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2007.01.08

池大雅の楼閣山水図屏風

621東博の新春平常展には例年いい作品が登場する。

ここは本館の2階と1階にある長方形の形をしたかなり大きなドーナツ型の展示空間を回る感じで、作品を一点々丁寧にみていくと結構疲れる。で、最近は時間配分にメリハリをつけている。

国宝室に飾ってある長谷川等伯の傑作、“松林図屏風”(1/28まで)は何度もみているので今回はパス。隣の部屋の国宝、“十二天像”や“男衾三郎絵巻”も12月にみたのでどんどん通りすぎて、右の池大雅作、“楼閣山水図屏風”(国宝、1/28まで)がある部屋へむかう。

この絵は2年前くらいに観た。“松林図”のような超人気の絵は毎年展示されるが、いい絵は大体2年サイクルででてくる。この絵で目を奪われるのは琳派の絵のような金箔地と文士の衣装の青、赤の鮮やかな対比。一般的な南画では見ない作風である。池大雅の作品は鮮烈な赤がアクセントになっているのが多いが、金地と青、赤の組み合わせはこの絵しかない。

大雅の絵には国宝が3点ある。これは雪舟についで多い。この“楼閣山水図屏風”と
03年にあった“空海と高野山展”(京博)にでてた“山水人物図襖絵・山亭雅会図”(和歌山、遍照光院)、そして与謝蕪村との合作、“十便十宜帖”(拙ブログ05/6/19)。大雅の作品の中に登場する人物はまるく太った体つきで顔が福々しいのが特徴。このおおらかさ、親しみやすさがなんともいい。とくに“十便帖”の中の文士が釣りを楽しんでいる“釣便”がお気に入りで、心からほっとしたいときはこの絵をみることにしている。

1階の近代日本画(2/12まで)にも名作が並んでいる。これも2年ぶりの登場となる菱田春草の大作、“微笑”、横山大観の“松並木”と“雲中富士”、土田麦僊の“明粧”、そして下村観山の“修羅道絵巻”。“明粧”とは10年ぶりに再会した。名古屋であった回顧展でみたときは個人の所有だったが、現在は東博へ寄贈か寄託されたのであろうか。東近美の“舞妓林泉図”と較べると華やかさが薄まり、畳や後ろの襖の白と舞妓の白い顔、扇子が溶け合い、やわらかくて、揺るやかな空気が感じられる舞妓図である。

“修羅道絵巻”は昨年の三渓園で開催された下村観山の回顧展でみたが、ここで対面するのははじめて。三渓園のときは、最後の燃え盛る火の粉の中、仁王立ちする怖い鬼の場面しかみられなかったのに、幸運にも最初の僧が立っているところから最後までみれた。また、浮世絵のコーナーには、太田記念館のギメ美展に展示されていた広重の“冬椿に雀”や宮川長春のお正月にふさわしい“万歳図”などいい絵がいくつもあった。浮世絵の展示は1/14まで。

1回目の平常展はいつものように○ 今年もここへはMy展示部屋の感覚で訪問することにしたい。

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