲気につつまれている。

“爆弾散華”も代表作の一枚。御形荘と庭の草花は米軍機により落とされた爆弾で一瞬にして砕け散った。この絵は爆弾の閃光と爆風のすさまじさをあますところなく伝えている。空中に舞う折れた草花、閃光を表現する金の裂箔が印象深い。大きな力をもった絵である。金泥が使われた作品では“十一面観音”や“不動尊”、“青不動”は迫力がある。

上は見映えのする“御来迎”(部分)。横7.3m、縦2.4mの大きな絵。ここへは何度も通ったから出品作には2度目の対面となるのがいくつかある。これもその一枚。思い出深い絵なので、また熱心に見た。黄金に輝く太陽を背にして、3頭の白馬が疾走している。注意してみると雲のフォルムと白馬の首や胴体がダブルイメージ。で、はじめて見たとき“川端龍子はシュルレアリストか?”と仰天した。

と同時に、下の絵が頭をよぎった。これは昔、ミュンヘンにあるノイエ・ピナコテークでみたクレイトン作、“ネプテューンの馬”(1892)で、逆まく波頭がギリシャ神話に登場する海神・ネプテューンが操る海馬、ヒッポカンポスに変容するところ。龍子の言葉として“暁の女神は白馬に軽車を曳かせ、御して太陽出現の先駆をなしたという西洋の神話を借りた”とあるから、龍子はクレイトンの絵を見たのではなく、同じようなアイデアを思いついたのであろう。“御来迎”のほかにもう一点“渦潮”(拙ブログ05/2/26)でも雲と馬のフォルムが重なっている。

ここが所蔵する作品も残り10点(全120点のうち)になったので、そろそろ一休みできる。

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