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2007.01.24

川村記念美術館のステラ・コレクション

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川村記念美術館の平常展にステラの作品が展示されるのを2年半近く待っていたが、やっと現在開催中の“コレクションハイライト展”(3/11まで)に登場した。ここがステラのコレクションでは世界的に有名なことは随分前からわかっていたのに、横浜を離れていたこともあり、作品を観る機会が長いこと無かった。今回所蔵する大作17点、版画30点のなかから版画以外の13点がいつもは企画展で使用される展示室に制作された順に並べてあった。

図録で眺めていた作品が目の前にある。嬉しくてたまらない。いずれも大きな絵や立体作品。ステラは1958年、ミニマルアートの先駆的な作品、“黒の絵画”でデビューした。黒色のエナメル塗料で描かれた単純なストライプを反復させる“ブラックシリーズ”は18点制作されたが、その一枚“トムリンソン・コート・パーク”(1959)がある。当時はポロックらの内面の感情や情熱をカンヴァスにぶつける抽象表現主義の絵画が主流だったから、この絵はすぐには受け入れてもらえなかった。

その隣の“ポルタゴ侯爵”(1960)は描く形に合わせて、カンヴァスの形を変えた作品。ストライプを途中で横にズラすためにできた余白をステラは切っちゃったから、カンヴァスの4辺は中央が中へ凹んでいる。橙色の“タンパ”(1963)はこのシェイプト・カンヴァスの典型的な作品。ステラは“色と形で表現された直接の衝撃や瞬時のインパクト”を絵画に追い求め、喜びとか悲しみといった感情や情熱を作品の中にもちこむのは極力排除しようとしたから、カンヴァスだって、要らない余白はスパッとカットしてしまう。

モノトーンからカラフルな正方形や円弧の色面にシフトした作品が3点ある。目の覚めるような赤、黄、青の三原色や橙、緑、紫など色彩の競演に気分は一気にハイになった。“同心正方形”(1964)、“フリン・フロンⅡ”(1968)、そして上の“ヒラクラⅢ”(1968)。長らく待っていたのはステラの図抜けた色彩感覚が全開したこれらの絵なのである。ダーツの的のような円形がペアになっている“ヒラクラⅢ”は分度器シリーズのひとつ。福岡市美術館にも一番外のピンクの色面が印象深い“バスラ門Ⅱ”(1968)がある。また、“フリン・フロンⅡ”と似たフォルムと色使いの“リヴァー・オブ・ポンズⅣ”を愛知県美術館が所蔵している。

下の“アカハラシキチョウ”(1979)は半立体作品。壁から子供が遊ぶ飛び出し絵本のようにゴールドやシルバー、ラメで装飾的に彩られた柔らかい曲面のパーツや網目のようなものが出ている。そして、裏面にも丁寧に彩色したり、表面にガラスを貼るなど複雑な細工が施されている。他にも同じような大型コラージュというか半立体作品、“スフィンクス”、“モスポート”、“恐れ知らずの愚か者”がある。

ステラは新しい作品にどんどん挑戦する。館の入り口のところにある“リュネヴィル”
(1994)は高さ7m、重量は30t以上もある巨大彫刻。館が発注してつくってもらったそうだ。念願のステラ作品を観たので、足取りも軽くこのグロテスクな作品を横目に観ながら家路についた。

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コメント

こんばんは。
この平常展は良さそうですね。
いつもここの常設は企画展の際にちらりと拝見するだけなのですが、
まだ一度もまとめてじっくりと楽しんだことがありません。

それにしてもロスコと言いステラと言い、
現代アート好きにもたまらない美術館ですよね。
佐倉まで足を伸ばす価値が十分にあります。楽しみです!

投稿: はろるど | 2007.01.24 23:12

to はろるどさん
ステラが好きなのでここの作品をずっと待ってました。
やっと観れたという感じです。今回の出品作で図録
に掲載されているものは90%みましたから、川村は
ちょっとお休みです。また、MoMAで現代絵画
の傑作を見たくなりました。

投稿: いづつや | 2007.01.25 12:48

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