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2007.01.18

ギメ東洋美所蔵 浮世絵名品展 その二

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ギメ美術館浮世絵コレクション展(太田記念美術館、拙ブログ1/4)の鑑賞パート2は1/16~26に展示される18点がお目当て。このほかに前期出ずっぱりの57点があるので、前期の後半は75点の浮世絵が楽しめる。

開幕日と較べると、明らかに入場者は多い。展示リストをいつものように貰うと、隣にいた年配女性グループが“この方が持ってるのは頂けるの?”と受付の女性に尋ねていた。これは東近美の平常展と同じでリクエストしないとくれない。2階に作品の展示替え情報が書き込まれたパネルがあるが、再度足を運ぼうと考えている方はリストを貰われたほうがいいかもしれない。

今回は最初に18点をみて、そのあと前回見たものをさらっとみた。パート2で気に入ったのは鳥居清倍の“一の谷合戦 熊谷直実”、一筆斎文調の“二世市川雷蔵の松若丸”、歌麿の“浄瑠璃十二段草子”、歌川豊国の“役者舞台之姿絵 やまとや”、広重の“花菖蒲に白鷺”と“播州名物 高砂ノ浦真景”。

東博に清倍の見てて元気の出る絵、“市川団十郎の竹抜き五郎”(重文、拙ブログ06/3/23)があるが、“一の谷合戦”と最初から出ている“羅生門”はこれと変わらぬ優品。熊谷直実の顔の表情や馬の躍動感溢れるフォルムに釘付けになる。北斎や広重と較べるとあまり馴染みの無い絵師が描いたこんないい絵をギメは集めているのである。流石というほかない。

また一筆斎文調の“松若丸”、背景の黒と薄緑の鮮やかな対比が目に焼きつく“二世市川八百蔵の奴軍助”(1/14までで終了)も名品。こんなに魅せられる文調の役者絵をみるのははじめて。豊国の出世作である“役者舞台之姿絵”に出会ったのは大きな収穫。このシリーズは国内でもなかなか見る機会がない。しかも“やまとや”は“かうらいや”(拙ブログ06/11/16)と組になっていたというから二重の喜びである。

上ははじめて見る広重の“高砂ノ浦真景”。あまりに発色がいいので夢中になってみた。小さな橋を渡る二人をはさむ土手の緑、河に浮かぶ舟の屋根の黄色、そして水面の濃い青の組み合わせが見事。広重の緑と同じくらい感激するのが下の北斎作、“百人一首宇波か縁説 藤原道信朝臣”(前期中展示)に描かれた坂の石段を駆け下りる籠の緑。この絵は緑、黄色(屋根の内側)、青(手前の男が担いでいるまるい入れ物の布カバー)のコントラストだけでなく、動きのある大胆な構図に唸る。道を急ぐ籠は一旦左下に消えたあと、真ん中の道では右に向かっている。絵巻に使われる異時同図法で描かれた場面をみるような気分。

世界一と言われる写楽の大首絵あり、北斎の龍虎図あり、広重の風景画あり、、本当に贅沢な展覧会である。次回は後期の前半(2/1~12)。念願の歌麿の美人画に会えるので今から楽しみ。

<展覧会プレビューの更新>
太田記念館がギメ名品展のあと、またまた大ヒットを打ってくれた。ロンドンにあるヴィクトリア&アルバート美術館が所蔵する浮世絵を日本に持ってくるという。また、千葉市美術館が待望の鳥居清長展を開催してくれる。

4/28~6/10  鳥居清長展                千葉市美術館
5/1~6/26   ヴィクトリア&アルバート美浮世絵名品展   太田記念美

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コメント

先週、ようやくいってきました。
江戸の庶民にとって、浮世絵が根付いてたことがよくわかります。
芝居は女、吉原は男の遊び場だったことを、
庶民達は快く?諦めつつもそれを理解し、
適当に住み分けていたんだろうなとも思いました。

でも、あんな優品がフランスのパリにジャポニズムの風に乗って
移住していたなんて、面白い話です。
日本文化をあれだけ愛してくれた国も他にはないでしょうね。
2月もまた行きたいところです。

投稿: あべまつ | 2007.01.23 12:13

to あべまつさん
浮世絵はいい発色のものをみると、同じものでも色落
ちだと全然つまらなくみえます。このベンチマーク
(比較対象)となっているのが、ギメ美とかメトロポリ
タン、大英博物館、ボストンがもっている浮世絵です。

今回でている写楽は摺りの状態では世界一ですし、歌麿、
北斎、広重も色が良く残ってますね。あと、2回行き
ます。

投稿: いづつや | 2007.01.23 22:04

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先週の日曜日、ギメ美術館の浮世絵について、地元の生涯学習センターで講義を聴き、金曜日ワクワクで太田記念美術館に現物と対面を果たしてきた。 なんと、美しい状態の物ばかり。驚きました。 [続きを読む]

受信: 2007.01.23 11:22

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