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2006.12.14

伊東豊雄 建築/新しいリアル展

586新日曜美術館が2週連続でこれまで知らなかった作家を発見するきっかけをつくってくれた。

最初が現代アーティスト、大竹伸朗、次が建築家、伊東豊雄。その作品はいずれも目を釘付けにさせ、番組が終了した後、すぐ展覧会へ行くことを決断させるほど大きな力をもっていた。

“伊東豊雄 建築/新しいリアル展”は現在、東京オペラシティアートギャラリーで開催されている(12/24まで)。番組で伊東豊雄をみたとき、“この建築家は世界中から設計依頼が来るトップランナーの一人だろうな!年齢は40代後半~50代前半かな”と思った。活躍ぶりは予想通り、世界各地に斬新な建築物がつくられていた。

が、歳についてはふさふさした髪の毛に惑わされ、大ハズレ。実際は現在、65歳だった(1941、韓国京城市、現ソウル生まれ)。顔の表情、しゃべり方からはとても65歳には見えない。流動体の形態をもつ建築物同様、頭の中と体は柔らかいのだろう。

展示室には現在進行中の建築プロジェクトやすでに完成している建築物の模型が展示してあり、最新のCG技術を駆使して制作された三次元画像で建物の概観や内部の構造をより詳しく解説している。“台中メトロポリタン・オペラハウス”は曲面体のオペラホールやその周りの部屋が連続してつながる開放感溢れる建物。なんだか珊瑚礁をいくつもくっつけたようにみえる。

コンピューターの発達と最新の構造技術により、現在では流れるような形態の建築が可能になった。伊東豊雄が目指すのはこれまでの均質なグリッド(格子)に基づく建築とはちがう、複雑で流動的な連続体を生み出すエマージング(生成する)・グリッドをコンセプトとした建築である。これにより建築が周りの自然環境へ近づき、自然と一体になるような建築物をつくることが可能になる。

靴を脱いで入る展示コーナーでは、床はフラットでなく緩やかな曲面になっているので、慎重に歩かないと転んでしまう。これは岐阜県各務原市営斎場(06年完成)の屋根を再現したもの。斎場の屋根を横からみるとUFOが森の中を飛んでるイメージ。ここに展示してある巻貝の形をした“リラクゼーション・パーク”(建設中、スペイン)の模型に目を奪われる。自然界に存在するものとそっくりの建物が現実につくられているのだから驚く。

大型プロジェクターに“せんだいメディアテーク”(01年)、右の“MIKIMOTO Ginza2ビル”(05年)、“TOD’S表参道ビル”(04年)が映し出されるので熱心にみた。鉄のチューブが目を惹く“せんだいメディアテーク”を訪れる市民は年間100万人いるという。広々とした開放的な空間のなかで本が読める仙台の方が羨ましい。宮城県立美術館を訪問する機会があったら、是非寄ってみたい。“MIKIMOTOビル”はときたま見ることがあるが、てっきり海外の売れっ子建築家の設計によるものだと思っていた。伊東豊雄が設計してたとは。へえー!である。

来年春一般に公開される“福岡アイランドシティ、ぐりんぐりん”は屋根に緑の草木が生えているので、遠くからは丘のように見える。まさに地形と建築が一体化している。先行例として思いつくのは、フンデルトヴァッサー(拙ブログ04/12/24)が“人間と自然の調和”という思想のもとにオーストリアのブルーマウにつくった“保養村”(1997)。日本版の“建築と自然の調和”をいつか見てみたい。

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コメント

こんにちは

伊藤豊雄は最近注目していた建築家ですが
この展覧会は門外漢の私でもとても楽しい物でした

それにやっぱりブルーマウの保養所を思い出しますよね!
稚拙ながらTBさせて頂きました

投稿: muha | 2006.12.15 02:39

to muhaさん
番組のなかで福岡の“ぐりんぐりん”と現在建設中の
“多摩美大図書館”のフロアが一部傾斜面をいかし
斜めになるというのをみて、すぐ建築家フンデルト
ヴァッサーと同じ発想だなと思いました。

建築は現地を訪れて建物自体をみないと意味がないの
で、よくある建築家の展覧会には関心がないのですが、
伊東豊雄の建築は是非TVをみただけで、心に響くも
のがあり、早速出かけました。“せんだいメディアテ
ーク”と“ぐりんぐりん”はいつか見てみたいですね。

投稿: いづつや | 2006.12.15 17:02

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『ベルギー王立美術館』展を後にして 初台へ 最近はコンサートでより美術展でオペラシティに行くことが多い気が。。。 それはともかく 中庭では丁度クリスマスツリーの飾りつけをしていました 結構な大きさです  でも最近はどこでもデコレーションをしているので 余り驚かなくなりましたね さて展覧会ですが 伊東豊雄の作品と言えば仙台メディアテークがパッと思い浮かびます 最近では表参道のトッズのビルとか 丁度ヒルズの向かいくらいだったかな 彼の年表と共に添えられた本人の文章がとても... [続きを読む]

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