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2006.12.07

MOAの鍋島展

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熱海にあるMOAで“鍋島展”がはじまった(来年1/23まで)。やきものでは今年一番期待してた展覧会である。佐賀県立九州陶磁文化館(9/30~11/12)のあと、ここへ巡回してきた。

総出品数は230点と期待通り、国内にある代表的な鍋島がほとんどある。図録には載っているサントリー美の所蔵する3点と出光美の1点がないのは残念だが(九州会場のみの展示)、これらは過去見たのでパスでもいい。染付、青磁、色絵の技巧を駆使してつくられた鍋島の名品をこれほど沢山見られる機会はめったにないことだから、目に力をこめてみた。

作品はやかれた時期により、1.草創期~家光と鍋島焼の草創、2.成長期~藩窯の移転と生産体制の確立、3.隆盛期~綱吉と元禄・鍋島様式の完成、4.成熟期~吉宗と鍋島焼の成熟、5.衰退期~“家治好み”の新鍋島様式の5つのパートでくくられている。草創期でググッと惹きつけられるのは色合いが素晴らしい“薄瑠璃釉竜胆文変形小皿”。小皿だが、こんな洒落たやきものは観たことがない。成長期のところにあった“色絵鸚鵡文変形猪口”の鸚鵡のポーズと緑の羽にも言葉を失う。

鍋島の大半は深くなだらかな曲面と高い高台をもった木盃形と呼ばれる円形皿。そして、見込みに描かれる文様に中国の影響を受けた伊万里とは異なるモティーフが使われている。面白いのが青磁染付の小皿に描かれた大根。そして、赤唐辛子や豆などがでてくる“色絵野菜尽文皿”(出光美)もある。

隆盛期の元禄時代にやかれた作品には鍋島を代表する名品がずらっとある。MOA自慢の“色絵桃文大皿”(拙ブログ06/2/28)、“色絵宝尽壽字文八角皿”(05/7/3)、佐賀県立九州陶磁文化館が所蔵する上の“色絵三瓢文皿”、真ん中の“染付鷺文三足大皿”(重文)、そして下の“色絵牡丹唐草文水注”(静嘉堂文庫)など。

桃や大根、そして瓢箪の皿にすごく魅了されるのはそのまるい形がこの木盃皿とよくあっているからだと思う。“三瓢文皿”でハットするのは青海波文を背景に皿の外にはみ出すように瓢箪を配置する大胆な構成。モティーフを自在に散らしている感じが実にいい。染付大皿、“鷺文”は“桃文”とともに鍋島焼の定番。96年の“文明とやきもの展”(九州陶磁文化館)以来、久しぶりにみた。白鷺の描写、背景のムラのない濃みの技が見事。“色絵牡丹唐草文水注”は形のよさ、白地に映える赤や緑などの鮮やかな色合いに目を奪われる。

ほかにも格調の高い名品がいくつもある。会場ではワクワク、ドキドキの連続だった。目が癒され、体が熱くなる感激度200%の展覧会であった。なお、この大鍋島展はこのあと次の美術館を巡回する。
 ・大阪市立東洋陶磁美術館:07/2/10~3/25
 ・福島県立美術館:4/7~5/20

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コメント

いづつやさん、こんばんは。
メンテナンスは、無事終了されたのですね。
いやぁ、それにしても、鍋島のすばらしい絵図、いいですねぇ~~
この写真を拝見して、是が非でも熱海まで、行ってきたくなりました。
絵付けのやきもの中では、一番好きなのが、鍋島なのです。
デザインが、飛び抜けてますよね!!

ここのところのいづつやさんのレポートは、本当に素敵なところにお出かけなので、板橋区立美術館は訪ねたことがないので、是非行ってきたくなりました。
素敵なレポートに感謝です。

投稿: あべまつ | 2006.12.07 21:44

こんばんは
なんと言ってもわたしは色鍋島が最愛です。
特に椿文と桜に柴、それからカササギなど。
来年の東洋陶磁美術館はパッ と華やぐでしょう。嬉しいことです。
十年前、まだ浜町河岸に近いところに栗田美術館があった頃、その所蔵の鍋島にときめいたものです。
最近では戸栗美術館で名品を眺めることが多いです。

出光の陶片展示室の中で鍋島の染付青磁の欠片を見たときの衝撃は大きかったです。

投稿: 遊行七恵 | 2006.12.07 21:48

to あべまつさん
鍋島にぞっこんならこの大鍋島展は最高に気分がいい
と思います。鍋島の代表作がほとんど集結してるの
ですからすごいです。元禄、享保の時代にどうしてこ
れほどモダンな意匠が生まれたのか?日本人の美意識
はすばらしいですね。

魅了される意匠と構成がいくつもでてきますから、
是非MOAへお出かけください。

投稿: いづつや | 2006.12.08 23:43

to 遊行七恵さん
鍋島好きの七恵さんも2/10が待ちどおしいのでは
ないでしょうか。鍋島で有名な美術館は残らず出品し
てます。九州陶磁文化館、MOA,林原、栗田、出光、
東博など。サントリーは九州だけのようです(七恵さん
もきっと見られているのでは)。

静嘉堂文庫の水注は一度見たことがあるのですが、
大半が皿のなかで強烈な存在感がありました。沢山の
鍋島をみますと、あらためて大根や人参、瓢箪の皿が
いいなと再確認しました。

投稿: いづつや | 2006.12.08 23:59

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