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2006.09.16

モダン・パラダイス展のゴーギャン

472プロバイダーの変更に予想以上の日数を要し、3週間も休止しましたが、本日回線が開通しましたので、更新を再開します。よろしかったらまた、お付き合い下さい。

過去2ヶ月に鑑賞した展覧会のなかには会期の終了したものがいくつかある。ネットのトラブルがなければアップしていたはずだが、古新聞のようになってもいけないので、これらは割愛して、現在も開催中の企画展を取り上げようと思う。

まずは、東近美の“モダン・パラダイス展”(10/15まで)から。初日(8/15)に入場した。この展覧会の一番の魅力は倉敷にある大原美術館の名画がみれること。2年前までは長らく広島にいたから、大原美術館には何回と足を運んだ。質の高い美術品があり、その展示空間にいると大変いい気持ちになる美術館が日常生活のなかで身近な存在に思えるというのはとても嬉しいことである。大原のように一級の西洋絵画が揃っている美術館だとその感を強くする。

今回ここからの出品作を手元にある図録でチェックすると、お馴染みの名画が漏れなくある。大原自慢のエル・グレコの“受胎告知”があれば言うことないが、これは今回のテーマからちょっとはずれるのでそこまで欲張れない。モネの“睡蓮”、ルノアールの“泉による女”、右のゴーギャンの“かぐわしき大地”、セガンティーニの“アルプスの真昼”とくれば、日本にある最高レベルの印象派作品のオンパレード。これは見応えがある。そして、日本にあるデ・キリコの絵のなかではベストではないかと思っている“ヘクトールとアンドロマケーの別れ”やフォートリエの“人質”もちゃんとでている。

これに対し、本拠地、東近美の所蔵品は日本画や日本人の描いた洋画の傑作が並ぶ。入ってすぐのところに菱田春草が死ぬ直前に制作した巻物“四季山水”がある。春草がこの絵を描いたあとも生命が続いていたら、本来持っていた天分の色彩感覚が作品に全開してでてきただろうなとふと思った。徳岡神泉の“蓮”も凄く印象深い絵。前に見たときと同様、蓮の上にたまる水滴の質感にびっくりした。見事というほかない。安井曽太郎の“奥入瀬の渓流”はつい最近みた実景をよくとらえている。今ではここでこれをみるのが大きな楽しみ。

人物画では東近美の定番がズラリ。いつ観ても魅了される岸田劉生の“麗子肖像”、小出楢重の“ラッパを持てる少年”、関根正二の“三星”。“心のかたち”としてくくられた内外の画家の肖像画のペアリングは非常に興味深い。人物を表現するとなると絵画だけでなく、写真のもっている大きな力が新鮮に感じられた。

今回エネルギーを集中してみたのが右のゴーギャンの“かぐわしき大地”。なぜかというと、10/19から東京都美術館ではじまる“大エルミタージュ美術館展”にゴーギャンの名画中の名画、“果実を持つ女”が出品されるので、ゴーギャンへのテンションが徐々に高まっているからである。“かぐわしき大地”はゴーギャンの絵ではつね日ごろ5本の指に入る傑作ではないかと思っている。お気に入りの色は強烈に輝くトカゲの赤い翼と女がつまんでい花びらのピンク。

ゴーギャンの絵をみる楽しみはなんといっても色彩の輝き。エルミタージュで“果実を持つ女”を観たときの感動はいまでも忘れられない。その絵がまた観れると思うと嬉しくてたまらない。頭の中でゴーギャンの絵の理想的な鑑賞を想いえがいている。それは、10月に“果実を持つ女”をみて、来年1月、同じく東京都美術館で開催される“オルセー美術館展”で“タヒチの女たち”に出会うこと。トップ5の3つが半年の間に見られるなんて夢のような話なのだが。はたして“タヒチの女”がやってくるだろうか?

