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2007.02.11

20世紀美術探検展

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国立新美術館で“異邦人たちのパリ展”と同時開催されている“20世紀美術探検”(3/19まで)は見るのに相当の体力がいる。なにしろ出展数は500点をこえ、これらが1階の全フロアに展示してある。国内最大級の展示スペースを観客に印象づけるにはうってつけの企画展である。

だが、大量の作品群だから、次から次とでてくる作品一つ々を同じテンションでみるというわけにはいかない。作品は“20世紀の特徴である物質文明と美術の関係を探る”というテーマで3つのパート、“物とその表現”、“物と人間の生活”、“マテリアル・ワールドに生きる”に分類されている。

行きつけの美術館だと、展示室のレイアウトに応じた鑑賞作戦がある。例えば東京都美だと何度も階段を登らなくてはいけないから、一つ々の展示室を観終わったら直ぐ、次の部屋に移らないで、そこで気に入った絵を再度じっくり観る。先に行ってからまた戻ってきたくないからである。ここははじめてなので、この方法はとらずどんどん先に進んでいった。で、最後の出口にたどり着いたときには、さすがに疲れ、随分離れた入り口に戻る気力はなかった。作品に対する反応は最後のほうになるとだいぶ鈍ったが、刺激的な新規の作品に出会わないものかと頑張って観た。

最初の部分は内外の画家が描いた静物画が並んでいる。よく見かける作品がある。セザンヌの“ラム酒の瓶のある静物”は国内にある静物画では一番いい絵。隣にあった中村つねの“静物”も赤い林檎がすごくいい。また、岸田劉生の“静物”もお気に入りの作品。この林檎をふくやま美術館ではじめて見たとき、リアルな質感表現に驚愕した。

森村泰昌の“批評とその愛人1~7”にはギョッとする。下敷きに使われているのがセザンヌの“りんごとオレンジ”。森村はいつ出てくるのだろう?と構えてみたが、なかなか出てこない。4番目の“りんごとオレンジ”でやっと見つけた。そうか、今回は小さなりんごとオレンジになりたかったのか!ご苦労さんである。でもなんで愛人1~7なの?作品数が少ない展覧会で見たかった。謎を解いてる時間はない。

セクションⅠにポロック、フォンタナ、クライン、デュビュッフェらのビッグネームの作品がある。上はイブ・クラインの“海綿レリーフ”。深海のような静けさである。モノクローム画ではクラインのインターナショナル・クライン・ブルーに最も惹きつけられる。非物質を表現したクラインのブルーはひたすら美しい。

“物と人間の生活”では、前衛芸術の有名な作品がいくつもある。数の多いのが“泉”、“自転車の車輪”などがずらっとでてくるデュシャンとコラージュのシュヴィッタース。未来派バッラの作品がふくやま美術館から5点きていた。これは意外だった。作品が多いので名画や名品の輝き方が量に押されて普段より幻惑されるが、嬉しいことにデ・キリコの名作、“吟遊詩人”(ブリジストン美)、ボッチョーニの代表的な彫刻“空間における連続性に特有な諸形態”などもきっちり飾ってある。

驚いたことにNYのMoMAからもレジェの“都市”が出品されていた。また、ロサンゼルス現代美術館からきたリキテンスタインのポップアート作品、“あばら肉”などにも魅せられる。最後のゾーンには6人のアーティストの最新作がある。夢中になってみたのが下のクレイグ=マーティンが制作した“物は変化する”。ポップアート風の色使いで表現された携帯電話、ビール缶などが大きな壁面にプロジェクションされる。鮮烈な色彩対比が多少ダレた気分をシャキッとしてくれた。美術鑑賞に“終わり良ければ。。”というのはないが、今回だけは素直にそう思いたい心境だった。

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コメント

柳らの民芸運動をアヴァンギャルドの枠組みで捉えていたり、機械で演奏する音楽があったりとまあ楽しめました。
おっしゃるように膨大な展示数なので最初のほうをゆっくり鑑賞しているとあとのほうで時間が足りないという自体にもなりますし、時間配分が難しい展覧会ですね。
いづつやさんのように、ポンピドーと一緒に鑑賞されたのならさぞ時間がかかったでしょう。
問題はだだっ広い展示会場の中にト○レが最後のところしかないことですね。
森美術館のように途中にト○レを作ってほしいと思いました。

投稿: oki | 2007.02.12 11:10

to okiさん
アサヒビールの大山崎山荘や日本民藝館がでてきのには
ビックリしました。主催者もいろいろ感えてますね。
とにかく疲れました。

投稿: いづつや | 2007.02.12 18:13

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» 「20世紀美術探検」の冒険へ [Beautiful Noise]
 まずは展示された作品の数に圧倒されます。その数約600点、通常の企画展の5、6倍の規模です。国立新美術館の開館記念展『20世紀美術探検-アーティストたちの三つの冒険物語-』は、20世紀の美術を俯瞰し、その展開を紹介しようとするスケールの大きい企画です。会場には絵画を中心に、デザイン、工芸、インスタレーションなど多彩な表現形式の作品が並びます。  会場に入ると、まずセザンヌ「ラム酒の瓶のある風景」(1890)が展示されています。20世紀美術に大きな影響を与えたセザンヌの位置を確認するか... [続きを読む]

受信: 2007.02.11 23:02

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