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2007.01.17

たばこと塩の博物館の川柳と浮世絵展

657渋谷パルコのすぐ近くにある“たばこと塩の博物館”は浮世絵作品の追っかけでは目をつけているところ。

現在行われている“川柳と浮世絵で楽しむ江戸散歩展”(2/4まで)に喜多川歌麿の絵がでているのではないかという期待があり、でかけた。

今回も前来た時同様、いい絵がいくつもあった。しかも料金を100円しかとらないので、帰り際はつい頭を下げてしまう。主催者の狙いは川柳の面白さと浮世絵の魅力をセットで味わってもらおうというもの。だが、俳句や川柳に熱心でないので句はあまり読まないで、グッとくる浮世絵の方に軸足を置いて見て回った。

狙い通り、歌麿の見たかった絵があった。もうこれだけで大満足。川柳が詠まれた江戸の事象は名所、旅、生業(なりわい)、吉原、歌舞伎、信仰などで、“柳多留”収蔵の句から200点が選ばれている。歌麿の絵は10点ある。“江の島遊覧”、“青楼十二時 戌の刻”、“々午の刻”、“張見世”、“吉原青楼年中行事”、“当時全盛似顔揃 扇屋内花扇”、“児戯童の三笑十艶名”、“咲花ヶ言葉の花 おかみさん”、“両国羽根遊び”、“二美人首引”。

追っかけていたのが右の“二美人首引”と“張見世”。首引を詠んだ句は“首っ引帆柱立てるように負け”。首が引っ張られて前に傾く様を舟の帆柱が立つのに見立てている。絵に登場する女は寛政の三美人の二人。右が“難波屋おきた”(拙ブログ06/12/10)で、左が“高島おひさ”。この状態ではどっちが勝ってるかは分からない。ともに超美人なのだから、どちらが美人かを首を引き合って競う必要もないと思うのだが。見世を張る遊女12人と壁に描かれた鳳凰が妓楼の豪華で艶やかな雰囲気を醸し出している“張見世”から生まれた川柳は“鳳凰が雁首を出す格子先”。鳳凰の首と遊女の持つキセルの雁首とを掛けている。

念願の2点のほかで最も惹きつけられたのが歌川豊国の五枚続きの大作、“江戸両国すゞみの図”。こんな横長の浮世絵を見るのははじめて。斜めの構図で画面いっぱいに描かれた両国橋には大勢の人。豊国が描く男や女の顔は目に力がある。いつも目がつりあがって怒っている感じで、手前の道を行き交う人たちがつりあがった目で睨みあっているから、今にでも喧嘩をはじめるのではないかと心配になる。

今回意外な一枚があった。それは広重が“東都名所之内 両国花火之図”で描いた花火。赤の点々が大きく、造形的にもあまり美しくない花火なのである。感動することが多い広重の風景画なのに、こういう感想をもったのははじめて。普段は訪れることのない美術館だが、企画展の質は高い。狙いの歌麿の美人画をはじめ、広重や渓斎英泉のいい風景画、国芳の人物画などと出会い、大きな満足が得られた。

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コメント

こんばんは。
さすがいづつやさん、浮世絵の追っかけさんですから、
目の付け所がすばらしいです。
ようやく歌麿のなよけき姿の麗しさが解ってきた気がしています。
私は役者絵とか、火事場のお七の絵とか、
北斎の娘の応為の絵が気になりました。
彼女はボストンにもありましたが、
なかなかの技量があったと思っています。
それにしても、安価で、楽しい美術館ですよね。

投稿: あべまつ | 2007.01.17 22:09

to あべまつさん
今回は歌麿が多分あるな!がぴたりと当たり、ニコ
ニコ顔でした。浮世絵鑑賞も2年前から歌麿と広重の
二人が軸なんですが、まだまだ初見の絵がでてきます。

この企画展はよくできた川柳小冊子も手に入ったりで、
言うことなしです。月岡芳年の“お七”は火事場の
喧騒をよく伝えてましたね。

投稿: いづつや | 2007.01.18 10:19

はじめまして。以前よりこちらのブログはこっそり覗いておりました。菊花と申します。
たばこと塩の「川柳展」私も先日行って参りまして、入館料100円で111頁ある冊子を貰ってきました。それだけでもお得な気持ち。

>歌川豊国の五枚続きの大作、“江戸両国すゞみの図”
ちょっと絵の記憶に自信がないのですが・・・手前の道で目をひんむいている男女は、歌舞伎役者だと思います。女に見えるのも女形。着物に描かれた模様や持ち物(扇子とか手拭い)に役者の紋が描かれていたような。私はさすがに江戸時代の歌舞伎役者それぞれの顔の特徴までは知らないのですが、当時の江戸っ子が見れば「この鉤鼻は誰それ」と分かったのですよね。
あああ・・・“江戸両国すゞみの図”が、私が思っている絵と全然違っていたらごめんなさい。

投稿: 菊花 | 2007.01.20 21:46

to 菊花さん
はじめまして。書き込み有難うございます。これからも
よろしくお願いします。

豊国の“江戸両国すゞみの図”で手前を歩いているのは
役者だったのですね。よく考えてみると普通の女や男
があんなに目をひんむく必要ないですね。納得です。
教えていただきまして有難うございます。

芝居は相当通でいらっしゃいますね。いろいろ教えて
ください。

投稿: いづつや | 2007.01.21 10:25

そうですか。あそこに出ていた歌麿も、めったに観ることが
出来ない作品だったのですね。
二美人首引、楽しい絵でした。そんなにも有名な美人だったのですね。
おかげさまで、理解が深まります。ありがとうございます。

投稿: 一村雨 | 2007.01.22 06:37

to 一村雨さん
ここには手元の画集に載っている歌麿の絵、2点が
あるので前から展示されるのを待ってました。歌麿の
美人画は東博と太田、MOA、そしてここが沢山もって
ます。昨年10月、ららぽーと豊洲に展示コーナーがで
きた平木浮世絵財団にも歌麿があるか今、確認中
です。

投稿: いづつや | 2007.01.22 14:02

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