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2006.12.12

狩野永徳の松鷹図屏風

584東京芸大美術館では今、ユニークな展覧会が開かれている。大学の美術館ならではの“ユニヴァーシティ・ミュージアム合同展 ザ・ワンダーボックス”(12/17まで)。

展覧会自体は知っていたが、当初はパスするつもりだった。少し前、各美術館の来年の展覧会スケジュールをHPでチェックしていたとき、なんとはなしにみたこの展覧会の出品リストに嬉しい作品があった。右の狩野永徳作、“松鷹図屏風”である。これは永徳の絵では“唐獅子図”とともに、長らく追っかけている作品なので、喜び勇んで出かけた。

全国25の大学や機関から出品された資料は学術的に価値のあるものばかり。で、まずこちらのほうから。大学はその地域の自然、文化遺産や歴史的に重要な資料を保存し、研究に使っている。動物関連では、島根大学ミュージアムには“ニホンアシカ剥製標本”があり、琉球大学資料館からは“イリオモテヤマネコの生後間もない幼獣標本”、北海道大学博物館からは1879年に生息していた“ヤマゲラ標本”がでている。

古代人の骸骨の展示(九州大学総合研究博物館)も興味深い。8年くらい前、山口県の豊北町にある“土井ヶ浜遺跡”を訪問し、弥生人の頭蓋骨を学習したので、ちょうどいいおさらいになった。縄文人と弥生人の頭蓋骨を並べ、左半分が骨格から想像した実際の顔になってるのがおもしろい。石膏でできた顔は明らかに違う。縄文人の顔は眼窩、鼻が低く幅広で、彫りの深い精悍な感じがするのに対し、弥生人は眼窩、鼻が高く、幅狭で、凹凸の少ないのっぺらした顔立ちである。

今回の収穫は国立科学博物館が所蔵する“田上隕石”。重量は174㎏あり、日本に落下した一番重い隕石だそうだ。明治18年(1885)頃、滋賀県大津市にある田上山の山中で発見されたという。また、大きな“樹齢950年の木曾檜輪切り標本”(名古屋大学博物館)、“屋久杉の円盤”(宮崎大学農業博物館)をみれたのも貴重な経験である。

絵画は2点ある。椿貞雄の“菊子遊戯之図”(山形大学博物館)と狩野永徳の“松鷹図屏風”(東芸大美)。“菊子遊戯之図”はぱっとみると岸田劉生の絵かと錯覚する。椿は銀座で劉生の個展をみて感銘を受け、その後弟子として、また友人として劉生と交流したから、自然と画風が似てくる。

“松鷹図屏風”は大きな松の枝に羽を休める鷹を向かい合わせに配したスケール感のある屏風。右は右隻。左隻では白い鷹はとまった枝から金雲や峻厳な三角岩のある下のほうを眺めるように描かれている。これと較べると右の鷹は眼が鋭く、前方を凝視する姿が雄々しい。幹を誇張して太く斜めにドンと描かれた松、枝には堂々とした鷹、そしてリズミカルに横に流れる松の緑の葉とふわふわとした金雲。桃山時代の武将たちを鼓舞するにはうってつけの画面構成である。

狩野永徳も残りは“唐獅子図”だけとなった。これは来年秋、京博である回顧展で見られるだろう。

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コメント

芸大美術館はコレクションの展覧会「斉藤佳三の軌跡」もついでに観られますね、いづつやさんのご関心とはあまりあわないかな?
ユニヴァーシティ展は招待券で入りましたが、自然科学に比重がおかれていて美術領域はちょっと物足りない感じでしたね。
しかし会場がらがら、エルミタージュやダリはすごい混雑なのにー

投稿: oki | 2006.12.13 09:52

to okiさん
お目当ては永徳の屏風だったのですが、隕石や檜や
屋久杉、古代人の頭蓋骨の比較があったりで、刺激
がありました。自然科学については本を読むだけ
では理解が進みませんが、こういう物が目の前にあ
るとリアリティが増し、知識が立体的になります。

“斉藤佳三の軌跡”はまったく知りません。

投稿: いづつや | 2006.12.13 12:54

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受信: 2006.12.13 00:17

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