因みに勝手に決めてるあと二つの作品はメトロポリタンにある“マリアを拝す”とボストン美の“われらはいずこより来たり、われわれは何であるのか、われらはいずこに去るのか”。

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コメント

こんばんは
PC復帰おめでとうございます~
わたし丁度大原所有の棟方志功の大和絵などを見てきたところです。

>関根正二の“三星”
大好きです。『信仰の悲しみ』にぎょっとした学生時代から段々意識が変容して、『三星』でとてつもなく関根がいいと思うようになりました。東方の三博士の見立てですね。

ゴーギャンの名画に色々出会える年ですね。
オルセーは一足先に神戸で見てきます。
凄く楽しみです。

投稿: 遊行七恵 | 2006.09.17 01:43

こんにちは。
私はセガンティーニのアルプスの真昼に出会えて
嬉しかったです。今年はBunkamuraとこちらで
アルプス作品を見ることができて大収穫でした。

ゴーギャンの絵って、何となく色彩をアイロンで
ペタッと伸ばしたような不思議な感じがします。
果実を持つ女は、ここにある麦僊の「島の女」を
思い起こす絵ですね。

投稿: 一村雨 | 2006.09.17 07:41

ネット復帰おめでとうございます。
ゴーギャンというと、「ゴーギャンとナビ派の画家」という展覧会が多摩センターのパルテノン多摩で開かれて、カタログ今も売っています。
ナビ派といえば日本ともかかわりが深いから「ナビ派と日本画家」なんていう展覧会どこかでやっているかもしれないですね。
それはともあれ、僕は近代美術館の展覧会では関根の「信仰の悲しみ」にいちばんひかれました。
この夭折の画家は死の間際に本当に幻が見えたのでしょうか。

投稿: oki | 2006.09.17 09:01

to 遊行七恵さん
ブログをまた更新できてほっとしています。関根正二の“三星”は東近美で
はしょっちゅうみている感じです。魅力がありますね。東方の三博士に見立て
ているのですか。七恵さんは、相変わらず何でもよくご存知ですね!

ゴーギャンに今、神経を集中しているところです。エルミタージュの“果実
を持つ女”に再会できる日を心待ちにしています。

投稿: いづつや | 2006.09.17 17:39

to 一村雨さん
今年はセガンティーニの当たり年ですね。スイス・スピリッツ展で念願の
代表作、“アルプスの真昼”がみれましたし、今回、大原自慢の同名の作品
と再会しました。満足度200%です。

“かぐわしき大地”に描かれた女の顔と較べると、“果実を持つ女”はすっ
きりとした顔つきをしてます。ゴーギャンの平明な描写は浮世絵の影響だと
思いますが、土田麦僊の“島の女”は多分にゴーギャンのタヒチの女を意識
してますね。タヒチに行ったことはありませんが、ゴーギャンの絵のように
色が輝いて見えるのでしょうか。

投稿: いづつや | 2006.09.17 17:59

to okiさん
プロバイダーを変更するのにこんなに時間がかかるとは思ってもみません
でした。ちょっとシンドイ3週間でした。

関根正二の“信仰の悲しみ”はすごくインパクトのある絵ですね。
大原ではじめてこの絵をみたときはズキッときました。03年に開催された
“青木繁展”でも“信仰の悲しみ”と“三星”がペアになってでてましたね。
ブリジストンにある“子供”も気に入ってます。

こんな画才のある関根が20歳までしか生きられないのですから、神は時々
むごいことをします。幻をみたのでしょうか?

投稿: いづつや | 2006.09.17 18:22

こんばんは.

回線変更お疲れ様です.

「モダン・パラダイス展」,今日観てきました.

混んでいたので頭ごしにさらっと見てしまったのでパラダイス気分も中途半端なのですが,リヒターや横山操などが印象に残っています.(あ,両方とも東近美か!)

セガンティーニも実物の密度が気持ちいいですよね.

また倉敷に行きたくなりました.

blog更新楽しみにしております.

投稿: おけはざま | 2006.09.18 20:52

to おけはざまさん
新回線(光ファイバー)は今のところ順調です。

リヒターの絵では真ん中の下あたりの赤が輝いてましたね。横山操の黒はとて
も深いです。そして、晩年の水墨画がすごくいいです。この画家は天才肌ですね。

セガンティーニのアルプスの光がたまりません。大原、東近美、ブリジストン
はやはりたいした美術館ですね。コラボを企画した人に拍手を送りたいです。

投稿: いづつや | 2006.09.18 23:42

始めまして僕は関根正二やかまちに出会って絵を描き始めました
よかったらホームページを
のぞいて見てください
http://www.takayuki-oekakichamp.com/
「お絵かきチャンピオン小林孝至」でも
検索できますよろしくお願いします
よかったらメール&ホームページにコメントも待ってます

投稿: チャンプ | 2010.09.08 19:13

to チャンプさん
はじめまして。書き込みありがとうござ
います。もてる想像力と技を発揮されて
大勢の人を楽しませる絵を沢山描いてく
ださい。これからもよろしくお願いし
ます。

投稿: いづつや | 2010.09.09 11:21

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