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2006.11.22

出光美名品展の小杉放菴

554出光美術館の所蔵名品展パートⅡが
11/11からはじまった。

春のパートⅠ同様、前期(11/11~12/3)、後期(12/8~12/24)2回に分けて自慢の名品が展示される。

この名品展のいいところは図録があること。これまで、ミニ図録に分散して掲載されていた作品がここにまとめられているので、ときたま引っ張りだして名品を味わいたいときは重宝する。

今回も2回足を運ばずにはいられないほど、絵画、陶磁器の名品がずらっと出ている。これだけ質の高い展覧会に出くわす機会はそうない。はじめての作品で目を惹くのは狩野光信の“西王母・東方朔図屏風”と狩野長信の“桜・桃・海棠図屏風”。コンディションのいい狩野派らしい作風の絵である。また、江戸琳派、鈴木其一の画面が緑でうめつくされた“蔬菜群虫図”もなかなかいい絵。茄子と胡瓜がリズミカルに真正面に垂れ下がり、雀、赤トンボ、蝶、蜂は葉や蔦にとまったり、羽を動かし、緑ワールドを満喫している。後期には其一の“四季花鳥図屏風”が登場する。これは国内にある屏風では根津美術館蔵の“夏秋山水図”とともに最高レベルの作品。12年ぶりの再会が今から楽しみ。

ここは浮世絵肉筆画のコレクションでは日本一を誇る。今回そのなかのベストのものがでている。ボストン美の肉筆画もすごいが、日本にもちゃんといいのがあるのでご安心を。前期は菱川師宣の“江戸風俗図巻”、懐月堂安度の“立姿美人図”、歌麿の“更衣美人図”(重文)、北斎の“月下歩行美人図”。後期の見所は勝川春章の“美人鑑賞図”と北斎の“鐘馗騎獅図”。浮世絵肉筆画にのめり込むきっかけとなったのが春章の“美人鑑賞図”。春章が肉筆では一番の名手ということがこの絵をみるとわかる。観てのお楽しみ。

陶磁器も名品揃い。お気に入りは形と図柄が実にいい“絵唐津柿文三耳壺”、色が鮮やかな古九谷の名品“色絵山水文大皿”と“色絵菊文大皿”、白の地に美しい色調で花鳥が描かれた柿右衛門様式“色絵花鳥文角瓶”。そして、京焼の定番が続く。京博の大京焼展から帰ったばかりの仁清の“色絵芥子文茶壺”(重文)、乾山の“色絵定家詠十二ヶ月歌絵角皿”、金色の鶴がまばゆい“色絵芦雁文透鉢”の前に立つとハレスロットルはもう全開。最後の締めが板谷波山の葆光彩磁の傑作。本当にすごいコレクションである。

展示室の入り口に今回の収穫である右の絵が飾ってあった。小杉放菴が描いた“天のうづめの命”。実はこの名品展で秘かに期待していたのが“昭和の日本画100選”(1989、朝日新聞社)に選ばれた“山中秋意”という小杉の描いた花鳥画。美術館の人に確かめると、この絵は展示されず、右の絵と後期に2点でるとのこと。

意中の絵は見れなかったが、この“天のうづめの命”があまりに魅力的なのでとてもいい気分になった。これはこの女神の踊りに誘われて、高千穂の天岩戸に隠れていた天照大御神が穴からでてきたという“古事記”の話しを絵画化したもの。女神のモデルは昭和の大スター、笠置シズ子。道理で明るく肉感的なはず。

東近美の“揺れる近代展”ですこし触れたが、小杉は最初は洋画で才能を発揮し期待されていたのに、途中から池大雅の南画に魅せられて日本画に転向した異色の画家。この絵は転向後の作品だが、油彩で描いている。出光佐三が新造された巨大タンカーの船室に飾るため、小杉に制作を依頼したらしい。この後、東近美の後期展(12/5~12/24)に出張するから、そのときまた楽しめる。

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