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2007.01.02

信貴山縁起絵巻

289本日の朝、NHK総合で“奇跡のエンターテイメント、国宝・信貴山縁起絵巻の大宇宙”という面白い番組をやっていた。

この絵巻はこれまで、昨年、大勢の人がおしかけた“大絵巻展”(京博)をふくめて3回みたので、物語のストーリー展開や一つ々のシーンは頭の中に入っている。

はじめて見る絵巻ではないから、新鮮さというのはないが、この番組はこれまで知らなかった話しや絵師の表現方法の解説をしてくれたり、美術家、森村泰昌の作品をみせてくれたので、“飛倉の巻”、“延喜加持の巻”、“尼公の巻”の魅力をさらに感じることができた。公共放送の役割とはいえ、NHKの美術関連の番組は内容があり、知的な刺激を受けるものが多い。最近はTV東京の“美の巨人たち”がつくりだした“アート・エンターテイメント”も取り込んだ番組づくりになってきたので、見ていて面白い。

“信貴山縁起絵巻”のハイライトは上巻“飛倉の巻”と中巻“延喜加持の巻”。はじめてこの絵巻をみたとき、鉢が浮遊し、その鉢が米倉を持っていく場面に200%驚いた。“こりゃ、何じゃ?!現代のUFO話しが平安時代末(12世紀末)にあったのか!”

信貴山の僧命蓮(みょうれん)は顔をみると普通の坊さんだが、鉢を自在に飛ばす“飛鉢の法”を会得しているスーパー僧。修行僧は托鉢に行くのに、命蓮は鉢を飛ばす不思議な力をもっていたので、自身では出かけずに鉢だけを山の麓にとばして、米や銭を布施してもらっていた。が、長者は家に鉢が飛んできたのに知らんふり。“米をくれないのね、じゃあいいよ”とばかりに、鉢は米倉ごと運んでいく。

慌てた長者は人を送って、倉を返してくれと懇願すると、命蓮は“わかった。倉は返さないが、米は返してやる”と答える。で、今度は米俵が雁のように空を飛び、長者の屋敷に戻ってくる。なんとファンタジックな光景である。鉢が米倉を運んでいくところを、民衆は両手を上にあげ首を思いっきり曲げて真下から見上げている。日本では12世紀末、絵画にこんなオーバーなアクションで描かれた人物が登場するのだからすごい。

“延喜加持の巻”で見せる命蓮の法力も見所のひとつ。右の“剣の護法童子”はカッコいい場面。番組ではあの森村泰昌が護法童子になり、絵巻の中に入り込むことに挑戦している。これが興味深かった。森村の洋画のセルフポートレイトは何点かみたことはあるが、日本画の人物に変身するのははじめてみた。

絵巻は異時同図法が使われ、醍醐天皇の病気加持のため命蓮から遣わされた剣の護法童子が天空を駆け下りてきて、御簾の前に立ち、病気を退ける。森村はこの場面に音を入れ最新のCG技術を駆使して、映像作品に仕上げた。背に負った剣の束が風ではねあがり、童子が足を前に力強く踏み出し、疾走する姿は絵のようにスピード感に溢れている。古典美術を素材にしてこんなアートができるのだから、日本はやはり文化大国である。

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コメント

こんばんは~
私もこの番組をBSハイビジョンの方で見てまして、
録画もしてあるんですが、そうとう楽しみましたし、驚きました。
要するに、信貴山のコマーシャルプレゼン絵巻だったのかって、
びっくりでした。
絵巻が3次元となって、ライブ感溢れていて、エンターテイメントになっていました。またじっくり録画を楽しみます。
この種の番組はやはり、NHKだなぁと感心しますね。

投稿: あべまつ | 2007.01.03 20:32

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
私も、この番組見ておりました。
飛倉の巻のCG描写がなんともステキでした。
護法童子は大好きなキャラです。昨年、京都で現物を見て、
感激しました。今回の森村さん、オヤジが純粋な子どもを
演じることが出来るのかなぁと思いながら、見ていたので
ニタリニタリと笑いながら飛んでいる姿は、今ひとつに
思いました。ただ、映像自体はよかったと思いました。

投稿: 一村雨 | 2007.01.04 05:57

to あべまつさん
解説者にいい人を起用してましたね。有名な宗教学者、
山折氏の本は何冊か読んでますので、この方が“これは
比叡山などとは巧妙に差別化された信貴山のPR絵巻!
”とおしゃるのですから、素直になるほど!となり
ます。

NHKは伴大納言絵巻の修復をドキュメントしたり、千住博
の“ウォーターフォール”の制作過程を追っかけたり、
辻氏のボストン美所蔵の“龍虎図”の居場所探しを支援し
たりといい番組を色々作ってくれます。

実は私はこの手の美術関連番組は民放も含めて過去20
年分くらいビデオ収録してまして、時々見ています。
一度BS2で四大絵巻を詳細に解説した番組があったので
すが、今回の信貴山縁起絵巻の特集はこれに次ぐ情報量
でした。本当にいい番組でしたね。

投稿: いづつや | 2007.01.04 15:20

to 一村雨さん
あけまして おめでとうございます。こちらこそ
今年もよろしくお願いします。

森村康昌はいろんなキャラクターに挑戦するので
すね。ポートレイトだけかと思っていたら、映像も
つくってました。異次元からやってきた剣の護法
童子をああいった舞台立てで演じると内なる音を
感じることが出来るのでしょうね。こういう作品も
立派なアートですね。感心しました。

投稿: いづつや | 2007.01.04 15:33

こんにちは
信貴山は実はわたしが生まれる前に親戚一同でお参りに行ったお寺です。申し子した、という感じ。
ここには張子のトラさんがいて、精進料理も有名です。
ですから、縁起絵巻は国宝とはいえ、なにやら親しみ深いものがあります。
石川淳もこの飛ぶ鉢を俳句にしていました。

投稿: 遊行七恵 | 2007.01.05 16:20

to 遊行七恵さん
信貴山へ関西の人はご利益を祈願しによくでかける
そうですね。東北、北海道旅行がひと段落しまし
たので、また、京都、奈良へ行くことにしてます。
信貴山ヘも登ります。

鉢が飛んじゃうのですからねェー。しかも、平安
時代末の話しです。日本文化って凄いですね。

投稿: いづつや | 2007.01.05 23:47

いづつやさんへ
子供と夏休みに絵巻物を創りたいねって話をしていまして、
以前私、NHKのあの信貴山縁起絵巻の番組見て感動したんですが、録画していませんで、子供に見せたいのですが、映像を何らかの形でお送りいただけませんでしょうか?

もしこのコメントに気がついて、メールアドレスにご連絡いただきましたら嬉しいです。

投稿: やすいけ | 2008.07.25 05:49

to やすいけさん
拙ブログを見ていただいて有難うございます。
申し訳ありませんが、収録ビデオのやりとりは
しないことにしています。ゴメンナサイ。

投稿: いづつや | 2008.07.25 08:03

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