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2006.11.27

東近美平常展の東山魁夷

563東近美で今年最後となる平常展(12/24まで)をみた。

2年前からここへ足しげく通っているので、前みた作品と遭遇することが多くなった。いつものよう日本画の一部は前期(11/19で終了)および後期(11/21~12/24)のみ展示される。

後期で注目の絵は小林古径の“加賀鳶”。昨年あった古径の大回顧展にも登場した。盟友の前田青邨が“竹取”、“御輿振”(ともに東博)のような歴史群像画をいくつも制作しているの対し、古径の描いた群像形式の絵はこれしかない。炎が激しく舞い上がる2階の最前線に陣取り、消化に励む加賀鳶(加賀藩の私設消防団)の奮闘ぶりがひしひしと伝わってくる。そして、燃える屋敷に急ぎ駆けつけてきた役人たち、家財道具を担ぎ逃げる男、赤ん坊を背におぶり子供の手をつかんで必死で走る女たちの動きなど、緊張と不安に包まれる火事場の喧騒が見事に表現されている。

この絵の隣には菱田春草の“梅に雀”がある。これははじめてみた。たらし込みで描かれた白梅の幹の枝に雀が3羽とまっている。春草は雀が好きだったのか、“雀と鴉”という大きな屏風絵(東近美)も描いている。長澤芦雪の絵、例えば、“百鳥図”や“花鳥蟲獣図巻”にも雀がでてくるが、芦雪の描く丸っこくて可愛い雀と較べると、春草の雀は小さくて寂しげな感じ。

通期で展示されている作品のなかには、近代日本画を代表する名画がいくつかある。歴史画の傑作、安田靫彦の“黄瀬川陣”、秋の定番である川合玉堂作、“彩雨”、湯船の水面のゆらゆら感に目が点になる小倉遊亀の“浴女 その一”、そして臭いのする動物画を描くと言われる竹内栖鳳の大作屏風、“飼われたる猿と卯兎”。

東山魁夷の絵は右の“秋風行画巻”と“秋翳”。ともに大好きな絵である。“秋風行画巻”は東山には珍しい絵巻。2年前、神戸であった大回顧展でこの絵をはじめてみたとき、びっくりした。青の画家のイメージが体中にしみこんでいるので、黄色、赤、うす緑、うす青の明るい色調がとても新鮮だった。東山魁夷のすごいカラリストぶりを見せつけられたと言う感じ。木々の葉が赤や黄色に色ずく美しい秋の風景をこれほどしっとり感じられる絵を何度も鑑賞できる喜びを噛みしめている。

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コメント

この常設、充実しています。工芸館の帰りに寄ったのですが。捕まってしまいました。
東山魁夷の“秋風行画巻”はいいですね。私ははじめて見ましたが、季節の移ろいを表現した色彩に見とれてしまい、しばらく絵の前で佇みました。
また、川合玉堂の「彩雨」も、緑、黄、赤の木々に雨が降る風景が、情趣たっぷりです。

投稿: 自由なランナー | 2006.11.28 23:01

to 自由なランナーさん
東近美のこの時期の展示はいつも充実してますね。
“秋風行画巻”は昨年も“黄瀬川陣”、“彩雨”と
ともに展示されました。いつみても感動するのは
名画の証ですね。ここは広くて、人もそれほどいま
せんから、名画を鑑賞するには最高の環境です。

投稿: いづつや | 2006.11.29 08:03

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