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2006.09.29

ベルギー王立美術館展

484長らくご無沙汰していた国立西洋美術館へ出かけ、“ベルギー王立美術館展”(12/10まで)をみた。

昨年4月のオランダ・ベルギー旅行で、この美術館も訪れ、ブリューゲル、ルーベンスをはじめデルヴォー、マグリット、現代アーティストなどの質の高い絵画を楽しんだ。

それから、あまり時間がたってないので、展示室のレイアウトや美術館の誇る名画をどんな風にみたかをよく覚えている。で、当然ながら、まだ、ここを訪れていない人とはこの展覧会に対する期待値は異なる。海外のブランド美術館が所蔵する作品を展示するときは、いつも過大な期待はもたないようにしている。目玉の名画が2,3点あればもうOK。

だから、今回、ブリューゲルの名作、“イカロスの墜落”(拙ブログ05/4/27)がまた観られるのは有難いなというくらいの気持ちだった。トータルの満足度としては、これにどれくらいのプラスαがあるかだ。結果はどうであったか。名画2,3点は確かにクリアしているから、一応は○である。が、二重丸はつけにくい。理由はいくつかある。

古典絵画部門では、ルーベンスの名画を1点でもみたかったのだが、これは叶えられなかった。“東方三博士の礼拝”、“聖リヴィナスの殉教”やクラナッハの“アダムとイヴ”はやはり無理だった。ヨルダーンスの“酒を飲む王様”で我慢してくれということだろうか。この絵は現地で見たときも印象深かった。4点くらいみたなかでは一番惹きつけられた絵。酒を飲んだり食べたりして王様遊びを楽しんでる様子をみるとこちらも心が軽くなる。ヴァン・ダイクの“イエスの伴侶、ジャン・シャルル・デラ・ファイユの肖像画”もいい絵。

近代絵画は期待値を下回った。この美術館の自慢はシュルレアリスト、デルヴォー(4/26)、マグリット(4/25)と象徴派のクノップフ(4/23)やデルヴィル、アンソールのコレクション。実はこれらのビッグネーム画家の名画をプラスアルファとして一番期待していたのだが。。デルヴォーは“夜汽車”があり、右の目の大きい人形のような半身裸婦像が手前に大きく描かれた“ノクターン”があるので大満足。

マグリットの“光の帝国”はもちろん代表作のひとつ。でも、この絵も“血の声”も02年、Bunkamuraであった“マグリット展”にやってきた。まだ、4年しかたってないのにまた、同じ作品をでんと展示するのはちょっと配慮に欠けるのではなかろうか。もっともこの回顧展には王立のマグリットコレクションをごそっともってきたので、ほかの作品だとレベルが下がるというジレンマがあり、じゃー、“光の帝国”にしとこうかーとなったのかもしれない。もし、こうした思考回路でマグリットの作品を選んだのなら、今後はそんなやり方はしないほうがいい。

日本人は世界で一番といっていいくらい絵画が好きな国民なのである。いくら、マグリットの代表作といっても、同じ作品を何度も見るより、まだ日本にきてない、具体的には、図録(日本語版あり)に載っているクノップフの“マルガリーテ・クノップフの肖像”、“メモリー・芝生のテニス”、“愛撫”(これは無理だろうが)、デルヴィルの“悪魔の宝物”、“スチュアート・メルル婦人の肖像画”などがみられるほうが楽しいにきまっている。

絵画の好きな人はTV東京の“美の巨人たち”、NHKの“迷宮美術館”や美術雑誌などから情報を得て、気に入った名画を求めてどんどん海外の美術館に出かけている。日本初公開というフレーズにはあまり驚かない。注目しているのは展示内容。日本にはじめて紹介されたベルギー王立美術館所蔵品のなかにブリューゲルの“イカロスの墜落”が入っていたのは拍手々である。近代絵画のなかにぐっとくる名画がもう少し欲しかった。残念!

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コメント

いづつやさん、こんばんは
なんだか前半飛ばしすぎて、後半バテちゃったサッカーの試合みたいな(自分のフィールドで例えてみました♪)展覧会だったですね。
ブリューゲルは日本では滅多に見れませんから良かったですが、象徴派以降の絵画はかなりはしょりすぎでした。(来ている画家は錚々たるメンツだったのに、代表作が来ないというのはこれいかに?)
クノップフ「愛撫」は1990年にBunkamuraで見ただけに、今回来なかったのは残念無念です。

投稿: アイレ | 2006.10.01 03:22

to アイレさん
昨年、この美術館の作品を4時間くらいかけてじっくりみましたので、まだ
よくおぼえています。今回の展示品で館の図録に載っているのはあまりあり
ません。ブリューゲル1点を見せれば日本の人は喜ぶだろうという感覚ですね。
もう一つの柱、ルーベンスは未完の絵をもってくるより、図録にも載ってるい
い絵を展示すればいいのにと思います。

古典絵画部門は“イカロスの墜落”だけでもいいですが、近代絵画は期待値の
半分でした。この美術館は象徴派の名画があるので有名なのですから、もう
2,3点、クノップス、デルヴィル、アンソールの図録にのってる絵が欲しか
ったですね。アイレさんがお好きな“愛撫”は図録の最初の頁に使われている
ほどの館の至宝ですから、無理でしょうが。西洋美術館は近代、現代絵画は弱いで
すね。Bunkamura、上野の森美のほうがレベルは高いです。

自分たちはいい作品をもってきたと思っている古典部門も、“イカロス
の墜落”を除けばそれほどでもないし、肝心の象徴派はぐっとくるのが1点も
ないのですから、今回は収穫ゼロでした。こういう展覧会も珍しいです。東京
都美であった“プラド美展”の満足感とは対照的です。

投稿: いづつや | 2006.10.01 12:48

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受信: 2006.10.01 03:14

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