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2006.08.08

ペルシャ文明展

451期待の“ペルシャ文明展”(東京都美術館、10/1まで)を観た。

展覧会のサブタイトルは“煌く7000年の至宝”。アイキャッチに“至宝”という言葉は展示品の中に、豪華な宝飾品、歴史的に価値のある彫刻、誰もが認める超一級の名画とかがないとつけられない。

今回はイラン国立博物館などが所蔵する古代ペルシャを代表する美術品が200点あまりやってきた。その中に至宝と呼ぶにふさわしい金製品が数点含まれている。展覧会の目玉としてチラシに使われているアケメネス朝ペルシャ時代(BC550~BC330)に作られた“有翼ライオンの黄金のリュトン”は一級の工芸品。

ワインなどを入れる先がラッパ状に開いた角形の酒器本体に翼のあるライオンがくっついている。金に細工された装飾性豊かな翼や体の毛の紋様が一際目をひく。金製品は古代ペルシャにかぎらず、エジプト、ギリシャでも材質が朽ちることなく、永遠の輝きを保っている。細工のレベル、造形的な美しさではBC1000年頃の“黄金のライオン装飾杯”にも目を奪われる。

古代ペルシャの遺跡で最も興味があるのがペルセポリスの宮殿。いつになるかはわからないが、ここを訪問したいと思っている。今回、ペルセポリスから出土した遺品の一部がみれたのは大きな喜びである。その一つが右の“朝貢者の浮彫”(アケメネス朝、石灰岩)。壺を捧げ持つ朝貢者の前にいる案内の官吏の頭の毛や顎鬚が丁寧に彫られている。このレリーフのほか、エチオピア人、メディア人、ソグド人のものがある。

大きさで圧倒されるのがアパダーナ(謁見の間)で発見された柱頭装飾の一部とみられる“ライオン像の足”。一部でもこれほどの存在感があるのだから、その全体の姿は相当な大きさだったはず。でも、柱の高さは20mあったというから、装飾の細部は下からは見えなかったかもしれない。

古い土器で形に惹きつけられたのがあった。BC1500~800年の“こぶ牛形土器”。大きなこぶにインパクトがあり、表面がつるつるしたシンプルで原始的なフォルムに魅せられ、一点々夢中になってみた。これと同様にじっくりみたのがササン朝ペルシャ時代(226~651)の切子ガラス碗。東大寺正倉院宝物にもあるガラス製品である。シルクロードを経て東方に伝わったものが目の前にあるかと思うと感激する。

この先、ペルシャ美術をこれほどまとまった形でみる機会はそうないであろう。見所の多い、貴重な体験であった。

■■■■■06年後半展覧会情報(拙ブログ7/1)の更新■■■■■
・下記の展覧会を追加
★西洋美術
7/13~9/24   シャガール展     青森県立美術館
9/7~9/26    ラウル・デュフィ展   大丸東京店
★日本美術
8/22~28     濱田&河井展    日本橋三越
9/5~10/9    前田青邨展      岐阜県立美術館
10/5~17     棟方志功展      大丸東京店

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コメント

僕はアスパラクラブの招待で行きましたが展示構成に問題ありと感じました。
黄金のところだけゆっくり観られるつくりにするのはどうかとー。
あとアスパラクラブ会員はカタログ買っている人がまったくいませんでしたが、いづつやさんのときはいかがでしたか。
江戸東京博招待券期待して行っていない僕です。

投稿: oki | 2006.08.10 22:37

この美術展は、日本とササン朝の関係を考える上で、とても興味深いおのではないでしょうか。私も時間を作って、ぜひ見にいきたいと思っています。正倉院の遺品とペルシャ工芸品、その関係を想像するのは、とても刺激的ですね。
ヘルセポリスを飾った工芸品も展示されているんですね。いや、それだけで、会場に行きたくなりました。

投稿: 自由なランナー | 2006.08.10 23:19

to okiさん
旅行のため、返事が遅れてすいません。東京都美術館はいつものことですが、
階段を上がっていかなければなりませんので、疲れます。ここで、気持ちよく
展示品をみることははじめから諦めてます。建替えでもしない限り、これは
解消されませんね。

作品の展示の仕方については、あまり気にしません。海外博物館からの企画展
の場合、面白い、または美しい文物が数点あれば、良しとしてます。今回は上
で取り上げたものを観れましたので大変満足してます。また、図録が秀逸です。
図版や解説文のレイアウトが上手いので、ペルシャ美術の全体像がよくイメージ
できました。

投稿: いづつや | 2006.08.12 16:48

to 自由なランナーさん
ペルセポリスの遺跡をこの目でみたいと思ってますので、今回の展覧会には
高い関心がありました。金の工芸品だけでなく、巨大建築物の一部であった
レリーフも興味深かったです。切子装飾のガラス容器は3点あります。お楽
しみ下さい。

投稿: いづつや | 2006.08.12 17:49

いづつやさん、こちらにも失礼します。
なんだかんだ言っても、黄金の間(勝手につけました)は凄かったです。鑑賞者も皆息を呑んで見つめていた感じでした。
紀元前のものなのに、あれだけの輝きを失わないからこそ富や権力の象徴だったのでしょう。
またミニ・ペルセポリスコーナーは雰囲気がつかめる展示で良かったのではないかと思いました。

それから、話は違いますが、東博で9月5日から特集陳列で佐竹本三十六歌仙絵をやるみたいですが、「小野小町」が出るみたいです!!!一生見れないかも?と思った作品が見れるかと思うとうきうきしてしまいます。
もしかしたら、佐竹本全制覇も夢じゃないかもしれません!!!

投稿: アイレ | 2006.08.23 01:34

to アイレさん
黄金の間に展示してある金細工が圧巻でしたね。黄金の輝きはやはり人間の
こころを幻惑させます。イランに安心して行ける日がくるかはかなり不確定で
すが、いつかペルセポリス遺跡の前に立ちたいと思ってます。ロマンあふれる
古代都市ですから、大変興味があります。

東博に“小野小町”が登場するのですか!ワクワクしますね。情報有難うござ
います。

投稿: いづつや | 2006.09.02 14:43

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