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2007.01.26

大倉集古館の花鳥図展

670大倉集古館で現在、館所蔵の“花鳥図展”が行われている(3/18まで)。

中国の絵師やわが国の狩野派が制作した花鳥画、さらに大観や春草らによる花や鳥の絵のなかには、ハッと立ち止まるような優品がある。流石、大倉家の作品を見る目は高い。

今、東京ではここと松岡美術館(3/4まで)、そして東博(1/28まで)の三箇所で中国画を楽しみことができるが、大倉コレクションの中国花鳥画ははじめてみた。そのなかで明時代の作品、“墨梅図”に惹きつけられた。昨年、三の丸尚蔵館の“花鳥展”にも同じ水墨画家の絵があった。画面上へとのびる細い枝の配置と小さい梅の花が味わい深い。

室町時代、前嶋宗祐が描いた“鶏頭小禽図”は館自慢の一品。目を奪われるのは鮮やかな赤に染まる鶏頭の花。これを鉄棒の大車輪のように逆さまになって眺めている瑠璃色の小鳥の姿が面白い。4年前に出会って以来、絵師の名前は覚えてなくとも、この濃彩な赤は忘れることはない。狩野常信の“梅に尾長鳥・柳に黄鳥図”にも尾っぽを垂直に立てた白い鳥がでてくる。鳥のドキッとするポーズとともにぐっとくるのは柳や梅の木の曲がり方が狩野山雪の絵みたいに造形的な面白さを狙って描かれているところ。これまで観た常信の絵では板橋区立美がもっている“四季花鳥図屏風”とこの絵が特に気に入っている。

明治・大正の実業家、大倉喜八郎(1837~1928)が蒐集した近代日本画は質の高いことで有名。そのひとつ、横山大観の“夜桜”は3/13~18に公開される。今回展示してあった花鳥画は大観の“文鳥”、“寒牡丹”、“茶花”、菱田春草の“さつき”、橋本静水の“桃に鳩の図”、田中咄哉の“水鳥”、速水御舟の“鯉魚”。いずれも一度観たことがある。大観の3点は見慣れている大観の画風とはまったくイメージが異なる。余白をたっぷりとった清清しい感じのする花鳥画である。観てのお楽しみ。

右の御舟の“鯉魚”もいい絵。鯉が目の前にいるのではないかと錯覚するくらい精緻に描かれ、そして墨のたらし込みで水の揺らぎを表したり、鯉を浮かび上がらせるためにまわりを金泥で彩色するなど装飾的に処理している。後期に登場する小林古径の代表作の一つである“木莬図”(みみずくず)や竹内栖鳳の“蹴合”は大好きな絵であるが、何度も見たのでパスすることにした。

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