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2006.11.24

応挙と芦雪展 その二 芦雪

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展示品が入れ替わった応挙と芦雪の回顧展(奈良県美、後期:11/7~12/3)をみるため、また奈良を訪れた。前期同様(拙ブログ10/2410/25)、人物、花鳥、山水のくくりで43点でている(応挙20点、芦雪23点)。今回も鑑賞エネルギーの配分は応挙よりも芦雪のほうに厚い。で、期待の芦雪から。

人物で見ごたえがあるのはなんといっても上の“山姥図”(重文)。広島にいるとき、この絵を所蔵する厳島神社でみた。誰がみても山姥の強烈なイメージは長く体内に残るであろう。絵に力がある典型的な例である。またまた釘付けになったのが、画面いっぱいを占める山姥。鋭い目、大きな鼻、三本しかない歯はまさに妖怪の面相。そして、手に較べて足の大きいこと!衣装に隠れて一部しか見えないが、これから想像すると相当デカイ足である。喜多川歌麿が描く山姥は妖艶な姿をしているのに、芦雪の表現はかなり怪奇的。

これとは対照的に“唐子琴棋書画図”は子供の愛嬌のあるしぐさに口元が自然にゆるむ絵。金地に映える赤の衣装が印象深い。はじめてみた絵で惹きこまれたのがNHK教育で現在放映中の“ギョッとする江戸の絵画”で講師の辻氏が取り上げていた“絵変わり図屏風”。和尚のポーズや顔を見せない牛など普通でないフォルムや構図に面食らう。とくに左から2番目の絵は“何が描いてあるの?”。説明を聞いても、実際にみてもよくわからない。観てのお楽しみ。

真ん中はお目当ての屏風、“群猿図”(右隻)。親子プラス三匹の猿が描かれた左隻はよくみられる動物画なので、さらっと観てしまうが、右隻はユニークな構図にハットする。三角山のてっぺんに猿が腰をかけて、下のほうを眺めてるような画面構成は並みの絵師には思いつかない。芦雪は三角というか鋭角的なフォルムの上に対象を配置するのが好きだ。前期に出品された“百鳥図”では大鷲がとがった岩にとまっていたし、今回でている“薔薇図”でも雄鶏が三角岩の上にいる。観る者に大小の対比の面白さをみせるための工夫だったのかもしれない。

花鳥画のコーナーでは、鶏冠の赤が美しい“雪中双子鶏図”、画面から体がはみ出すところが面白い“猛虎図”、たっぷりとった余白が絵の魅力をいっそう高めている“花鳥図”が目を楽しませてくれた。最後の山水のところに大倉集古館で感激した“方広寺大仏殿炎上図”(拙ブログ4/9)があった。これは嬉しい展示。上から落ちてくる火の粉の感じがよくでている。

下は芦雪という絵師のすごさを一番感じさせてくれる絵、“海浜奇勝図屏風”。日本にはなく、NYのメトロポリタン美術館が所蔵している。この奇岩の表現をいつか目の中に入れたいと思っている。現在、東京でみられる芦雪作品をひとつ。東博の平常展では“蝦蟇仙人図”というなかなか面白い絵を展示中(12/6まで)。

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コメント

いづつやさん、こんばんは
ようやく蘆雪の感想を書きました~
今回も大満足な展覧会で良かったです。
特に「花鳥画」のジャンルに力を入れて鑑賞しました。
私は無量寺の「龍図」の迫力と凄みに圧倒されました。
隣に応挙の「雲龍図」があるから尚更でしたが、あの展示空間は思わず後ずさりをしてしまいそうになりました。
「山姥図」も蘆雪はどういった心境であのグロテスクな絵を描いたのか気になるところです。
晩年のグロテスク化の傾向はもっと研究が進むといいですね。
メトの「海浜奇勝図屏風」は私も是非!見たいと思っています。
画集でしか見たことありませんが、こちらも絵の前で後ずさりしてしまうこと間違いありません。

投稿: アイレ | 2006.11.30 23:03

to アイレさん
無量寺の“龍図”は知名度では“虎図”を下回って
ますが、魅力度では負けてませんね。恐怖心を抱く
龍というイメージではないですね。足の爪がバカ
でかいのと顎のあたりの戯画的な描写に芦雪らしさ
を感じます。

“山姥図”もインパクトありますね。このグロテス
クな顔は一度見たら忘れられません。無量寺の方が
言うには、今後、芦雪の絵が国宝に昇格するとすれ
ば“龍虎図”かこの“山姥図”とのこと。

どこか“メトロポリタン美蔵日本美術名品展”をやっ
てくれませんかね。東博か京博あたりで、そうす
ると“海浜奇勝図屏風”が観られるのですが。。

話しは変わりますが、12/5、MOAの“鍋島展”
(12/2~1/23)を見に行きます。今年のやきもの展
では最も期待していましたから、今、ワクワクしてま
す。アイレさんは鍋島はお好きですか?お家と熱海
は目と鼻のさきですよね。

投稿: いづつや | 2006.12.01 00:13

あれ、こんな不思議な海岸の絵があったかなぁ?見落としたかなと
一瞬、あせりました。メトロポリタンにあったのですね。

猿の腰掛ける三角山、岩なのか山なのか考えていました。
伝説の大ザルで、本当に山の上に座っているのかなぁとも思いました。

投稿: 一村雨 | 2006.12.01 12:48

to 一村雨さん
“群猿図”で右の猿が腰掛けているのは山とばかり
思ってましたが、図録には岩とありましたね。この
絵をこれまで図版などで見る度に、“山の頂上に
猿か!芦雪の発想はすごいな”と想像をふくらまし
ていました。

まわりの景色も含めて山のイメージが頭を支配して
ました。言われてみると、岩の方が自然かも知れませ
んね。芦雪お得意の対比を考えすぎてました。まあ、
岩でもハットする構図には違いありませんしね。

今回の展覧会では芦雪のこれぞという代表作がほとん
ど見れましたので、気分は上々です。

投稿: いづつや | 2006.12.01 16:32

こんばんは
昨日奈良で見た後、今日は池田の逸翁美術館で応挙一門の作品を見ていました。芦雪以外のお弟子さんたちの作品を見ていると、花鳥図に特色があるなぁと感じました。つまり横向きの三角形。上と下に小鳥、真ん中にやや大きい鳥。この構図が結構多かったです。

芦雪は小さい作品より大きい作品によいのが多いなと感じました。
それもどちらかといえば墨絵や淡彩にドキッとしたりしています。
前後期見る価値の高い展覧会だったと思います。

投稿: 遊行七恵 | 2006.12.04 00:13

to 遊行七恵さん
芦雪の横向きの三角形構図は応挙一門の画風だった
のですね。芦雪は大きな絵をハットするアングル
で描くのが得意ですね。今回、“百鳥図”や“群猿図”
が観れて大満足です。本当に見ごたえのあるいい
回顧展でした。

最後に残った“海浜奇勝図屏風”をはやくみたいも
のです。海外に流失したのが残念でなりません。

投稿: いづつや | 2006.12.04 14:16

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