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2007.02.13

MOAの岩佐又兵衛

699今年最初のMOA詣でをしてきた。

1/27から3/5まで開催される“所蔵名品展”の目玉は世間的には尾形光琳の“紅白梅図屏風”であるが、この絵は過去2年丁寧に見たから今年はさらっとみて、注目の岩佐又兵衛の絵巻に時間をかけるつもりだった。

だが、HPの情報を過大に解釈してしまった。代表作の“山中常盤物語絵巻”は全12巻のうち巻4とあったから、てっきり巻4を全部みせてくれるものと思っていた。でも目の前に展示してあったのは、右のようにひとつの場面だけ。ううーん、残念!04年、千葉市美術館であった大回顧展でも巻3のみ(拙ブログ04/11/28)。全巻がみれるのはまだ先のようだ。

今回は巻4の一部がでている“浄瑠璃物語”は05年に12巻全部を公開し(05/3/20)、昨年は“堀江物語”もでてきた。“山中常盤”の公開は03年だったから、今年後半か来年あたりに全巻みられるかもしれない。“山中常盤物語”の巻4で観たかったのは牛若丸の母、常盤御前が盗賊に刺し殺され、息絶える場面だったが、でていたのはこれではなく、右のひとつ手前の美しい着物を盗賊に剥ぎ取られるところだった。上半身裸の侍従も柱に寄りかかり呆然自失。常盤御前は必死に抵抗するが、なすすべもなく獰猛な盗賊に小袖まではがされてしまう。恐怖におびえる常盤の顔の表情や目的を果たし素早く逃げる男たちの動きを又兵衛は迫真的過ぎるほどにリアルにそして勢いよく描いている。

“浄瑠璃物語”のゴールドの色面にまたまた目を奪われた。どうしてこんなに輝くのかと思うくらいゴールドが目にとびこんでくる。画面全体を締めている欄干や屋根の茶色や衣装の赤と松の緑の鮮やかな対比など華麗な色パワーに圧倒され、視線は浄瑠璃姫と声をかけようとする牛若丸の姿だけにとどまっていない。又兵衛の作品は3つの絵巻のほかに“自画像”、“柿本人麻呂・紀貫之図”、“伊勢物語図”がある。

岩佐又兵衛に合わせたのかもしれないが、今回は“ミニ風俗画展”の雰囲気。お気に入りの“湯女図”(拙ブログ06/1/19)や桜花の下で風流傘を先立てて多くの婦女子が踊りに興じる“花見鷹狩図屏風”(雲谷等顔、重文)に感動した。さらに、着物の模様や色がよく残っている肉筆風俗画の“唄比丘尼図”、“巡礼図”、“男舞図”、“舞妓図”にもうっとり。とくに黄色の着物に身をつつんで唄を歌う比丘尼の顔に惹きつけられる。これほど表情豊かな風俗美人画をほかにみたことがない。

最後の浮世絵コーナーにも名作が展示してある。二度目の鳥居清長の“見立牛若丸 浄瑠璃姫”や歌麿の“婦女人相十品 文読美人”などにもメロメロ。光琳の“紅白梅図”は軽くスルーしても大満足の名品展であった。

<展覧会プレビューの更新>
はろるどさんから若冲や芦雪の動物画などが出品される府中市美術館の展覧会情報をいただいた。作品の詳細はわからないが、期待がもてそう。

3/17~4/22   動物絵画の100年展       府中市美術館

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コメント

山中常盤は去年映画で見ました。凄い絵巻でした。
『知る楽』の又兵衛の回でも出てましたね。
血の描写がよかったです。
荒木村重は実はけっこうご近所さんです。
湯女図も好きです。
わたしはやはり近世風俗画が好きだなぁと思いました。

