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2007.02.24

鏑木清方の慶長風俗

715埼玉県立近代美術館へ行ったのは2度目だったが、今回は満足度が高かった。

それはシュルレアリスム展にマグリットの驚愕の作品がでていたためであるが、もうひとつ常設展で予想もしてなかったサプライズがあったから。

その絵の前に2/25まで地下の展示場で行われている“大村コレクションにみる女子美卒業生展”のことを少々。昨年、ホテルニューオータニで開催していたときは、好きな女流日本画家、片岡球子の絵がでてたので出かけようという気分は30%くらいあった。が、ほかの画家を知らないので、結局意識の中から消えた。

今回はどういうわけか無料。あの片岡球子の真っ赤な富士山がみれると浮き浮きしながら会場に入ると、ほかにも少しは馴染みのある画家の作品が何点かあった。で、これはひょっとするといい展覧会かもしれないと目をかっと見開いてみた。最初に驚いたのが三岸節子の小さい絵、“花”。女子美の出とは知らなかった。三岸節子が好きな友人がいて、この画家のことを書いた本を熱心に読んでいた。夫の三岸好太郎の絵なら東近美でよくみているから画風のイメージはすぐ浮かんでくるが、節子の絵とは片手くらいしか会ってないため、どれが代表作なのかつかめてない。“花”のマチエールはすこし盛り上り、赤、緑、黄色の色面が印象的だった。

はじめての画家では、青柳ナツエの白い肌の女性に魅せられる絵や対象を手前に大きく描き、深い緑で画面全体を彩る広瀬晴美の画風に足がとまった。お目当ての片岡球子の作品は定番の面構えシリーズ1点と赤い富士山が3点あった。富士山の赤と裾野の黄色や緑の強い対比がいつもながら目に眩しい。モザイクのように形を細かく分割して装飾的に描いたものと較べると、この富士山は穏やか。長い歴史のある女子美だから、秀れた画家が何人でても別に驚くことでもないなと思いながら、1階に上がり、料金を100円とられた常設展の部屋に向かった。

そこにあったのが右の鏑木清方の“慶長風俗”(展示は3/11まで)。しばらく声が出ず、観続けた。左のしゃがんで川の水に手を入れている童女のふっくらした顔が実に綺麗。目を奪われるのが赤い扇を持ち右のほうを見つめている慶長美人と童女が着ている衣装。透き通るような白い肌に繊細な青と橙の色彩が合い、精緻に描かれた紋様は女性の美しさをさらに惹きたてる。本当にいい絵をみた。家に帰って画集を見たら後ろのほうに白黒で載っていた。感激するはずである。

年2点のペースで鏑木清方のいい美人画に遭遇してきた。昨年は“いでゆの春雨”(拙ブログ06/2/16)と“薫風”(11/21)。次の狙いは鎌倉の大谷記念館にある“道成寺・鷺娘”。なんとか会えるようにといつもミューズに祈っている。

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コメント

「慶長風俗」はとても好きな作品です。わりと清方も江戸時代初期の絵を残していたりしますよね。(明治風俗がメインとは言え)

三岸節子は男性より女性に圧倒的に支持されていると思います。
節子の絵は見ていると、「わたしもがんばるぞ」と言う決意や気合を生み出させてくれますし、こちらにエールを送ってくれるようです。
花の絵も静物もフランスの景色も、何もかもが節子の血が通っています。

投稿: 遊行七恵 | 2007.02.25 13:26

to 遊行七恵さん
“慶長風俗”の余韻に酔いしれてます。学研の画集、
“巨匠の日本画・鏑木清方”の巻末に白黒でこの絵が
載っていたことをすっかり忘れ、展示場では興奮して
しまいました。童女の顔に惚れ込みました。本当に
綺麗です。

三岸節子は作品をまとまった形でみたことがないので、
どんな画風なのかわからないのです。“日曜美術館
30年展”の2点に続いて、少しずつ増えてますから、
そのうちイメージがつかめるかもしれません。

投稿: いづつや | 2007.02.25 21:54

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