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2007.02.04

神奈川県立近代美術館葉山の洋画展

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現在、葉山にある神奈川県立近代美術館で質の高い展覧会が開催されている(3/25まで)。最初はお目当ての一枚の絵を観て、あとはさらっと流し、慣例の図録購入は無しで、引き上げようと考えていた。鎌倉の棟方板画美術館がメインでこちらはついでにという軽い気持ちである。ところが、館内に足を踏み入れ作品をみていると、これは立派な展覧会だということに気づいた。

“時代と美術の多面体ー近代の成立期に光をあててー”という小難しい名前に負けないいい作品が沢山ある。東近美やブリジストンに通い、日本人画家が描いた洋画の傑作に目が慣れたせいか、最近は洋画を観ていい気分になることが多い。章立(1~8章)はよくできている。知っている画家の作品では萬鉄五郎(スケッチを含めて15点)、里見勝蔵(10点)、松本竣介(4点)、関根正二(2点)、村山槐多(4点)、三岸好太郎(5点)、藤島武二(5点)、中村つね、安井曽太郎、梅原龍三郎、藤田嗣治、岸田劉生(各1点)、古賀春江(4点)。

このなかには過去開かれた大きな展覧会や画集でみた有名な絵がある。例えば、萬鉄五郎のキュビズム画、“裸婦”(神奈川県近美)、中村つねのレンブラント風の“帽子をかぶる自画像”(宮城県美)、里見勝蔵の裸婦の強烈な赤が眩しい“室内・女”、三岸好太郎のピエロ、“少年道化”(ともに東近美の図録に掲載されている)、古賀春江の代表作の一つ、“窓外の化粧”(神奈川県近美)。そして、松本竣介の大作、“街にて”(下関市立美)、“黒い花”(岩手県美)や“橋(東京駅裏)”(神奈川県近美)や村山槐多の“自画像”(三重県美)にもグッときた。また、チャールズ・ワーグマン、五姓田義松、黒田清輝、高橋由一らが描いた富士山の絵(17点)も見てて晴れ晴れとした気持ちになる。まさに“THE風景画”。絵をみる楽しみここにありといった感じである。

これらの名画に加えてお目当ての絵、上の安井曽太郎の“承徳の喇嘛廟”(永青文庫)や梅原龍三郎の“長安街”(東近美)があるのだからテンションはいやがおうにも上がる。“承徳の喇嘛廟”は02年東近美であった大展覧会の際、展示替えでみれなかった作品。図録で見て以来、対面を長く待っていたが、ようやく夢が叶った。左右の大きな木がうす黄色の地面とうすピンクの壁面をした建物をはさむ安定した画面構成に魅了される。これまで洋画の風景画では梅原の“紫禁城”、“雲中天壇”がベストワンだったが、この絵を加えなくてはいけない。すばらしい絵を見れて200%感動した。

もう一点、痺れた絵がある。それは下の関根正二の“少年”(神奈川県近美)。これを見るのは二度目。少年のほっぺの赤が目にしみる。ブリジストン美にある“子供”が着ている洋服の赤と同じ輝きである。関根正二という天才画家が20歳の若さで亡くなったことが残念でならない。もっと生きていたら、多くの人を惹きつけるすばらしい絵を沢山描いたことだろう。

あまり期待していなかった展覧会だったが、実際は一級の作品揃いだった。神奈川県近美に感謝。

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