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2006.11.14

平塚市美術館の山本丘人展

245昨年11月、練馬区立美術館で日本画家、山本丘人の絵を50点ちかく観てからまだ1年しかたってないのに、今度は平塚市美術館が大回顧展を開催してくれた(11/26まで)。

練馬区立美に登場した成川コレクションで山本丘人(1900~1986)の画業の変遷、画風の特徴が一応頭の中に入っているので、目は割り方据わっていたが、それでもはじめてみる名品には熱く反応した。

作品は成川氏所蔵のほか、東近美、山種美などから92点ある。この中には60何年ぶりに展示される作品も含まれるなど、初期から壮年期、そして晩年に制作された代表作のほとんどがでているといっても過言でない。若い頃の女性画“娘之座像”から絶筆作品までがこうして一堂に並ぶと、丘人の画風が大胆に変っていく様子がよくわかる。

初期の作品でおやっと思ったのはアンリ・ルソーの絵に触発されたのではないかと想像してしまう“公園の初夏”。公園の周りの道路の描き方や人物表現は世田谷のルソー展にでていた堂本印象の“坂(京都)”の構成とよく似ている。日本画らしい“春庭”や“村道”は女性的な叙情が漂うやさしい絵。戦後の画風は男性的な表現が前面にでてきて、骨太の筆致で描かれた三角々した山が画題の中心となる。色数は少なく、金泥や銀泥の山、雪の積もった白い山が多い。ときには海までゴールドになる。

記念碑的な代表作“北濤”(ほくとう、東近美)は佐渡の荒れ狂う海を描いたものだが、これをはじめてみたとき、波しぶきの白があまりにゴツゴツ輝いているので、日本アルプスに積もった雪のようにみえてしょうがなかった。心を打つのは右の“夕焼け山水”(平木浮世絵財団)と大作“雲のある山河”(成川美)。“夕焼け山水”は実景をかいたのではなく、丘人が心象風景としてみた冬山の夕焼けである。真ん中の左右に折れ曲がる川には銀泥、川中や川べりの岩には金泥が使われている。画面の上にバランスよく配された山々が夕陽に赤く染まる情景と川の光輝く水面におもわず“うわー”となった。

丘人の画風がまた、女性的で優雅な感じになっていくのは70歳前後から。色はそれまでのゴールド基調から白の占める割合が増え、これに紫や黄色、朱色が加わり少しシュールで幻想的な画面にかわる。そして、女性や花鳥をモティーフにした絵が多くなる。女性画の傑作が“地上風韻”(拙ブログ05/11/29)と“壁夢”(山種美)。花や鳥を描いたものでは“狭霧野”(東近美)と“鳥と風月”(成川美)が素晴らしい。この4点はいずれも大作なのでみてて気分が高揚する。

才能のある画家は一つの画風に定着せず、描き方をどんどん変えていく。山本丘人も大きな画家の一人であることはまちがいない。

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