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2006.08.14

瑞巌寺の金碧障壁画

455風光明媚な松島に感動したあと、必ず寄るのが瑞巌寺。

五大堂から5分も歩くと総門につく。この寺はそこから本堂まで続く参道を進むときの気分が格別にいい。

両側の鬱蒼たる杉木立は見上げるように高く、時間が止まったような静謐な雰囲気が漂うこの空間は松島湾の遊覧船観光で一気に盛り上がったテンションをクールダウンさせてくれる。

伊達政宗が1609年に建てた瑞巌寺のなかで、国宝に指定されているのは本堂と隣の庫裏(くり)。久しぶりにみる本堂のお目当ては97年に終了した金碧障壁画の復元模写。前回訪れたとき観たのは劣化した障壁画。何年か前にやっていたNHk番組、“国宝探訪”で10年にわたる修復事業により創建当初の姿を取り戻した絢爛豪華な絵を紹介していた。金地の輝きがあまりに鮮烈だったので、いつかこの目で見てみたいと思い続けてきた。

洋画でも日本画でも色を感じたい絵がある。マチスの赤とか、ゴッホの黄色とか、東山魁夷の青とか。。黄金を感じたい日本画となると狩野永徳がはじめた金碧障壁画。この寺の復元模写を担当したのは日本画家ではなく美術工房。実際に障壁画を描いた狩野派の絵師が使った色を忠実に再現してくれた。復元模写だから価値が低いなんてことはない。もちろん永徳の絵と較べると質は落ちるかもしれないが、狩野派特有の華麗さや力強さが感じられればいいのである。

右は本堂の中心、法要が営まれる“孔雀の間”の正面。襖絵は“松に孔雀図”。金地の輝きと鮮やかな群青に思わず息を飲み込んだ。青の上に描かれているのは松と梅。その下に尾っぽを上げ、体をすこし後ろにひねった孔雀がいる。首から胸あたりの強い赤が目に焼きつく。また、紀州根来からやってきた名工が彫ったいかにも桃山様式の欄間彫刻に目を奪われる。この極彩色の“雲に天人”はこの部屋が目に見える此世の浄土であることを示している。

孔雀の間のほかに、“松桜に諸鳥図”、“柏に鷹図”、“周文王狩猟図”、“菊図”などが同じく濃彩で描かれた部屋がある。絵だけでなく、部屋の長押の上に嵌め込まれた“鳳凰、鶴の巣籠り”などの両面透し・片面透し彫りの彫刻も見事。

政宗は仙台の地を京都に劣らぬ文化都市にしようと、その中核となる瑞巌寺の造営に心血を注いだ。木材は熊野から切り出した良材を使い、一流の腕を持つ名工を和歌山などから150人スカウトしたという。この寺は政宗の願いがひしひしと伝わってくる名刹である。

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コメント

こんばんは
仙台に行った時、地元の運転手さんのおかげで、瑞巌寺の裏庭と言うのか、杉木立の林立する中を案内してもらいました。
荘厳な中尊寺、森厳たる瑞巌寺。
そんなイメージがそのとき以来、意識に生まれています。

投稿: 遊行七恵 | 2006.08.14 22:45

to 遊行七恵さん
久しぶりの瑞巌寺で金碧障壁画や極彩色の欄間彫刻を楽しみました。二条城
にいるような感じでした。この寺の鬱蒼とした杉木立は心を静めてくれますね。
松島湾の遊覧船観光では、すぐそばまでとんでくるカモメにきゃっきゃ言って喜
んでいたのとは対照的です。

投稿: いづつや | 2006.08.15 20:07

こんにちは。
私もやっと瑞巌寺に行ってきました。仙台に住んで、3年も経つのに、いままで訪問していなかったのが不思議です。
本堂や庫裡もよかったですが、情報がWEBに公開されていない宝物殿も見ごたえがありました。障壁画のオリジナルが4月に展示されるようなので、再訪しようと思っています。

投稿: 自由なランナー | 2007.03.22 23:59

to 自由なランナーさん
宝物殿にもなかなかいいものが展示されて
ますね。伊達政宗が精魂こめて建てた瑞巌寺
は東北だけでなく日本の宝ですから、また
いつか訪問したいです。

投稿: いづつや | 2007.03.23 13:18

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