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2007.02.15

ギメ東洋美所蔵 浮世絵名品展 その四

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ギメ東洋美術館が所蔵する質の高い浮世絵を観られるのも残り10日となった。後期の後半(2/14~25)だけに登場するのは20点。3回目の訪問(拙ブログ2/8)のとき、後期ずっとでる作品はもう一度みるから12日しか展示されない絵と較べると目力を少し落としてみた。で、最後に後半の作品と一緒に大まとめでじっくり観るつもりだった。

ところが、1階の展示フロアにいる沢山の人をみて、そんな気持ちはふっとんだ。20点みるだけでも大変そうな雰囲気である。すこしあせった。が、観始めると心配するほどでもなかった。部屋が狭いため、列の間隔は詰まっているが、こちらは前回見たのはパスするからお目当ての絵をみるのにそれほど時間はかからない。この週末はどうだろうか。会期も終わりに近いからかなり混みそう。

お目当ては北斎と広重の花鳥画。北斎は“檜扇”、“朝顔に蛙”、“百合”の3点、そして広重は“太藺に白鷺”。今回ギメから北斎の花鳥画は6点やってきたが、一番のお気に入りが後期の前半にでていた“芙蓉に雀”と下の“百合”。“朝顔に蛙”では図録で発見できなかった蛙の居場所がどうしても見つからない。で、前の人に訊くとすぐ答えが返ってきた。いました、いました雨蛙が!蛙の緑がちょうどカメレオンが体の色をまわりにあわせるように朝顔の葉の色とかさなっている。ふー、疲れた!

“百合”は見事な花鳥画である。うす青の地の中央に大きく描かれた百合は存在感があり、シンプルな構成は西洋の静物画を観てるよう。上手だなと感心するのは左右逆方向に花を咲かせる2つと上から垂れるつぼみの配置。本当にいい絵をみた。

広重が描いた白鷺にも声がでない。沼地に沢山生える背の高い太藺のなかをゆっくり進む白鷺の様子が情趣豊かにとらえられている。心に響く絵である。今回の広重の花鳥画(7点)は雀、鴨、白鷺、鷹、雁が登場する傑作揃い。流石、ギメである。こんな機会は滅多にない。

上の力士絵は勝川春英が描いた“立神盤右ヱ門”。全部で13点あった力士絵のなかで着物姿の力士を描いたのはこの絵と勝川春章の“東方 小野川喜三郎”の2点だけ。黒光する着物と左手で裾をあげ筋肉隆々の足を見せるポーズがきまっている。これをみると絵師たちが歌舞伎役者とともに力士をせっせと描いたかのがよくわかる。カッコいい男は世間がほっておかない。

最後にギメ自慢の写楽の大首絵3点と歌麿の“北国五色墨 川岸”をじっくり観て館を後にした。ギメ東洋美術館に感謝々である。

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コメント

こんばんは。
今日、平日ならば、さほど混んでいないと思ったのですが、
15分ほど並びました。凄い人気です。
でも、行ってきて、やはり良かったです。
いづつやさんみたいに、北斎の朝顔にカエルが見つからない
おばさんが横にいて、教えてさし上げたのですよ。
あの朝顔は本当になんともすばらしい構図、色、線でしたね。

花鳥図もなかなかの存在感ありました。
今回は、歌麿の凄さがよくわかりました。
北斎、歌麿、人気が出たのも、当然!!と思ったのでした。
勝川春英もイケメンのお相撲さんでした。

ギメ展で、充実の錦絵体験をさせてもらいました。

投稿: あべまつ | 2007.02.16 22:18

北斎のカエル。何匹いるのかと必死に探しましたが
一匹だけでしたね。
太藺(・・・この字が読めませんでした。ふといでしたね。)
の中の白鷺、愛嬌があって気に入りました。

投稿: 一村雨 | 2007.02.17 07:07

to あべまつさん
蛙はパッとみるとわかりませんね。葉っぱの裏側に
見えちゃうのです。同じようにわからない人がいて
安心しました。

東博でも歌麿はいつも出ていますが、これだけ摺り
の状態がいいのはそう多くはでてきません。ふっく
ら顔の美人画もいいですが、“川岸”のようなふて
ぶてしいインパクトのある女の絵も強く印象に残
ります。

今回のギメ展はエポック的な鑑賞体験になり
そうです。そして、次のヴィクトリア&アルバート
美展にも期待が高まります。

投稿: いづつや | 2007.02.17 14:35

to 一村雨さん
カエルは一匹だけですね。隣の方に図録をみせたときも、
最初はわからないと悩んでました。カエルの体の線が
葉っぱのようにも見えますから、よけいに朝顔の葉っぱ
しか描いてないでは?となるのですね。面白い体験で
した。

もう一枚悩ます絵があります。春信の“吹矢場”に描か
れた僧侶の奇妙な足を見られました?右向きに足が出て
るというのはどうみても変なのですが。。。
これから春信の絵を見るときは足の描き方に注意して見
ようと思います。

投稿: いづつや | 2007.02.17 14:55

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