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2007.02.26

出光美術館の志野と織部展

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やきもの展では定評のある出光美がまたまた大ホームランをかっ飛ばしてくれた。2/20からはじまった“志野と織部展”(4/22まで)には予想を上回る名品の数々が集結している。流石、出光が行うやきもの展はスケールがでかい。出品数は志野、黄瀬戸、黒織部、織部が全部で200点あまり。

特筆ものの出品は志野の茶碗を代表する名碗と言われる国宝“卯花墻”(三井記念美、全期間)、“鼠志野茶碗 銘峯紅葉”(重文、五島美、3/28まで)、“鼠志野茶碗 銘山端”(重文、根津美、3/10まで)の揃い踏み。この先当分はこんな贅沢な展示は見られないだろう。

そして、名品を集めるだけでなく、やきものの文様意匠について、窯跡から出土した陶片や風俗画のアップ画像、鏡、蒔絵などをつかって解説する展示の仕方にも感心する。“ハイ、名品をご覧になってください。美しいでしょう!”式の展示でなく、見る側の楽しみを最大限にしようとする意気込みがいい。

今回は鼠志野の茶碗にいいのがある。上の“峯紅葉”の胴に描かれた亀甲文と赤みがかった鼠色は言葉を失うくらい美しい。これに較べると鼠色がうすい“山端”も絶品。5年前、五島美であった“茶の湯名碗展”で一緒に見て以来の至福のときだった。この隣に“卯花墻”があるのだから、これはもうたまらない気分。はじめてみた“銘横雲”、“葦雁文額皿”、“草花文火入(向付)”の明るい鼠色にも目を奪われる。また、東博からは名品、“鶺鴒文鉢”(拙ブログ06/2/22)が、文化庁からは鶺鴒文と同様に口縁が大きく波打つ“撫子文鉢”がでている。

志野では思わずそのまるい形にさわりたくなる草樹文、山水文、千鳥文の水注に魅せられた。このうち2つは出光の所蔵。出光にある志野は底なし沼のようだ。なんでも揃っている。

真ん中の黒織部は“吊し文茶碗”。楕円形という独特の歪んだ形と横にのびる線に先がまるくなった短い線が幾本も垂れ下がる抽象的な文様にハットなる。格子の垣根や蕨などはすぐイメージできるが、星やこの吊しはどうみても抽象的な幾何学模様。

織部の魅力は艶のある緑の釉薬と卓越したデザインセンスから生まれる多彩な器形。扇面形蓋物(東博)があったり、桃山時代の着物や漆器に見られる“片身替わり”の意匠を思わせる手鉢があったり、同じ文様でもひとつ々微妙に違う五客の向付があったりと色々である。下の向付は千鳥の形をデフォルメしたもの。見込みに描かれた模様がまたモダン。

最後のコーナーで丁寧に見せていた文様・意匠のヴァリエーションが面白かった。例えば“橋”、“車輪”、“籠目”、“吊し”、“門木”、“千鳥”など。ここ数年、風俗画に力を入れているので、これから屏風絵をみるとき、こうした文様の知識が役に立ちそう。超一級品のやきものと工夫をこらした展示方法に200%満足した。

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コメント

おはようございます。

私も200%満足できました。
展覧会のタイトルがシンプル?
地味?なのでぶらりと出かけた
私にとっては驚きの連続でした。

投稿: Tak | 2007.03.03 07:57

to Takさん
海外旅行で返事が遅れてすいません。志野と織部展
は超一級ですね。流石、出光の企画です。今回は
とくに意匠、文様の展示が大変インフォーマティブ
なのが有難いです。

投稿: いづつや | 2007.03.16 11:27

いづつやさん、こんばんは
ようやくTBがうまく行きました~
(かれこれ5,6回ほどやっていましたが、
ことごとく失敗していました…とほほ…)
既に終了した展覧会ですが、おっしゃる通り
流石出光な展覧会でした。じっくりと文様や地の色の違いなど
見比べさせる…見るものに考えさせるという点で○でした。

投稿: アイレ | 2007.05.01 22:02

to アイレさん
何度もTBトライしていただき有難うございます。
志野や織部のやきものは東博の平常展でよくみて
ますから、身近な存在ですが、これだけ沢山いい
のが揃うと、あらためてその魅力に釘付けになり
ますね。

流石、出光ですね。有名な名品がほとんどでて
ました。“志野茶碗 銘蓬莱山”をみるため、また
でかけました。これで当分、志野・織部はパスで
きそうです。

投稿: いづつや | 2007.05.02 13:56

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