06年感動の展覧会・ベスト10! Ⅱ 日本美術
美術品、展覧会の振り返りの締めは日本美術関連の展覧会。Ⅰの西洋美術・現代アート編では海外の美術館を除く60あまりの展覧会の中からベスト10を決めたが、日本美術関連ではこれより多い、80くらいから感動の展覧会10を絞り込んだ。今年は絵巻、書、屏風の名品の展示、ビックネーム画家の回顧展、大規模なやきもの・漆芸展、浮世絵名品の里帰りなど見ごたえのある展覧会が年初から切れ目無く続いた。
で、ベスト10の決定には色々迷ったが、Ⅰでも採用した感動させる展覧会の要件(下記)に照らして、なんとか選出した。
A とびっきりの名品、目玉がある(一点豪華型)
B 好きな作家の作品が沢山ある(回顧展型)
C 作品の質が高い(○○コレクション型)
D はじめての作品が多い(初公開、はじめての作家型)
E 展示空間の演出に秀れている(博覧会型)
A~Dのなかでは、まだ観ていない名品の追っかけに鑑賞エネルギーの大半を費やしているので、DやBのウェートが高くなる。京博であった“大絵巻展”(4月)や“京焼展”(10月)、現在開催中の“松田権六展”(東近美)などはこれほど贅沢な展示はこの先当分はないだろうというくらいの大展覧会だったが、名作の多くはすでに観ているため、選からもれた。上にある“花鳥・若冲展”(三の丸尚蔵館)のチラシはⅠのときと同様、これがベスト1ということではない。展覧会は上から開催された順に並んでおり、美術館の前のアルファベットは要件を表している。
Ⅱ 感動の展覧会ベスト10! ~日本美術編~
★“バーク・コレクション展”(1/28):C,D 東京都美術館(1/24~3/5)
★“大いなる遺産 美の伝統展”(2/8、2/9、2/16、2/19):C,D東京美術倶楽部(2/5~2/26)
★“加山又造”(3/11):B 大丸神戸店(3/8~3/20)
★“花鳥・若冲展”(3/28、6/17,6/18、7/8、8/16):B,C三の丸尚蔵館(3/25~9/10)
★“プライス・コレクション展”(7/7、7/29):C,D,E 東博(7/4~8/27)
★“前田青邨展”(9/28):B 岐阜県美術館(9/5~10/9)
★“仏像展”(10/11、10/12、11/20):A,D 東博(10/3~12/3)
★“応挙と芦雪展”(10/24,10/25、11/24、11/25):B奈良県立美術館(10/7~12/3)
★“ボストン美蔵 肉筆浮世絵展”(11/6,11/7):C,D 江戸東京博物館(10/21~12/10)
★“鍋島展”(12/7):B MOA(12/2~07/1/23)
ベスト10に入らなかったが心に響く展覧会がいくつかある。回顧展では浦上玉堂、神坂雪佳、小堀鞆音、伊東深水、陳進、山本丘人、山口蓬春。出光美術館で公開された国宝の“伴大納言絵巻”、“風神雷神図屏風”。そして、東博で開催された“書の至宝展”や五島美術館の“書の国宝 墨蹟展”も一生の思い出になる展覧会であった。
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コメント
こんばんは。
私もランキング作ってみました。
ただごった煮ランキングです。
いづつやさんのように
きちんとジャンルわけするといいですね。
一応こちらの記事にTB送らせていただきました。
来年もどうぞ宜しくお願いいたします。
投稿: Tak | 2006.12.29 18:11
to Takさん
今年の日本美術関連の展覧会は見ごたえがあるのが
多かったですね。西の京博と東博がしのぎを削っ
ていい展覧会を企画してくれました。そして、奈良
県立美まで“応挙と芦雪展”で江戸絵画に参入して
くれました。
回顧展では加山又造展と前田青邨展を見逃してはな
らじとで神戸へ、岐阜、浜松へ出かけました。いい
思い出になりそうです。東京のバーク、プライスコレ
クション、三の丸尚蔵館の若冲は大変楽しかったです。
来年は五月の相国寺の若冲展と秋の京博の狩野永徳展
が注目の展覧会でしょうか。
投稿: いづつや | 2006.12.29 23:44
こんにちは。
今年はいづつやさんの記事に色々沢山教わりました。
ありがとうございます。
また、来る年も煌めく芸術記事を楽しみにさせて頂きます。
風邪が流行です。御身お大事に良いお年をお迎え下さい。
来年もどうぞヨロシクお願い致します。
私のランキングは、もう少し、おつむの余裕が出来てからと思っています。様々なランキングにうっとりです!!
投稿: あべまつ | 2006.12.30 14:27
to あべまつさん
風邪には充分お気をつけください。健康が一番ですから。
あべまつさんとはダリの話やら、佐藤氏の若冲本論争
などいくつも楽しいやりとりをさせて貰いました。来年
もよろしくお願いします。
来年はいくつかあたためている西洋画と日本画の対比
をやろうと思ってます。一度、“伴大納言絵巻”と
“マザッチョの楽園追放”を書きましたが、これの続き
です。美術文化記号のコラボレーションをさらに感じ
たいと思います。よいお年をお迎え下さい。
投稿: いづつや | 2006.12.30 20:32
いづつやさんこんばんは。
私もベスト10を挙げてみました。
尚蔵館の花鳥展やプライスを初めとして、
日本美術の深みにどっぷりと浸かった一年だったように思います。
動植綵絵は是非京都まで追っかけたいものです。
TBさせていただきました。来年もまた宜しくお願いします。
それでは良いお年をお迎え下さい。
投稿: はろるど | 2006.12.30 22:35
to はろるどさん
今年もあと一日になりましたね。来年もよろしく
お願いします。来年の展覧会情報は元旦に書きま
すが、今年に較べるとすこしトーンダウンの感じ
がします。今年が凄すぎましたから、しょうが無い
かもしれませんね。
そのなかでは相国寺の若冲展、秋の京博の“狩野
永徳展”がいまのところ二重丸です。東京では
新生サントリー美の記念展に期待したいですね。
そして、山種美は今年の出光美のような感じに
なると思います。これは見ごたえありそうです。
では、よいお年をお迎え下さい。
投稿: いづつや | 2006.12.30 23:11