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2006.10.11

東博の仏像展

501開幕を心待ちにしていた“仏像展”(10/3~12/3、東博)へは初日と11/7以降の平日と2回出かけることを決めていた。

一木彫の仏像では、平安時代初期につくられた神護寺の“薬師如来立像”(国宝)や9世紀後半の作である室生寺の“釈迦如来座像”(国宝)はみたことはあるが、今回出品される木彫仏の目玉、右の“菩薩半跏像”(10/3~11/5)と“十一面観音菩薩立像”(11/7~12/3)はまだお目にかかってない。

二つとも、図版をみてすごく惹きつけられ、前々から日本美術品の追っかけリストに入っている。普段おかれている寺へ出かければ見れることはわかっているが、これがなかなか実現しない。今回、お寺に行かずにこの名品を鑑賞できるのだから、大変有難い展覧会である。出品されているのは全部で146体。入れ替えがあるのは国宝、“菩薩半跏像”(宝菩提院願徳寺)と“十一面観音菩薩立像”(向源寺)の2体だけ。どちらも見たい人のために、2回目の入館料は半額に設定されている(1回目の半券をみせればOK)。

最初のコーナーにある小さい仏像をさらさらとみて、お目当ての“菩薩半跏像”をめざした。像の前に立つと、“これはすごい!”と唸ってしまった。片足を組んだ菩薩の姿には安定感があり、バランスのいいプロポーションは見てて心地よい。組んだ足と台座にうねるようにかかる衣が写実的に表現されているのに目を奪われる。胸や腹のあたりの肉付きがよく、顔もふっくらしているが、目はきりっと鋭い。

これを一本のカヤから彫るのは高い技術を必要としただろうなと思わせるのが、左腕にかけられた衣や両腕と体の間がくりぬかれた部分。肩や腕にかかった布の柔らかい質感はダリのくにゃっと曲がった時計を連想させる。像の周りをぐるぐるまわり、いろいろな角度からその緻密な彫りと美しい造形を眺めていると、4月、ローマでベルリーニの大理石彫刻(拙ブログ06/5/175/18)の傑作を見たときと同じくらいの感動を覚える。と同時に、日本には9世紀の頃、木造ではあるがベルリーニが見たら驚愕するほど繊細に彫られた仏像があったことを誇らしく思った。

卓越した一木彫の技がみられるのは“菩薩半跏像”のほかにもいくつかある。とくに気に入ったのは、衣文のリズミカルな線とボリューム感に圧倒される“薬師如来立像”(国宝、元興寺)、インドの僧を思わせる“地蔵菩薩立像”(重文、融念寺)、体の表面が色の剥落で白と茶色のまだら模様のように見えるものの、“菩薩半跏像”のように腕にかけられた布が見事に彫られた“十一面観音菩薩立像”(重文、秋篠寺)。

また、江戸時代、円空や木喰(もくじき)が彫ったユーモラスな仏像の数々にも心が和む。満足度200%の展覧会であった。

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コメント

いづつやさん、こんばんは.
願徳寺の如意輪観音は今年の春に現地に見に行きました。
厨子の中に入っているのですが、収蔵庫を真っ暗に
したあと、突然厨子の灯りだけをつけると
この観音が暗闇の中から出現したように感じました。
そんなお寺の演出があってドラマチックでした。

向源寺の十一面観音にも、出かけようと思って
いたら、この展覧会に来るという話を聞いて、
ずっと楽しみにしていました。
向こうからやってきてくださるのは、本当に
嬉しいことですね。

投稿: 一村雨 | 2006.10.14 00:20

to 一村雨さん
仏像展、大興奮でした。鑑賞前は向源寺の“十一面観音菩薩立像”
への関心が80%、“菩薩半跏像”20%でした。“菩薩半跏像”は
本物に向かい合わないとこの仏像の素晴らしさは分かりませんね。

一村雨さんのようにお寺の演出つきで観られれば、その感動は
言葉にならないかもしれませんね。木彫仏の傑作に会えて嬉しく
たまりません。

投稿: いづつや | 2006.10.14 21:48

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