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2007.02.16

東博平常展の前田青邨

703東博本館のいくつかのセクションで現在展示されている作品をまとめてみると、これが結構な“名品展”になっている。

そのセクションとは、偶然にも会期の終わり(3/11まで)が一致した2階の“屏風と襖絵”、“書画の展開”、“浮世絵”、そして1階にある“近代美術”(これは3/25まで)。

“屏風と襖絵”にある海北友松の“琴棋書画図屏風”(重文)を感慨深くみた。これまで京都にある建仁寺蔵の水墨山水画や雲龍図などはみたが、彩色画をみるのははじめて。高士ではなく唐美人の琴棋書画なので色つきなのかもしれない。それにしても驚くほど衣装の色が鮮やかに残っている。右隻では赤と橙色、左隻では女の子のうす青と左端にいる男の子の橙色。友松の絵は京博で鑑賞するものと思っていたから、ここでこれほど素晴らしい絵に遭遇できたのは望外の喜びである。

これの隣に飾ってあるのが円山応挙の“梅図襖”。墨の使い方が巧みで、手前にある梅の細い枝は濃い墨で描き、向こう側の太い幹は淡墨を用いている。最近、新聞に応挙とその弟子たちが描いた応挙館(東博の庭園内)の障壁画41点が最新のデジタル画像処理技術によりよみがえったという記事がでていた。その原画のひとつがこの絵。案内係りの話では複製画は定期的に行われる応挙館のガイドツアーで見られるとのこと。機会があれば参加してみたい。

“書画の展開”のコーナーの見所は狩野山雪の“林和靖・山水図”、岩佐又兵衛の“羅浮仙図”、応挙の“雪中老松図”。“山水図”に山雪の現代絵画感覚の垂直にのびる梅の枝がみられる。くの字ポーズの羅浮仙は又兵衛独特に風俗美人画。

浮世絵では北斎の“富嶽三十六景”の傑作“凱風快晴”、“神奈川沖波裏”がお揃いでてている。これは豪華。さらに、“北斎展”にも出品された色が抜群に鮮やかな武者絵4点がある。そして、春信2点、歌麿の青楼十二時シリーズ3点、鳥文斎栄之の三枚続の美人画(重文)もギメ美に負けないくらいいい絵。

今回1階の“近代美術”についてはとくにHPをチェックしなかったが、これまたいい絵が並んでいた。なんと前田青邨が3点もある!展示を待っていた右の“竹取”と3年前にみた“唐獅子”、13点の連作“お水取”。青邨には“竹取”のような歴史や物語を題材にして、武士や民衆の顔の表情を生き生きと描いた名画が何点もある。これはその一枚。屋根の上から昇天していくかぐや姫を驚愕の眼で見つめている警護のものたちを臨場感一杯に描いている。ふと、応天門が炎上するのを興奮状態で眺めている民衆たちが描かれた“伴大納言絵巻”を思い出した。

“唐獅子”は拙ブログ06/9/28で取り上げた同名の作品の前に描かれたもの。左右に向き合うのは青の唐獅子と白と緑に彩られた二頭の唐獅子。背景はゴールド一色。そして、体の輪郭は装飾豊かにゴールド&黒の太い線で引かれている。胴体の青、白、緑とともに尾っぽの橙色やうす緑がゴールドの地に映え、驚くばかりの華麗な造形美をみせている。天皇に献上された唐獅子とはまた違った感動を覚える絵である。パスポート券(平常展は無料)でこれほど充実した作品を観られたのだから言うことなし。

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