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2007.02.10

異邦人たちのパリ展 その二

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画廊やビエンナーレのような特設展示場に出向くことがないので、今回のような日本で開催されるポンピドーセンターやNYのMoMA,グッゲンハイムといったブランド美術館の所蔵展は抽象絵画の傑作や刺激的な現代アートをみる絶好のチャンス。

期待する作家は何人もいる。チラシにのっていたカンディンスキーの“相互和音”は決して悪くはないが、ポンピドーの所蔵作品では一番気に入っている“黄ー赤ー青”と較べると色と形態がちょっとおとなしい。こちらよりは赤や黄色などの明るい色で彩られた円形のフォルムが美しいソニア・ドローネーの作品やクプカの大作が心に響いた。

クプカの上の“動きのある線”と“線、平面、空間Ⅲ”は94年愛知県立美術館であった回顧展で一度みた。この素晴らしい抽象美に会えるとは想像もしなかったから、急に心臓がバクバクしてきた。そしてプラハの美術館(拙ブログ04/12/6)での感動が蘇る。なんだかスタンリー・キューブリック原作の映画“2001年宇宙の旅”みたいに、宇宙船に乗り大きな環が何層も取り巻く広大な宇宙空間の核に向かって突き進んでいるような気がしてきた。

画面のなかに運動が表現された作品はもう一枚あった。それは下のヴァザルリが制作した“夢”。二次元の画面がじっと見ていると、前後に動いてるように見える。小さな正方形と円の連続なのに、黄色と紫の対比による錯視効果で、凹凸のある不思議な空間が生まれているのである。昔観た白黒のはエッシャーの作品のようだったが、今回の色つきオプティカルアートでは画面がダイナミックに動く。これは大収穫だった。

錯視で楽しませる作品に囲まれて1点、面白い木製の作品が置いてある。ベルギー人作家、ビュリの“9平面上の81個のボール”。斜面に置かれた木の小さな球がよくみているとちょこっと一斉に動くのである。せっかちな人はこれに気づかず、すっと通り越すかもしれない。見逃すといえば、ティンゲリーの廃品でつくった“メタNo.3”は2階の展示会場ではなく、1階の正面入り口の左端に飾ってあるので、全部見たと思って帰らないこと!

アクションペインティングやアンフォルメルタイプの作品では、色が鮮烈なミッチェルの大作、“グランド・バレーⅩⅠⅤ”に心が揺すぶられた。堂本尚郎や今井俊満、菅井汲の作品もあったが、とくに惹かれることはない。また、注目しているザオ・ウーキーの“青のコンポジション”に遭遇したが、これよりは今、ブリジストン美に展示されている“07.06.85”の方が感動する。

ポップアート好きにはたまらない作品があった。アロヨの“脱獄したジャン・エリオン、ポモジェからパリへの道のり”とアダミの“レーニンのベスト”。アダミの色彩感覚に200%KOされた。赤の地に橙色やピンクをアクセントに使うところなどは天才的。こういう色彩感覚はイタリア人に受け継がれたDNAだろうか。

流石、ポンピドーコレクション、バラエティに富んでいる。クプカの作品をみれたり、アダミのようないいポップアート作家にも出会ったので、満足の総量はかなり大きかった。

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受信: 2007.02.18 15:42

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