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2007.02.09

国立新美術館の異邦人たちのパリ展 その一

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六本木に新しくオープンした国立新美術館へ出かけた。国内で最大級の展示スペースをもつアートセンターというふれこみなので、開催中の2つの展覧会を時間をかけてみて、体力に余力があればほかの美術館を回るということにした。

地下鉄千代田線の乃木坂駅からだと美術館に直結しているから、歩かない分便利。だが、建物の後ろ側から入る格好なので、黒川紀章が設計したユニークな曲面のファサードは見ないまま展示会場に入ることになる。ガラス張りの建築の中は外光がよくはいり、とても明るい。2階で行われているのが2/7からはじまった“ポンピドー・センター所蔵作品展 異邦人たちのパリ1900ー2005”(5/7まで)。1階の展示会場は全部1/21に開幕した“20世紀美術探検”(3/19まで)の出品作で埋め尽くされている。2つの展覧会は別の企画なのでそれぞれ観覧料がいる。

今回のポンピドーセンター展は果たして、有名な作品が大量にやってきて大人気だった97年の“ポンピドーコレクション展”(都現代美術館)と同じくらいの質が期待できるのか?胸の高まりを抑えて会場に足を踏み入れた。観客は続々と入ってくるが、スペースがたっぷりあるから鑑賞は非常にスムーズ。作品をゆったりとじっくり見られるので、申し分ない。

展示されているのは旺盛な創作意欲と夢をもってパリにやってきた外国人芸術家の作品200点(1900-2005)。だから、フランス人のマティス、ブラマンク、ブラック、レジェ、デュシャン、ルオー、デュビュッフェらの絵はない。芸術の都には世界各国から才能ある画家やアーティストが集まったから、これまで縁のなかった作家や作品がいくつもでてくる。中には響かないのもあるが、興奮するような発見の方が断然多く、刺激に富む作品群だった。

ビッグネームの画家では、ピカソに較べるとシャガールのほうがいい。もっとも4点は全部02年の“シャガール展”(東京都美)にでていた。上の“エッフェル塔の夫婦”は好み度では“ロシアとロバとその他のものに”や“盃をかかげる二重肖像”(今回は出品なし)より下がるが、シャガールのお馴染みのモティーフが幻想的に表現されたとてもいい絵である。不思議でならないのが画面中央、紫の服を着たシャガールと白いウエディングドレスのベラの横にいる大きな鶏。鶏の腰あたりにはバイオリンを弾く少年がいて、前に逆さの天使が蝋燭をもっている。対象が逆さになったり、人間やロバが横になったり斜めに飛んだり、シャガールの絵は夢と幻想に満ち溢れている。

チラシをみて是非とも対面したいと思っていたモディリアーニの女性肖像画“デディーの肖像”は普通の黒目には惹くつけられたが、背景の処理や黒の衣装の描写がすこし粗いので、それほど感激しなかった。これよりドンゲンの大作裸婦像、“スペインのショール”や赤のショールが目にまぶしいキスリングの“若いポーランド人”に魅せられた。ドンゲンの絵の鑑賞が増えるたびに、ますますファンになっていく。昨年の大回顧展で沢山の作品が体の中に入った藤田嗣治の4点にも足が止まる。“カフェ”にては回顧展でも2点見たが、別ヴァージョンがポンピドーコレクションにあった。3点で全部、ほかにもあるのだろうか?

下のド・スタールの“ミュージシャン、シドニー・ベシェの思い出”はお気に入りの作品。これは97年のときでていたので嬉しい再会となった。縦方向の赤や黄色、青の明るい色面に目を奪われる。音楽家たちの演奏する楽器の音色や軽快なリズムにあわせて体が自然に揺れてくる。日本の美術館でド・スタール(ロシア人)の絵をみたのは福岡市美術館にある“黄と緑の長方形”。厚塗りの絵具で描かれた黄色と緑の四角が心地よいフォルムとなって画面に繰り返されていた。モザイク的な色面が生き生きとしていて、具象が感じられる抽象画である。いっぺんにこの画家の虜になった。

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コメント

いづつやさん、早速いかれましたか。
そうなんですよ、僕は乃木坂からそのまま入ってしかも夜間開館だったから殺風景でこんな感じかと驚いてしまいました。
僕が観たのは「20世紀美術探検」ですが一階の展示室を全部使っていけども行けども終わりがないというー。

さてミュージアムショップものぞいてみましたが本やなんかは少ないのですね、アーティストの作品自体を取り扱っているというユニークなお店でした。
続きのレポートも期待しています。

投稿: oki | 2007.02.10 09:42

すみません、今投稿したらコメントがスパムコメントとみなされてどうこう表示されましたがー。
ト○レという言葉がいけなかったのでしょうか。

投稿: oki | 2007.02.10 09:44

to okiさん
ここは流石展示場が広くていいですね。東京都美や
都現代美のように何度も階段を登るのはシンドイです。
現代アートは作品自体が大きいものがありますから、
ゆったりした空間でないと作品を味わえません。

所々に休憩スペースがあるのも気がきいてます。今回
は2つの展覧会をみるので精一杯でショップに寄りま
せんでした。次回のモネ展のとき、のぞいてみます。

スパム対策で、その言葉はNGにしてます。

投稿: いづつや | 2007.02.10 11:27

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