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2006.10.04

日曜美術館30年展の横山操

496現在は新がついているNHKの日曜美術館は放送を開始してから30年になるという。それを記念した展覧会が東京芸大美術館で開催されている(10/15まで)。

この美術番組とはもうかれこれ20年近くつきあってきた。この間、好きな画家や日本画、陶磁器が取り上げられたときはビデオに収録してきたので、今回展示された作品の脇で流されている番組のダイジェスト版のなかにはよく覚えているのがいくつかあった。普段の出来事や仕事の話しは忘れるのは早いのに、好きな美術のこととなると、感動した作品の美しさが全身の細胞に浸み込んでいるからであろう。

逆に、その番組が放映されたころは関心がなかったが、その後だいぶたってからその作品の魅力に開眼し、あのとき見とけばよかったなと後悔することも多い。作家の創作活動が展覧会などで発表される時期と観る者の芸術選好度のテンポはぴたっと重ならないのが普通だから、これは仕方がない。とはいうものの、もっと早く接していたら楽しい気分になっただろうなと強く思わせる絵が中にはある。

そのひとつが藤島武二の“黒扇”(ブリジストン美、重文)。ここ、2年間、東近美の平常展を頻繁にみたせいか、日本人画家の洋画に対する見方が変ってきた。最近では、藤島武二と山下新太郎が描く女性の肖像画に吸い込まれるようになった。なかでもこの“黒扇”と“天平の面影”に描かれた女性に見蕩れている。

近代日本画では画家の代表作が何点も出ている。これは圧巻。前田青邨の“阿修羅”(東芸大)、菱田春草の“落葉”(滋賀県美)、上村松園の“花がたみ”(松柏美)、棟方志功の“二菩薩釈迦十大弟子”(棟方板画美)、横山操の右の“雪富士”(フジヤマミュージアム)。このなかでとくに嬉しかったのがはじめてみる“阿修羅”と“雪富士”。“阿修羅”は現在、岐阜県美で行われている“前田青邨展”に出展されてないので、たぶんここにでているとみていたが、期待通りだった。大きな絵で、画集でみるよりはるかにいい。傑作である。

横山操の富士は今年2月、東京美術倶楽部の“美の伝統展”にあった“清雪富士”に大変感動したが、今回でている“雪富士”にもぐっとくる。寂寥感の漂う絵である。横山操の水墨画は、この雪の積もった富士山でも“越路十景”(拙ブログ05/2/7)でも、みてるとしんみりしてくる。水墨画の原点に立ち帰ったような近代水墨画の傑作ではなかろうか。

水墨画の展覧会情報をいくつか。
★王子江個展:10/8~10/21 (場所)ギャラリー青羅、中央区銀座3-10-19美術家会館1F(TEL)03-3542-3473  拙ブログ05/12/7で取り上げた王子江さんの例年開催される個展。
★浦上玉堂展:11/3~12/3 (場所)千葉市美術館  川端康成が所蔵してた国宝も含む最大級の回顧展

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コメント

いづつやさん
こんばんは

横山操の作品はとてもよかったですね。
加山又造さんが語る『何で俺には描けないのだろう...』
という言葉も印象に残りました。

近美のモダン・パラダイスに出展されていた『塔』とと
もに、横山操を発見できた、この秋でした...

投稿: lysander | 2006.10.05 00:36

to lysanderさん
この“雪富士”に感動しました。日本人の琴線にふれる絵ですね。
広重の風景画と横山が晩年に描いたこの富士や越路十景をみると
いつも、同じような感情が涌き上がります。

加山又造に“何で俺には描けないのだろう”と言わしめるのです
から、横山操はすごい画家です。東近美で横山操の大回顧展を
やってくれないかなと秘かに願ってます。

投稿: いづつや | 2006.10.05 08:19

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