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2006.10.19

歌川国芳の猫文字

308今月5日にオープンした“ららぽーと豊洲”(地下鉄有楽町線豊洲駅から徒歩5分)のなかに、浮世絵コレクションで有名な平木浮世絵財団の所蔵作品を展示するコーナー、“UKIYO-e TOKYO”ができた。

今、ここで開館記念、“にゃんとも猫だらけ展”(11/19まで)が開催されている。先週の“美の巨人たち”でここの名前はでなかったが、国芳の猫をとりあげていた。美術館といえるほどのスペースはなく、ほかの出店店舗と同じくらいの面積。今回は猫が描かれた浮世絵64点が前期(10/5~10/29)と後期(11/2~11/19)に分けて展示される。

作品の大半を占めるのが猫を愛した歌川国芳と弟子たちの作品。国芳と同い年の広重の絵も3点ある。そのなかの“名所江戸百景 浅草田圃酉の町詣”は名品としてよく画集に掲載される。広重は風景を思いがけない仕方で切り取るのが得意。吉原の妓楼の二階から眺めた景色で、遠くに富士山が見える。人気がない部屋の窓には手拭いがぽんとおかれ、猫が外を眺めている。この後ろ姿の猫がとても印象的。

これまで国芳の猫の絵はいくつもみてきたが、こうやって種々の猫が並ぶと、国芳が大の猫好きであったことがよくわかる。団扇絵“猫のすずみ”はユーモラスな絵。江戸の夏の風物詩である涼み舟の船頭が乗り込もうとする猫芸者に手をさしのべている。猫がそばにいる美人画もたくさんある。女の引き立て役は猫が一番。犬では様にならない。国芳の美人画でうっとりすることはあまりないが、胸のところに猫を抱いた女を真ん中でどアップにし、まわりを白い菊で飾った団扇に惹きつけられた。はじめてみたのでは、三枚続きの画面に大きな猫の妖怪がでてくる武者絵風の絵にちょっと緊張した。照明を少し落としているので、化け猫が連想されるこの手の絵はあまり長くはみていられない。

右は人文字ならぬ猫文字。これは朝鮮民画の文字絵(拙ブログ10/10)でふれたばかり。二つの文化記号が異常接近し、コラボしてくれた。文字は誰でもすぐ読める“かつを”。ダりのダブルイメージのように悩まされることはない。“つ”にハットする。猫がかつをを頭から食べている。“を”のなかにもかつをが2匹いる。よくみると、腹をみせている猫と背中をこちらにむけている猫が真ん中のかつををめぐって争奪戦の真っ最中。また、右下の落款の枠も猫の首紐と鈴でデザインするなど、この絵は猫尽くし。この展覧会、猫好きの人にはこたえられないだろう。

帰り際、所蔵する若冲の花鳥版画(拙ブログ8/19)の公開について聞いたところ、最近、貸し出しが重なったので少しお休みとのこと。でも、この展示コーナーでいずれ展示されるだろうから、あせることはない。気長に待つことにした。

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コメント

いづつやさん、こんばんは。
豊洲のららぽーと内にこのような施設が出来ましたか。
全く知りませんでした。猫をテーマとした浮世絵とは面白いですね!
一度訪ねてみたいと思います。

>所蔵する若冲の花鳥版画(拙ブログ8/19)の公開について聞いたところ、最近、貸し出しが重なったので少しお休みとのこと。でも、この展示コーナーでいずれ展示されるだろうから、あせることはない。気長に待つこと

私も気長にまたせていただきます!こちらも楽しみです!

投稿: はろるど | 2006.10.20 22:36

to はろるどさん
あまり広くない展示コーナーみたいなものですが、
平木浮世絵財団が所蔵作品を展示する場所を確保
してくれたのは嬉しいですね。訪問したのは若冲
の花鳥版画の展示時期を聞くためだったのですが、
国芳の猫が沢山出てて結構楽しめました。

東博の平常展示で、特集陳列“猫”が11/7~
12/6にあります。ここにも国芳の猫がでてくる
ようです。

投稿: いづつや | 2006.10.21 23:13

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