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2007.02.23

シュルレアリスム展のマグリットとミロ

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待望のシュルレアリスム展(埼玉県立近代美術館、2/21~3/25)を楽しんだ。この企画展をみて、日本ではシュルレアリスムのいい絵は東京より地方の美術館に多くあることがわかった。

アメリカやフランスを例にとっても、シュルレアリスムやダダ、現代アートの傑作はNY、パリといった首都に集結しているのに、東京にある西洋美や東近美、東京都現代美には質の高いダリ、マグリット、デルヴォー、ミロの作品がほんの少ししかない。首都圏で近・現代絵画の名品をぱっと思い出すのは東京の美術館ではなく、横浜美術館のダリや川村記念美術館のステラ、ロスコー。

この企画展にはシュルレアリストが制作した良質の作品を所蔵する岡崎市美術博物館(埼玉県近美の後、4/7~5/27に開催)、宮崎県立美術館(7/21~9/2)、姫路市立美術館(9/15~10/28)などから集まった134点が展示されている。なお、巡回展は山梨県立美術館でも6/2~7/8に行われる。章立てはシュルレアリスムを身近な作品として楽しんでもらおうと工夫されているから、鑑賞はスムーズに流れていく。

“1章:意識を超えて”、“2章:心の闇”、“3章:夢の遠近法”、“4章:無垢なるイメージを求めて” いつものように、学芸員の方には申し訳ないが作品分類は横に置き、惹きつけられる作品だけを追い求めた。その中に、びっくりするほど仕上がりが綺麗で、そして日本にこんないい絵があることが誇らしくなるような特○の絵があった。上のマグリットの大作“現実の感覚”。この絵は時の人、東国原氏が知事をつとめる宮崎県立美術館が所蔵している。

真ん中の空に浮く超デカイ石のかたまりに目が点になる。石の下の光があたる山や川がとても美しく描かれ、目のさめるような明るい空に柔らかい大きな雲が切れ目なく続いている。マグリットは石や鳩、リンゴ(拙ブログ06/3/24)のように大きな対象を登場させるのが得意。不思議な魅力をもった絵である。真ん中も宮崎県美がもっている“白紙委任状”。以前、円山応挙の“龍門鯉魚図”(05/5/14)のシュールさを対照させた絵である。女性が乗っている馬の体はひとつは木々のむこうの草木で縦からカットされ、もうひとつは一本の木で隠されている。女性に注目すると、左右の木に挟まれるように前進している感じ。

マグリットは夢や非現実を描いたダリやエルンスト、タンギーらとは異なり、現実世界の中で感じられる謎や不条理を表現しようとした。われわれは現実にはありえないような組み合わせにハットするが、よくみると森の中を進む馬と女性が絵のように見える気もするから不思議である。マグリットの絵は思い込みや常識を取っ払い、別のイメージを目の前に見せてくれるから、みてて楽しい。まさにイメージの魔術師。

国立新美術館で開催中の“異邦人たちのパリ展”に出品されているミロの絵に較べると下の“夜の中の女たち”(セゾン現代美術館)とか“雑貨商”(おかざき世界子ども美術博物館)のほうがグッとくる。子供が描いたような女性、星、鳥をイメージさせるフォルムは優しくて愛嬌がある。今回出ているミロの作品8点はどれもいい。

諸橋近代美術館から出品されたダリの“ダンス“と“反ピロトン的聖母被昇天”は現地でみたとき感激した作品。また二つあるオブジェも楽しい。姫路市立美術館はデルヴォーのいい絵を所蔵していることは何年か前シルフさんに教えてもらったが、やっとお目にかかった。6点のなかでは“海は近い”に魅了された。そして、“森”(埼玉県近美)もなかなかいい。ダリとならぶ大物、エルンストは版画、彫刻を含めて13点あったが、大きな絵“ポーランドの騎士”(愛知県美術館)と遭遇できたのは嬉しい誤算。

今回の一番の衝撃はなんといっても宮崎県美が一級のマグリットの絵を所蔵していたこと。参りました!

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