川崎小虎と東山魁夷展
日本橋三越で12/27からはじまった“川崎小虎と東山魁夷展”(07/1/
14まで)を観てきた。
東山魁夷は国民的な画家なので、絵画の好きな方なら大体知っていると思われるが、川崎小虎(しょうこ)については、“誰だっけ?”という感じではなかろうか。
この日本画家の作品はまだ片手くらいしか見たことがない。山種美に通ってるので前々から大和絵の伝統をひきついだ代表作、“春の訪れ”は何回か観た。だから、川崎小虎のイメージはこの絵で出来上がっている。が、この天女の絵と画風がどうしてもむすびつかない作品をこの画家は描いた。それは今回も展示されている“うどんげの花を植える女”という洋画風の絵。絵の感じは12/24に終了した“揺れる近代展”(東近美)にでていた秦テルオの作品と似ている。13年前、この絵を見たとき、大きなパッチリ目、鼻や顔の赤い輪郭線から醸し出される退廃的なイメージに強い衝撃を受けた。
今回、川崎小虎の作品は生誕120年を記念し、古典画の“春の訪れ”、“伝説中将姫”、“囲碁”などの大作屏風とともに、洋画の香りがする静物画、風景画が沢山出ている。東山魁夷の夫人が川崎小虎の娘なので、小虎は東山魁夷の岳父にあたる。二人は親戚関係だが、作品の上でのつながりは感じられない。足を運んだのはまだ観てない東山魁夷の絵と会うためだったので、川崎小虎よりは東山魁夷作品の鑑賞に多くの時間を割いた。
果たして、初見の絵は6点あった。が、これまで見た名画を上回るというほどではなかった。今回は山種美からいいのが出品されている。年末になると見たくなる“年暮る”(拙ブログ05/12/11)、山の重なりと緑と青のコントラストが胸を打つ“月出づ”、俯瞰の構図と緑のグラデーションに息を飲む“緑潤う”。また、長野の東山魁夷館が所蔵する“桂林月夜”、“緑の窓”も名作。
右の“スオミ”をみるのは2回目。昨年9月、所蔵する泉屋博古館であった“近代日本画展”で見て、大変感動した。東近美にもこれとほぼ同じ絵、“白夜光”があるが、こちらは“スオミ”の2年後に描かれている。フィンランドのスオミはまだこの目で見ていない。横に細長く広がるスオミが画面上のはるかかなたにまで見える。この絵に唸るのは広い大自然を小型飛行機から眺めているような気分にさせてくれるから。本当に絵に力がある。
東山魁夷が好きなものだから、今年はこれで5回も取り上げたことになる。1/17、3/26、6/7,11/27。来年もまたいい絵にめぐり会えるようミューズに祈っておこう。
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コメント
いづつやさんこんばんは。
この展覧会、招待券がどうしても手に入らなくてー銀座三越のはいろんな美術館に招待券つきの置いてあるのですが、日本橋のはなぜか招待券つきのがないーネットオークションで80円で手に入れました。
川崎小虎は僕も知らない、近日中に行きます。
ところで立川のほうで多摩モノレール乗っていたら太田記念の新年の浮世絵展覧会のことを話しているおじさんに遭遇!
混雑必至ですね、いづつやさんはいつ行かれる予定ですか。
投稿: oki | 2006.12.30 23:16
to okiさん
川崎小虎は大きな大和絵屏風4点が見所です。観ての
お楽しみです。それ以上に東山魁夷はいいのがでて
ますよ。山種が所蔵する自慢の名品を全部出品して
ます。こんな機会はめったにありません。すでに見て
いる作品ですが、堪能しました。
太田記念館へは1/3の開館時間10時をめざして行
こうと計画してます。ちょっと混雑が心配ですが、
とにかく出かけます。よいお年をお迎えください。
投稿: いづつや | 2006.12.30 23:39
新年あけましておめでとうございます。
今年1年がいづつやさんにとって素敵な年でありますように…。
私の場合、日本画で始めて出会った画家が東山魁夷で、それ以来大ファンです。
最初から順調な方かと思ったら、そうでもないところも、何となく惹かれます。
私もこの展覧会のチケットはゲットしたので、今年最初の展覧会になりそうです。
今年もよろしくお願い致します。
投稿: Yuko | 2007.01.01 14:31
to Yukoさん
あけまして おめでとうございます。お久しぶり
ですね。お元気でしょうか。年末、東山魁夷の絵が
見たくて、日本橋に足を運びました。今回も二重丸
です。
東山魁夷の風景画は特別です。私にとっては北斎、
広重の風景画と同様、非常に大事なものです。自然
と一体になる感じで、いつも心がやすまります。
今回もいい絵がいくつもでてますから、どうぞお楽
しみ下さい。
投稿: いづつや | 2007.01.01 22:03