鍋島もいよいよ大阪で始まりましたよ。

投稿: 遊行七恵 | 2007.02.14 13:29

to 遊行七恵さん
七恵さんも山中常盤の映画をみられましたか。4巻の
常盤の胸が血に染まる場面を想像して、部屋に入った
のですが、その前の場面でした。今回はセカンドベスト
で満足することにしました。来年あたり全巻公開があ
るでしょうから、じっと待っています。

七恵さんも多分鑑賞済みと思われる“花見鷹狩図”を
今回も夢中になってみました。ここは本当にいい
風俗画をもってますね。大阪の鍋島展も大勢の人がつ
めかけるでしょうね。

投稿: いづつや | 2007.02.14 17:36

MOA美術館、行ってきました。
又兵衛の浄瑠璃物語、はじめて見ましたが、なんてゴージャス
なんだろうと赤と金の饗宴に驚きました。

投稿: 一村雨 | 2007.02.17 21:04

to 一村雨さん
浄瑠璃物語はご覧になってお分かりのように画面の
大半部分が目に眩しいゴールドです。そして衣装の赤、
松の濃い緑。密度の濃い王朝絵巻といった感じですね。
05年に公開された全12巻を観たときの感動は半端で
はありませんでした。

今は山中常盤の公開をひたすら待っています。

投稿: いづつや | 2007.02.18 10:39

いづつやさん、こんにちは
まだ又兵衛の絵巻を全巻見ていない、私には今回の展示は
かなりありがたかったのですが、場面を見ていると全体も
見てみたいという気持ちが強くなります。
特に「浄瑠璃物語」の絢爛豪華な描写はすさまじいものが
ありますね。まるで空間を拒絶するかのような作者の姿勢に
圧倒されそうでした。

他の作品も素晴らしいものばかりで、これから何かとチェックしなければいけない美術館になりました。

投稿: アイレ | 2007.02.18 16:41

to アイレさん
岩佐又兵衛の絵巻にぞっこんなものですから、今回は
3つの巻4がずらっと展示されてるイメージで部屋に入っ
たのですが、いきなり“ありゃらら。。一部だけ?”と
少し力が抜けました。浄瑠璃物語と堀江物語はOKで、
肝心の山中常盤の胸から血がとびちるのが観たかった
のですが。

気を取り直して、浄瑠璃物語をしっかりみました。
05年に全巻みましたが、華麗なゴールドパワーに200
%KOされました。全身がこれほど興奮する絵巻はほかに
見たことありません。最近は江戸絵画の人気が高いです
から、また公開があるかもしれませんね。そのときは是非
ご覧になってください。

投稿: いづつや | 2007.02.18 18:29

こんばんは。時々拝読させていただいていますが、コメントを投稿するのは初めてかもしれません。MOA美術館に行ってきました。自分の記事を書いたあとで、こちらを拝見して、あ、やっぱり又兵衛と江戸初期の風俗画に惹かれる方がいるんだな、と思って、嬉しくなりました。
私も千葉市美術館の又兵衛展、映画『山中常盤』(これは岩波ホールで)見ております。

投稿: jchz | 2007.02.18 23:10

to jchzさん
はじめまして。書き込み有難うございます。今回の
又兵衛の絵巻は全部ではなく、一部の展示だったので、
ちょっと消化不良(とくに山中常盤)の感がありま
しが、三つそろって観れたのはとてもよかったです。

来年あたり、山中常盤全巻が出てきそうなので、
それを楽しみに待ってます。3年くらい前から風俗
画に力をいれているのですが、2年前徳川美術館に
いいのが沢山出たのを不覚にも見逃してしまいま
した。HPのチェックを怠ってまして大失敗でした。

で、徳川美にある風俗画とMOAの山中常盤を最大の
ターゲットにしてます。これらをみますと、風俗画も
一応済みマークがつきます。風俗画がお好きなよう
なので、これからもお話しさせてください。
よろしくお願いします。

投稿: いづつや | 2007.02.19 11:14

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受信: 2007.02.18 16:23

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