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2006.12.08

出光美名品展の勝川春章

580出光美術館の開館40周年を記念した所蔵名品展も今日からはじまるパートⅡの後期(12/8~24)で終了する。今回もお目当ての作品が沢山でてくるので、早速出かけた。前期の記事は拙ブログ11/22

入ってすぐのところに展示してある“韃靼人狩猟図屏風”(狩野光信)にいきなり足がとまる。目を奪われるのは鹿や猪、虎を追いかけて疾走する馬の躍動感あふれるポーズ。前期の“西王母・東方朔図”とともに光信の優品をみれたのは大きな収穫。昨年はじめにあった“源氏絵展”にでてた狩野探幽の“源氏物語賢木・澪標図”をまたじっくりみた。左隻(澪標)の明石の君と再会した源氏のまわりに控える従者たちの人物表現、衣装の柄、そして一部の者をおおい隠すように描かれた緑の松原に魅せられる。

琳派では宗達の猫のような虎(拙ブログ05/9/8)にまた会った。芦雪の虎同様、この絵をみてると楽しくなる。お目当ての鈴木其一の“四季花木図屏風”もある。左の紅葉より右の紅白梅のほうがぐっとくる。9/30の朝日新聞に、国立劇場の新しくつくられた緞帳はこの屏風ということが書かれていた。前期に其一の“蔬菜群虫図”といういい絵がでていたが、今回は同じ調子の酒井抱一作、“糸桜・萩図”があった。萩の絵にはいつも惹きつけられる。

後期の肉筆浮世絵は勝川春章が描いた上の“美人鑑賞図”、英一蝶の“四季日待図巻”(重文)、岩佐又兵衛の“伊勢物語図”、宮川長春の“立姿美人図”、鳥文斎英之の“二美人図”、そして葛飾北斎の“鍾馗騎獅図”。“四季日待図巻”は一蝶が島流しされた三宅島で描いた風俗画。右には座敷で弓矢遊びや囲碁に興じたり、女に酒を注いでもらう男たちが斜めの構図で、左には夜、月とホトトギスの下で踊る女が描かれている。

春章の“美人鑑賞図”の見所は女たちが着ている衣装の色と紋様。深い青の着物の足元部分は金泥で細い線が丁寧に引かれている。右の紫には蝶の柄、帯には鶴がみえる。二人いる女の子が身に着けている赤の着物の柄は洒落た感じのする金泥の流水文。この絵をみているといつもとろけそうになる。MOAが所蔵する“雪月花図”(重文、拙ブログ06/1/20)、“婦女風俗十二ヶ月図”(重文)とともに惚れ抜いている絵である。

文人画には、千葉市美術館から帰ったばかりの浦上玉堂の山水画が2点(ともに重文)でている。富岡鉄斎の“口出蓬莱図”は面白い絵。陶磁器は通期出ずっぱりの作品が多いが、後期には鍋島焼の名品“色絵栗樹文皿”、色が鮮やかな柿右衛門様式の“色絵鸚鵡置物”が華を添えている。見てのお楽しみ。質の高い出光コレクションにただただ感服するばかり。

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コメント

僕も日曜に出かけました、いやいや出光はいい物を持っていますね、改めて確認しました。
そのコレクションの原点が仙涯にあるというのも面白かったです。
僕は前期には行っていないのですが、特に文人画がよかったです。
千葉の浦上玉堂行けばよかったと後悔しきり。
ところで新年の太田記念のギメ美術館の浮世絵展、せめてもう少しスペースの取れるところー出光あたりでやってもらいたいとは感じませんか。

投稿: oki | 2006.12.11 22:23

to okiさん
千葉の浦上玉堂展には出光からは書、琴をふくめて
23点を出品。重文は12点あるのですが、出光
が2点所蔵してまして、これが今回でてます。

ここの所蔵品は超一級ですね。とくに仙厓、玉堂、
肉筆浮世絵、九古谷、古唐津、板谷波山、ルオー、
サム・フランシスは日本一のコレクションです。

太田記念のギメ展は楽しみなのですが、あの展示室
に大勢のひとがやってきたらどうするんだろうと
心配になります。入場制限しないと、じっくり見れ
ないような気がします。

投稿: いづつや | 2006.12.12 08:03

こんばんは。

今年最後の展覧会の感想は
出光のこれで締め括りました。
「韃靼人狩猟図屏風」はじめ
面白い作品が後期には多く観られましたね。

投稿: Tak | 2006.12.28 22:56

to Takさん
今年はブリジストン講座、夏の暑気払いと色々お世話
になりました。来年もよろしくお願いします。

出光美の名品展はI、Ⅱともに充実してましたね。
コレクションの質の高さを再認識しました。
来年は新生サントリー美が目を楽しませてくれそうで
すね。そして、隣の国立新美術館ではポンピドー
名品展、モネ展ですから、このあたりは頻繁に通う
ことになりそうです。

投稿: いづつや | 2006.12.29 17:32

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